2017年3月25日 (土)

エレガントなコウム 
Cyclamen elegans

シクラメン・エレガンス(Cyclamen elegans:サクラソウ科シクラメン属)が咲きました。


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2013年9月に種子を播き、一番下の写真のように球根は1円硬貨より小さかったのですが、2ヶ月ほど前に蕾をつけ、ずっと蕾のままでいたのが、先日から花弁が反転しだして、やっと咲きました。
もう一球少し大きな球根の株があるのですが、蕾をつける気配はありません。
来シーズン咲いてくれると期待しています。

初花のせいか、さすがに花は小さく、反転した花弁の長さは1cmほどしかありません。
花弁が短いせいか、種小名のエレガンス(ラテン語で「優雅な」という意味)という言葉にはほど遠い、野暮ったさがあります。

シクラメン・エレガンスは以前はシクラメン・コウムの亜種 (Cyclamen coum subsp. elegans)とされていました。
しかし葉の幅が、コウムのどの亜種より明らかに細く、花弁も、優雅さが感じられる程長いことから、今は別種とされています。
花弁が90°ねじれており、アゴ部の模様が縦に長いなどエレガントです。

カスピ海に接したイラン北部やアゼルバイジャン南部に横たわるエルバーズ(Elburz or Alborz)山脈の海抜500m以下の林間に自生しています。他のコウムの亜種より海岸沿いの低地に分布します。

時には苔むした木の枝や幹に咲いていることがあるそうです。
典型的な地中海性気候とは異なり、夏は冷涼であるけれど、湿気が多く、冬に雪の多い地域に自生しています。

葉は花より先に秋にあらわれます。

人の手で育てられると変異を生じ易く、自然状態では花の時期も雪解けが始まる2月から3月にかけて咲来ますが、園芸的には冬から初春に咲きます。

1960年代にBowles Scholarship Memorial Expedition(BSBE518)などのいくつかの探検旅行で発見されました。

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2017年3月18日 (土)

アナトリア・ムスカリ 
Muscari anatolicum Giant Form

ムスカリ・アナトリクム(Muscari anatolicum Giant Form:ユリ科ムスカリ属)が咲き出しました。


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種小名アナトリクムとは「アナトリアの」という原産地名を指しています。
アナトリアはギリシャ語で「東方の」「日出るところ」という意味で、ボスポラス海峡の東側、いわゆる小アジアと呼ばれている地域を指します。

1960年頃から知られていたムスカリですが、1990年の中央アナトリア探検旅行でスルタン山脈(Sultandağ:最高峰海抜1980m)で発見されました。
1994年にジル・コウリー(Jill Cowley:1940〜)さんらによって公表されました。

後にトルコ東南部の海抜1100〜2300mの開けた山地の石灰岩の斜面地やレバノン杉などの針葉樹林間に広く分布していることが分かりました。

葉より長さの短い花茎を1〜3本立て、1本に15〜20輪の花をつけます。

花序には淡青色と黒青色の花をつけます。
下部の稔性を持つ濃い黒青色の花の口部には白い縁取りがあります。香りがあります。

上部の淡青色の花は不稔性で、成熟するまでは開口部はカーキ色から紫色を帯び、なかなか味のある配色です。

濃い緑色の葉は断面がU字型の線形で、長さ10〜15cm、10本ほどが立ち上がります。

球根は直径15〜25mmで、自生状態では分球しないといわれています。昨年は2茎が立っただけでしたが、今年は4つに分球したようで、花茎が6本以上立っています。

これは「ジャイアント・フォーム(Giant Form)」と呼ばれる大きいサイズの選別種です。
もっとも大きいと言っても、よく見かけるムスカリ・アルメリアカムよりもずっと小さいです。

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2017年3月16日 (木)

ブルゴさんのムスカリ Muscari bourgaei

ムスカリ・ブルガエイ(Muscari bourgaei:ユリ科ムスカリ属)が咲いています。


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昨年は12月に咲き出しましたが、2年目の今年は、普通の時期に咲き出しました。
やはり初花は狂い咲きするのですね。
昨年は4茎が立っただけでしたが、分球し易いのでしょうか、今年は何本も花序を立てています。

ムスカリ・ブルガエイはトルコ西部のアナトリア山脈の比較的海抜の高いところに分布しています。

花には短い花梗があり、それにつく花は濃紺で、開口部に白い色が入っています。
はっきりと色が分かれているわけではないようですが、花序が成熟するにつれ、先に咲いた花ほど白っぽくなっています。
昨年とは逆の色づきの花序が現れました。後に咲いた花の方が濃くなっています。
見慣れない色の変化です。
去年と同じ花序の株もあります。一番下の写真のように昨年は下部の花は濃紺色で、上部の花は明るい青色でした。

花一つ一つはムスカリ・アルメリアカムと変わりありません。
しかしアルメリアカムより花茎や花序が短く、花は葉より低い位置で、葉に埋もれて咲いています。

葉は夏も茂っており、長さ10cmほどで、4〜6mmの比較的幅があり、アルメリアカムのようにだらしなく横に広がらず、立ち上がっています。

種小名のブルガエイは、フランス人の園芸家ユゲーヌ・ブルゴ(Eugène Bourgeau:1813–1877) さんに因む名前です。
ブルゴさんは若い頃はフランス・リオンの植物園で働いていましたが、後年は植物収集家としてスペイン、小アジア、北アフリカ、カナリア諸島の植物を採集し、1857年から1860年にかけては北米探検にも加わりました。このように精力的に植物採集したので、多くの植物の学名にbourgaeiという名を残しています。

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2017年3月14日 (火)

もう一つのコーカサス・シクラメン 
Cyclamen abchasicum

先日ご覧頂きましたシクラメン・コウム・コウカシクム(Cyclamen coum subsp. caucasicum)の異学名品種と言われるシクラメン・アブシャシクム(Cyclamen abchasicum:サクラソウ科シクラメン属)が咲きました。


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2013年に種子を手に入れて、播種後4年目に咲きました。

1902年にシクラメン・コウムの変種としてシクラメン・コウム・アブシャシクム(Cyclamen coum var. abchasicum)と分類されましたが、1948年シクラメン・アブシャシクム(Cyclamen abchasicum)として独立しました。
今日ではシクラメン・コウム・コウカシクムの異学名とされていますが、独立種として扱うサイトもあります。

最初に発見された地名が学名になっていますが、アブチャシクムとはグルジアから独立した西コーカサス、黒海沿岸のアブハジア(Abkhazia)地方を指しています。
グルジアに属すアブハジア自治共和国は、アブハジア共和国として2008年8月26日にロシアが承認し、事実上独立国となっています。
アブハジア共和国は黒海北岸に面し、グルジアの最西端の地域で、北のカフカス山脈がロシアの国境となっています。

コーカサス地方西部の山脈地帯の草原や瓦礫の傾斜地や大理石土壌地に自生しています。
花はシクラメン・コウム・コウカシクムより大きく、紅色が濃いように思います。
コウムとエレガンスの中間の形態をしているといわれています。

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2017年2月19日 (日)

コーカサスのシクラメン 
Cyclamen coum subsp. caucasicum

シクラメン・コウム・コウカシクム(Cyclamen coum subsp. caucasicum:サクラソウ科シクラメン属)が咲いています。


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先日のシクラメン・コウム・パリデュムの解説にも書きましたが、シクラメン・コウムは「東の豚の饅頭(eastern sowbread)」と呼ばれるシクラメンの仲間で、最初(1719年)に発見された地名、アルメニアからトルコ南西部にかけてのシリシア地方東部の旧地名で、エーゲ海に浮かぶコア(Koa あるいは Coa、Chios) 島に由来しています。

基本種のシクラメン・コウムはブルガリアからコーカシアやクリミアを経て北トルコに至る黒海沿岸と、レバノンから北イスラエルに至る地中海東沿岸の2地域に分かれて分布しています。

コームは葉の形の違いによって亜種コウム(Cyclamen coum subsp. coum) と亜種コウカシクム(Cyclamen coum subsp. caucasicum)に分類されます。

シクラメンは原種や園芸化されたものなど、種類を問わず、葉には変異が現れます。
亜種コウムは斑模様に違いが現れやすいですが、形は概ね先が尖らない、丸い形をしています。
ホタテ貝のような形で、内側に巻き込む傾向があります。
葉の幅が長さより長く、幅広く見えます。鋸歯は一般的にありませんが、あっても目立ちません。

この亜種コウカシクムは葉の長さの方が幅より長く、細長い感じがし、葉先に向かって細くなっている、先の丸い三角形をしています。
葉縁にはまばらに鋸歯があります。
葉には多くは模様が入りますが、このような一色もあります。

分布地を示す亜種名から分かるように、黒海の西沿岸地方、つまりコーカサスを含む、グルジア南部からトルコや北イランにかけての地域で、平地から海抜2000mまでの山地の森や林間に自生しています。

花弁は亜種コウムより幾分長いようです。
12月〜3月見かけて開く花は、濃いピンク(マゼンタ)色をしています。
コウムより寒さに弱く、陽を好むといわれています。

異学名は多くあり、Cyclamen abchasicum, Cyclamen adzbaricum, Cyclamen caucasicum, Cyclamen cicassicum, Cyclamen ibericum, Cyclamen vernum が知られています。


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Cyclamen coum subsp. coum f. pallidum