2016年9月27日 (火)

ガカイモの花 <br>Metaplexis japonica

六甲山をハイキング中にガガイモ(蘿藦、鏡芋、芄蘭:Metaplexis japonica:ガガイモ科ガガイモ属)を見つけました。


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合着した蕊柱とそれを取り巻いている副花冠が見えます。


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ガカイモは長さ8mにもなるつる性多年草で、日本では北海道から九州まで、それ以外では東アジア一帯に分布しています。薮や林の縁、小川の岸などのやや湿った明るい場所に生えています。

ガカイモは、芋という名からわかるように、長い地下茎を伸ばして増えますが、芋のように丸くはならないようです。
ガガイモ科の多くがそうであるように、茎を切ると白い乳液が出ます。

対生する葉には3〜6cmの葉柄があります。
葉は先の尖り、全縁で、長さ5~10cmの長卵状心形をしており、表は濃い緑で、裏は白緑色を帯びています。

夏に葉腋から6〜10cmの花柄をだし、先に10〜20輪がかたまって散形花序に白色から淡紫色の花を開きます。
花冠は直径1cmほどで5裂し、内側には長い毛が密生しています。
花弁の裂片の先は反り返り、ややねじれています。

花の中心部には雌蕊と雄蕊とが合着した蕊柱(ずいちゅう)があり、その先は花冠から飛び出します。
多くのガガイモ科植物がそうであるように副花冠を持ち、蕊柱の基部を輪のよう取り巻いています。

果実は花に比べて長い袋果で、長さ8~10cm、幅2cmほどの広披針形をし、表面にイボがあります。
種子は扁平で翼があり、先端に1.5cmほどの絹糸のような冠毛があります。風に乗って遠くに飛んでいく仕掛けです。
毛は針刺しの中や印肉に練り込んで用いられます。

根や茎、果実は乾燥させて薬として用いられます。果実を乾燥した生薬は羅摩子(らまし)と呼ばれています。
外傷や寄生虫による栄養不良などに用いられるようです。

ガガイモの名前の由来は、かがむような低い場所に太い茎があるということでカガミ(かがむ)という動作を意味してという説や、果実が熟すと、イモのような色や形からガガイモという名がついたなど諸説あるようです。

英名はrough potato(でこぼこのいも)です。

最初に発見したのはスエーデンの植物学者ツンベルク(Carl Peter Thunberg:1743-1828)で、彼は出島商館付医師として1775年1年に限って来日し、彼が著した「日本植物誌(Flora Japonica)」(1784)には、800種あまりの植物が記載されています。

異学名はMetaplexis chinensis, Metaplexis. stauntonii, Urostelma chinensisです。

属名のメタプレキスは、メタ(meta)「共に」とプレコ(pleco)「編む」というラテン語の造語です。どのような特徴を指しているかのは不明です。
種小名のヤポニカは日本原産のという意味です。

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2016年9月19日 (月)

ヨウラクタマアジサイのシーズン最後の花 
Hydrangea involucrate var. multiplex

ヨウラクタマアジサイ(瓔珞玉紫陽花:Hydrangea involucrata var. multiplex:ユキノシタ科アジサイ属)の最後の蕾が開きました。


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タマアジサイという名は、蕾が数枚の総苞に包まれ、丸い形になるので名づけられたと言われています。
分布は、福島県から南へ岐阜県までと言われ、福島県以北や近畿以西には分布していません。
但し牧野新植物図鑑には本州北部と四国にも分布するとあります。

タマアジサイは他の種類のアジサイに比べ遅咲きで、7月~9月に開花します。
タマアジサイは一斉に開花するのではなく、一つの蕾大きくなり、それが開いた頃に、次の蕾が大きくなり出し、次に開くというようにして、長い間花を見ることができます。

ヨウラクタマアジサイはタマアジサイの変異種ですが、タマアジサイにはこれ以外に、花の特徴からギョクダンカ(玉段花)、ココノエ(九重)タマアジサイなどの種類が知られています。

タマアジサイは、花弁のように見えるガクが発達した白い装飾花と青紫をした両性花が、額咲きに咲きますが、ヨウラクタマアジサイは装飾花が八重で、何重にも積み上がって八重の塔咲き(段咲き)になります。

無性花の装飾花は、萼片を作り続けながら花軸が伸びていきます。
花軸が伸びて垂れ下がる様子が瓔珞のようなので、この名がつけられたと言われています。
瓔珞とは古代インドの貴族が用いた装身具で、仏の装身具に用いられたり、寺院や仏壇など天蓋から垂れる装飾品に変化したといわれています。
4枚目や最後の写真のように、枯れる頃になると花柄も伸び、そこに萼が幾重にもついてきます。なるほどその様子をみていると、瓔珞かなと思います。

艶のない暗緑色の葉は柄があり、対生してつきます。葉は大きいけれど、不揃いの細かい鋸歯があります。
ぶ厚く、両面に毛が生えていてザラザラします。
枝は側枝を出して伸び、次の年にその先端に花をつけます。

私の所では乾きやすく、かつ西日を受けやすい、ヨウラクタマアジサイが一番嫌うところに植わっているので、花はすぐ萎れ、3枚目の写真のように花びらにシミがついて、汚れてしまいます。
そのため何年か前から咲いているのですが、ブログにはあげませんでした。
このように朝夕暑さが和らぎ、最後の花になると綺麗に咲いてくれました。

ヨウラクタマアジサイは東大教授で、小石川植物園長を務めた中井猛之進(1882 - 1952:なかいたけのしん)さんが昭和23年、伊豆大島で発見したと言われています。
中井猛之進さんは日本原産の植物の命名者として有名な方で、いくつかの植物の種小名にもナカイイ(nakaii)という献名がつけられています。

種小名のインボルクラタは、「総苞のある」のという意味で、蕾を様子を示しています。
変種名のムルチプレクスは「幾重にも重なる、多くのひだを持った」という意味です。

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2016年7月11日 (月)

存在が「疑わしい」コンソリダ・アンビグア 
Consolida ajacis 'Misty Lavender'

コンソリダ・アヤキス 「ミスティ・ラベンダー」(Consolida ajacis 'Misty Lavender':キンポウゲ科コンソリダ属)が咲きました。


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コンソリダ属は地中海地方から中央アジアにかけて40〜50種が知られています。
近縁のデルフィニウム(Delphinium)属とは花の構造が少し違っていますが、デルフィニウム属が多年性植物なのに対し、コンソリダ属は一年性です。
この2種は葉の様子にも違いがあり、コンソリダ属は掌状に細かく分かれています。

コンソリダ属は花弁状の萼片は5枚あり、1番上の萼片にはしっぽがあり、その中に距が入っています。
雌しべを包み込むように合着した2枚の(1枚に見える)花びらが本当の花弁です。

コンソリダ・アヤキスは、以前はコンソリダ・アンビグア(Consolida ambigua)とも呼ばれ、ウクライナ、トルコからバルカン半島を経て、イタリア、フランスなどの冷涼な温帯に自生しています。
しかし今日では世界の多くの温帯地方や亜熱帯地方、アフリカ、アジア、オーストラリア、北米に帰化しているといわれています。

茎は無毛かまばらに毛が生えています。直立して高さが60〜90cmになり、時には1mを越えるほどになります。
基部の葉は3裂し、その裂片はさらに細裂して掌状になっています。
上部の葉は多細裂し、線状をしています。

6月から7月ごろ、茎の先の総状花序に、ピンク、サーモンピンク、エンジ、白、紫などの花を咲かせます。
茎の下の方で枝分かれすることは少なく、普通は花序で枝分かれします。

「ミスティ・ラベンダー」は、花色はやや青みがかったピンクで、放射相称に開いた花弁が5枚以上ある八重咲き園芸種です。

正面から見て雄しべがもろに見え、コンソリダに別の花がくっついているように見えます。
他のコンソリダとは雰囲気が違って見えます。
距には勢いがなく、だらしなく巻いています。

日の当たる、適度に肥え、水はけの良い湿り気のある土がお気に入りのようです。
なお種子の発芽には覆土が必要です。

ところでコンソリダ・アヤキスについては我が国の園芸界では以下の誤りが訂正されておらず、私が一番頼りにする園芸植物大辞典(小学館)も1994年出版なので、古い情報となっていて誤っています。
コンソリダ・アヤキスは、1753年にリンネによってデルフィニウム・アヤキス(Delphinium ajacis)と命名されましたが、1853年にコンソリダ属に再分類され、コンソリダ・アヤキスという現在の名になっています。

しかし同じくリンネが1762年に命名したデルフィニュウム・アンビグウム(Delphinium ambiguum)は、デルフィニウム・アヤキスと混同されることが多く、コンソリダ属が立てられた時にデルフィニュウム属であったにもかかわらず無理矢理(というか誤って)コンソリダ属に再分類されました。

したがってコンソリダ・アンビグアという植物は存在しないのにもかかわらず、コンソリダ・アヤキスの異学名としてとして紹介されています。
種小名のアンビグアは「疑わしい」という意味ですが、その通りに、疑わしい名です。

英名は forking larkspur, field larkspur, doubtful knight's spur, rocket larkspur です。

属名はコンソリダは古いラテン名に由来しており、傷薬として使われていたことから血を「固める」という意味で、コンソリダと呼ばれていたようです。
種小名は古代ギリシャ・トロイア戦争の時のサラミスの王アイアース(Aias)に由来します。アイアースはラテン語表記(ローマ神話)ではアヤックス (Ajax)となります。

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2016年7月 8日 (金)

斑入り葉のアカンサス 
Acanthus 'Whitewater'

斑入り葉のアカンサス、アカンツス「ホワイト・ウオーター」(Acanthus 'Whitewater':キツネノマゴ科アカンツス属)の初花が咲いています。


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斑入りのアカンサスというと「タスマニアン エンジェル」の名が上がりますが、「ホワイト・ウオーター」はそれより新しい品種で、斑入り葉の「タスマニアン エンジェル」と深緑色葉の「サマービューティー(‘Summer Beauty’)」を交配した品種です。

「サマービューティー」はアカンツス・モリス(Acanthus mollis)とアカンツス・スピノスス (Acanthus spinosus)の交配種と推測されています。

アカンツス・モリスは地中海沿岸から小アジア、北アフリカ原産の常緑性の草本です。
葉は濃いグリーンでツヤがあり、棘のついたギザギザの縁なので花が無くても見間違うことはありません。
種小名のモリスは「軟らかい、軟毛のある」という意味ですが、株全体に全く毛は生えていません。たぶんスピノススに比べると棘が優しいことを示しているのだと推測しています。

スピノススはヨーロッパ南部、東南アジア原産と言われており、建築デザインのアカンサス模様というコリント様式の柱頭の飾りはアカンツス・モリスではなく、このスピノススがモデルになっていると言われています。
モリスは背丈が1m以上になりますが、スピノススは高くても背丈は1mを越えることはありません。
葉はモリス以上に深裂し、裂片の先には硬いトゲがあります。この特徴がスピノスス(「トゲの多い」という意味)という種小名になっています。

アカンサス・スピノススは、アカンツス・モリスに比べて花の大きさは同じですが、大きさがよりコンパクトで、その分花と花の間が詰まって咲きます。
さらにアカンツス・スピノススは葉に深みと、艶がなく、それが、アカンツス・モリスと同じような葉です。
豪華さと耐暑性を併せ持ち、日本にはうってつけのアカンツスです。

「ホワイト・ウオーター」は「タスマニアン エンジェル」より大きく、花付きも良いといわれています。
今年初めて咲いたので、花茎は途中で伸びなくなり、花は5輪だけです。

花弁に被さっている萼は白色で、ピンクがかっています。
花茎は赤く、斑入りの葉と相成って、美しい姿を見せてくれます。
来年に期待しようと思います。

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2016年7月 4日 (月)

キタイベルさんのオダマキ 
Aquilegia kitaibelii

アクイレギア・キタイベリイ(Aquilegia kitaibelii:キンポウゲ科オダマキ属)が咲いています。


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アクイレギア・キタイベリイクロアチアとボスニア・ヘルツェゴビナの国境にある海抜1831mのディナラ(Dinara)山を中心とした海抜約1200〜1600mの山地に分布しています。

近くには「カルスト」の語源となったスロベニアのクラス地方(Kras、ドイツ語名:カルスト)があり、そこから続く荒涼とした不毛の土地に咲いています。他のヨーロッパ産のオダマキ同様、石灰岩地が好きなようで、カルストに続く石灰岩地の斜面や割れ目、崖で見られます。

草丈は15〜30cmで、花茎上部には腺毛が生えています。
葉は他のオダマキ同様2回3出小葉で、濃緑色の小葉片は無柄で、上面にはかすかに毛が生えていますが、下面には密に生えています。

花は6月に花茎を伸ばし、青紫色や赤紫色の花を3〜6輪開きます。
花の大きさは径2〜3cmで、距につながる花弁は1.7cmほどで、大きく開きます。
距は太く、短くて 0.8〜1cmほど、内側にカーブしています。
雄しべは花弁から飛び出しません。

イタリアにも分布しているというのは誤りで、アクイレギア・ベルトロニイ(Aquilegia bertolonii)と混同されていると言われています。
またアクイレギア・ビスコサ(Aquilegia viscosa)と間違われることがあるようですが、分布域が異なります。
異学名はAquilegia pyrenaica var. kitaibelii や Aquilegia vulgaris var. kitaibelii で、その姿から間違われていたことが多いようです。

種小名は19世紀のハンガリー人のポル・キタイベル(Pál Kitaibel:1757-1817)さんに因みます。
ハンガリーの植物学者や鉱石学者で、テルル(tellurium:レアメタルの一種、太陽電池や各種電子部品の材料)を1789年に発見しています。後に彼より7年早く発見した人がいて、彼の功績にはなっていません。
ビオラ・キタイベリアナ(Viola kitaibeliana)やプリムラ・キタイベリアナ(Primula kitaibeliana)も彼の名に由来します。

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