2016年11月23日 (水)

ライサンダーというシクラメン 
Cyclamen hederifolium ex. 'Lysander'

シクラメン・ヘデリフォリウム「ライサンダー」(Cyclamen hederifolium 'Lysander':サクラソウ科シクラメン属)が一ヶ月程前に咲き終わり、特徴のある葉が出てきました。


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シクラメン・ヘデリフォリウムはフランス、イタリア、ギリシャなど地中海沿岸地域の広い範囲に分布しており、1789年に命名されていますが、長い間シクラメン・ネアポリタヌム(Cyclamen neapolitanum)という名で流通していました。

ライサンダーという選別種は、ペロポネソス半島のスパルタ市に近いタイゲテウス山脈(Taygetos Mountains)で収集されたシクラメン・ヘデリフォリウムです。
古代ギリシアの都市国家スパルタの将で、ペロポネソス戦争の英雄である「リュサンドロス(Lysandros)」にちなんで命名されたようです。

シクラメン・ヘデリフォリウムの葉には小さな鋸歯がありますが、ライサンダーには深い鋸歯があり、シクラメンには珍しい大きなぎざぎざの葉をしています。
また濃い緑が銀葉模様を鮮やかに引き立たせます。

花は普通のヘデリフォリウムと変わりありません。
ヘデリフォリウムの花はピンクか白色で、アゴがしっかりあり、そこに濃紅色が入ります。

ヘデリフォリウムは夏の頃、まず蕾が出だし、秋になってが花茎が立ち上がり花を開きます。
その後、気温が下がるにつれ、葉が展開します。
成熟した株は葉と花の両方を楽しむことができますが、私の所の株は初花のためか、2輪花をつけ、それが枯れてから、一ヶ月も経ってやっと長さ1cmを越えるほどの小さな葉が出てきました。。

なおヘデリフォリウムは、塊茎の下から根を出すのではなく、塊茎の側面や肩のあたりから根を伸ばすので、塊茎はしっかり埋める必要があります。
塊茎が土に埋まっている状態でないと、根が乾燥してしまいます。

種小名ヘデリフォリウムは「アイビー(ヘデラ:Hedera)のような葉(folium)の」という意味で、葉の形に由来します。

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2016年11月17日 (木)

秋のクロッカス 
Crocus goulimyi

秋咲きのクロッカス、クロクス・ゴウリミー(Crocus goulimyi ssp goulimy:アヤメ科クロクス属)が咲きました。


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一般的にはクロッカスと呼ばれ、地中海沿岸から小アジア、北アフリカにかけておおよそ90種類が分布しています。
冬や早春に葉を出し、花を咲かせますが、秋に花を咲かせる種類もあります。
春に花をつける種類は休眠に冬に寒さを必要とし、秋に花をつける種類は夏に暖かい環境で休眠させる必要があります。

秋に花を咲かせるクロクス・ゴウリミーはギリシャ南部、バルカン半島の最南部のマニ ペニンシュラやペロポネソス半島に分布しています。
乾いた石灰岩に覆われた水はけの良い温和な地域、特に夏に乾燥するところを好むようです。

クロクス・ゴウリミーには花の色の違う2種の亜種が有り、ペロポンネス半島の異なる地域に分布をしています。
クロクス・ゴウリミー・ゴウリミー(Crocus goulimyi ssp goulimyi )は藤色をしています。
これに対しクロクス・ゴウリミー・リウカンツス(Crocus goulimyi ssp leucanthus)は白色か極めて薄い藤色の花を咲かせます。

秋になると葉と共に蕾が出てきます。細長い蕾には青白い色をした長い咽部があり、この頃の背丈は10cmほどになります。

花は就眠運動をし、陽が当たらないと花を開きません。

この頃には、クロッカスによく見られる中心に白い線の入る松葉のような葉が、地面から3〜5cm出ています。

属名はギリシャ語の「糸(krokos)」に由来し、花柱が糸状に長く伸びることを指していると言われています。

種小名はギリシャ・アテネ生まれの法律家でアマチュア植物学者、コンスタンティン・ゴウリミス(Constantine Goulimis (also appears as Constantine N. Goulimy) :1886–1963)さんに由来します。
ゴウリミスさんはこのクロッカス以外にカンパニュラ・ゴウリミー(Campanula goulimyi)、シレネ・ゴウリミー(Silene goulimyi)、スクテラリア・ゴウリミー(Scutellaria goulimyi)、スタキス・ゴウリミー(Stachys goulimyi)、ツリパ・ゴウリミー(Tulipa goulimyi)、リヌム・ゴウリミー(Linum goulimyi)など、ギリシャ原産の多くの植物に、その名を残しています。
ゴウリミスさんは法律家として第二次世界大戦の時に南アフリカで過ごし、その時に植物に興味を持ちました。そして帰国してからギリシャ各地の植物を調査し、「ギリシャの野草(Wild Flowers of Greece)」を著しました。

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2016年10月19日 (水)

勝手に咲いたコハマギク 
Chrysanthemum yezoense

コハマギク(小浜菊:Chrysanthemum yezoense:キク科キク(シュンギク)属)が咲きました。


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このコハマギクは苗を購入したものでもなく、タネを播いて育てたものでもなく、勝手に生えてきたものです。
手に入れた植物(ツクシタツナミソウ:Scutellaria kiusiana )は枯れてしまったのですが、その後に生えてきたのは用土に根が入っていたからでしょうか。
昨年の夏過ぎに目立つようになり、昨年秋に花を咲かせることもなく、冬も葉を茂らせ続けていました。
見かけるようになって2年目の今年10月に入って蕾をつけました。
一般に流通していない植物なので、その花を見ることができてラッキーだと思います。

コハマギクは日本に固有のキクで、北海道から本州の太平洋側を経て、茨城県までの海岸に自生しています。
分布域が遠く離れていますから、いくら何でも神戸までタネが飛んできて生えたということではなさそうです。

匍匐性の菊で、草丈は10〜50cm、長い地下茎を這わせ、群生する多年草です。
ビニールポットで育っているのですが、ポットの上から触ってわかるほど太い根があります。
背丈については私の所のコハマギクは花の無い時は5cm、花茎を上げてきて10cm程度になります。

茎の基部は木化しますが、上部は紫色を帯び、軟毛が生え、所々白っぽく見えます。

葉は翼のついた葉長と同じぐらいの長い葉柄があります。
海岸に自生しているためでしょう、暑さや風に耐えられるような肉質のしっかりした葉です。
楕円形で先が大きく5裂し、さらに2から3裂しています。
表面にぷつぷつと腺点があります。
特徴のある葉で、見る人が見ればコハマギクとわかる葉です。

径4〜5cmの頭花を枝先に一つだけつけます。この個体は舌状花は幅のある楕円形で薄いピンク色をしています。
一般的には舌状花はもっと細長く、花数も多く、白い色で、咲いてからピンクに色づくようです。
蕾の時は濃いピンク色をしています。

異学名はChrysanthemum arcticum, Dendranthema arcticum subsp. maekawanum, Chrysanthemum zawadskii subsp. yezoense Dendranthema yezoenseです。

外国では Groundcover Chrysanthemum, Hokkaido Chrysanthemum と呼ばれています。

種小名エゾエンセは北海道(蝦夷)を意味します。
属名クリサンテムムはギリシア語で「金の(chrysos)花(anthemon)」という意味です。

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2016年9月27日 (火)

ガカイモの花 <br>Metaplexis japonica

六甲山をハイキング中にガガイモ(蘿藦、鏡芋、芄蘭:Metaplexis japonica:ガガイモ科ガガイモ属)を見つけました。


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合着した蕊柱とそれを取り巻いている副花冠が見えます。


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ガカイモは長さ8mにもなるつる性多年草で、日本では北海道から九州まで、それ以外では東アジア一帯に分布しています。薮や林の縁、小川の岸などのやや湿った明るい場所に生えています。

ガカイモは、芋という名からわかるように、長い地下茎を伸ばして増えますが、芋のように丸くはならないようです。
ガガイモ科の多くがそうであるように、茎を切ると白い乳液が出ます。

対生する葉には3〜6cmの葉柄があります。
葉は先の尖り、全縁で、長さ5~10cmの長卵状心形をしており、表は濃い緑で、裏は白緑色を帯びています。

夏に葉腋から6〜10cmの花柄をだし、先に10〜20輪がかたまって散形花序に白色から淡紫色の花を開きます。
花冠は直径1cmほどで5裂し、内側には長い毛が密生しています。
花弁の裂片の先は反り返り、ややねじれています。

花の中心部には雌蕊と雄蕊とが合着した蕊柱(ずいちゅう)があり、その先は花冠から飛び出します。
多くのガガイモ科植物がそうであるように副花冠を持ち、蕊柱の基部を輪のよう取り巻いています。

果実は花に比べて長い袋果で、長さ8~10cm、幅2cmほどの広披針形をし、表面にイボがあります。
種子は扁平で翼があり、先端に1.5cmほどの絹糸のような冠毛があります。風に乗って遠くに飛んでいく仕掛けです。
毛は針刺しの中や印肉に練り込んで用いられます。

根や茎、果実は乾燥させて薬として用いられます。果実を乾燥した生薬は羅摩子(らまし)と呼ばれています。
外傷や寄生虫による栄養不良などに用いられるようです。

ガガイモの名前の由来は、かがむような低い場所に太い茎があるということでカガミ(かがむ)という動作を意味してという説や、果実が熟すと、イモのような色や形からガガイモという名がついたなど諸説あるようです。

英名はrough potato(でこぼこのいも)です。

最初に発見したのはスエーデンの植物学者ツンベルク(Carl Peter Thunberg:1743-1828)で、彼は出島商館付医師として1775年1年に限って来日し、彼が著した「日本植物誌(Flora Japonica)」(1784)には、800種あまりの植物が記載されています。

異学名はMetaplexis chinensis, Metaplexis. stauntonii, Urostelma chinensisです。

属名のメタプレキスは、メタ(meta)「共に」とプレコ(pleco)「編む」というラテン語の造語です。どのような特徴を指しているかのは不明です。
種小名のヤポニカは日本原産のという意味です。

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2016年9月19日 (月)

ヨウラクタマアジサイのシーズン最後の花 
Hydrangea involucrate var. multiplex

ヨウラクタマアジサイ(瓔珞玉紫陽花:Hydrangea involucrata var. multiplex:ユキノシタ科アジサイ属)の最後の蕾が開きました。


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タマアジサイという名は、蕾が数枚の総苞に包まれ、丸い形になるので名づけられたと言われています。
分布は、福島県から南へ岐阜県までと言われ、福島県以北や近畿以西には分布していません。
但し牧野新植物図鑑には本州北部と四国にも分布するとあります。

タマアジサイは他の種類のアジサイに比べ遅咲きで、7月~9月に開花します。
タマアジサイは一斉に開花するのではなく、一つの蕾大きくなり、それが開いた頃に、次の蕾が大きくなり出し、次に開くというようにして、長い間花を見ることができます。

ヨウラクタマアジサイはタマアジサイの変異種ですが、タマアジサイにはこれ以外に、花の特徴からギョクダンカ(玉段花)、ココノエ(九重)タマアジサイなどの種類が知られています。

タマアジサイは、花弁のように見えるガクが発達した白い装飾花と青紫をした両性花が、額咲きに咲きますが、ヨウラクタマアジサイは装飾花が八重で、何重にも積み上がって八重の塔咲き(段咲き)になります。

無性花の装飾花は、萼片を作り続けながら花軸が伸びていきます。
花軸が伸びて垂れ下がる様子が瓔珞のようなので、この名がつけられたと言われています。
瓔珞とは古代インドの貴族が用いた装身具で、仏の装身具に用いられたり、寺院や仏壇など天蓋から垂れる装飾品に変化したといわれています。
4枚目や最後の写真のように、枯れる頃になると花柄も伸び、そこに萼が幾重にもついてきます。なるほどその様子をみていると、瓔珞かなと思います。

艶のない暗緑色の葉は柄があり、対生してつきます。葉は大きいけれど、不揃いの細かい鋸歯があります。
ぶ厚く、両面に毛が生えていてザラザラします。
枝は側枝を出して伸び、次の年にその先端に花をつけます。

私の所では乾きやすく、かつ西日を受けやすい、ヨウラクタマアジサイが一番嫌うところに植わっているので、花はすぐ萎れ、3枚目の写真のように花びらにシミがついて、汚れてしまいます。
そのため何年か前から咲いているのですが、ブログにはあげませんでした。
このように朝夕暑さが和らぎ、最後の花になると綺麗に咲いてくれました。

ヨウラクタマアジサイは東大教授で、小石川植物園長を務めた中井猛之進(1882 - 1952:なかいたけのしん)さんが昭和23年、伊豆大島で発見したと言われています。
中井猛之進さんは日本原産の植物の命名者として有名な方で、いくつかの植物の種小名にもナカイイ(nakaii)という献名がつけられています。

種小名のインボルクラタは、「総苞のある」のという意味で、蕾を様子を示しています。
変種名のムルチプレクスは「幾重にも重なる、多くのひだを持った」という意味です。

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Consolida ajacis 'Misty Lavender'