2019年7月 2日 (火)

夏前に秋咲きの花が Prospero autamnale

プロスペロ・アウタムナレ(Prospero autamnale:ユリ科(キジカクシ科)プロスペロ属)が咲いています。

 

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プロスペロ属はイギリスの植物学者サリスベリー(Richard Anthony Salisbury:1761–1829)さんによって立てられ、スキラ属の一部を含んで分類されました。サリスベリーさんの死後、1866年に共同研究者のイギリスの動物学者グレイ(John Edward Gray:1800 –1875)さんによってプロスペロ属という名が初めて公表されました。
その後最近のゲノム分析による分子形態学的分類学的見地から、オーストリアの植物学者で球根植物の分類学を専門とするシュペータ(Franz Speta:1942-)さんたちによって約25種のスキラ属がプロスペロ属に移されました。
プロスペロ属はイングランド南部、地中海沿岸から西アジアまで分布し、花序を包む苞と花序が出る前に出る葉を持たず、秋に開花期があり、花後葉が出て、春には枯れるという特徴を持っています。

さて以前はスキラ・アウタムナリス(Scilla autamnalis)と呼ばれていたこの植物は、1982年にシュペータさんによってプロスレロ属に移されました。
プロスペロ・アウタムナレはイギリス南部、地中海西部沿岸(ポルトガル、モロッコ)、少し飛んで小アジア(トルコ、イラク、コーカサス)などに分布しています
開けた傾斜地や地中海沿岸地域によく見られる常緑低木地帯 、明るい林間、まれに石灰岩の割れ目など自生しています

花茎は高さ10〜20cmで、根出する葉は長さ10cmほどの線形をしています。
一般的には日本のツルボ同様開花時期には葉はなく、秋に花茎が立ち、花が咲いた後、秋の終わりから冬にかけて葉が出てきます。
なお日本のツルボに似ているとは言え、ツルボはバーナーディア属(Barnardia japonica)に分類され、秋だけではなく春にも葉が見られるので近縁ではありません。

花茎の先に総状花序に、蕾は密に付いていますが、ポツポツと開きますので、節間が空き、まばらに花がつきます。
花被片が6枚の花は、径6〜10mmくらいで、淡い紅紫色や白色をしています。雄しべも6本で、青色をしています。

広い地域に離れて分布していますが、単一種として分類されていますが、分布域の広さから実際には別種として分類される可能性を含んでいると考えられています。
ですから同じプロスペロ・アウタムナレでも自生地域の記述が重要になってきます。
この株は写真でもわかるように、花序が出る前に葉があります。まるでムスカリの葉のように出ていましたので、てっきりラベルが入れ替わったと思いました。
このように典型的なプロスペロ属の特徴を持っていません。産地もわかりません。
2014年12月に種子を手に入れ、今年の6月に初めて咲き出しました。初花なので通常でない咲き方をしたのかもしれません。
来年のシーズンに様子見をしようと思います。

最初リンネによって1753年にScilla automnalisと命名されましたが、多くの研究者によって多くの異なる分類がなされ、ここに書き切れないぐらい多くの異学名を持っています。それ程多くの特徴があると言うことですね。

属名の Prospero は詳細は不明です。ラテン語の「prosperus(幸運な)」からきているのか、あるいは「天王星の衛星」の名なのか、あるいはイタリアの医師で植物学者のプロスペロ・アルピーニ(Prospero Alpini:1553 –1617)さんを示しているのか不明です。

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2019年7月 1日 (月)

背の低いルイラソウ   Ruellia humilis

リュエリア・フミリス(Ruellia humilis:キツネノマゴ科ルイラソウ属)が咲いています。

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リュエリア属は世界に250種が分布し、1年草、多年草で、多年草の種類は低木状になるものがあります。
葉は対生し、多くは全縁で、毛が生えています。花は漏斗形で、ほぼ等しく5裂します。

リュエリア・フミリスは米国北東部/北部中央部から南東部/南部中央部に広く分布する耐寒性の多年草で、石灰岩にのった薄い土壌の空き地や石灰岩土壌の森の中などに自生しています。

長さ4~6cmの全縁、楕円形~披針形で、両面に柔らかい白い毛が生えて、茎に対生してつきます。この白い毛は、強い太陽光を反射し、乾燥から身を守る目的があるといわれています。
普通は明るい緑色ですが、暑くなるにつれ下部の葉や葉縁が紫っぽい緑色になることもあります。
葉と同じ形の苞葉が2枚ついており、花後そこから枝を出します。
茎は枝を伸ばしながら30〜60cmに伸びます。茎には毛が生えています。


6月頃、対生する葉のどちらかの葉腋から漏斗状の5裂する花を一輪つけます。
花の大きさは4〜6cmで、筒部は細長く、白色をしています。花色はラベンダーから薄い紫まであります。花弁の下になる部分に紫の筋がうっすら入ります。
開く前日朝に白い蕾があらわれ、夕方にラベンダー色に色づきます。そして次の朝に開いています。
花は一日花かと思うほど、咲いたらすぐに雌しべを残して花弁が落ちてしまいます。
萼は苞葉に包まれていますが、筒部に筋が入っているかと思うほど細長く5深裂しているので目立ちます。

ペチュニアの花に似ているので「野生のペチュニア」と呼ばれていますが、ナス科のペチュニアとは全く違う種類です。
しかしペチュニア同様、夏の暑さに強く、しおれることはありません。温度があればいつでも咲いています。

異学名は Ruellia ciliosa var. longiflora で、分布が重なるリュエリア・キリオサの変種と考えられた時期があったようです。 キリオサとは「縁毛のある」という意味のラテン語で、リュエリア・フミリスは現地ではFringe-leaf wild petunia(縁毛葉の野生ペチュニア)と呼ばれているように似た特徴があります。
現地名はFringe-leaf wild petunia の他に Hairy ruellia, Low wild Petunia, Low ruelliaと呼ばれています。

属名のリュエリアはフランソワ一世(Francis I)の侍医のリュエル(Jean de la Ruelle:1474-1537)さんに因みます。
リュエルさんは薬草医で、古代ギリシアの医者、薬理学者、植物学者であり、薬理学と薬草学の父と言われるディオスコリデス(Pedanius Dioscorides:AD40年頃 - 90年)の本草書「薬物誌」を翻訳した方です。

和名ルイラソウは学名のリュエリア(ルエリア)がルイラに転じたものといわれています。どうしたらこのように訛るのかと不思議に思っていましたが、野生化してる九州以南ではこのような音回しになるのでしょうかね。

種小名フミリスは「(背の)低い」という意味で、リュエリア属の中では低いほうなのでしょう。

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2019年6月29日 (土)

ショーさんのアルブカ Albuca shawii

アルブカ・ショーウィ(Albuca shawii:ユリ科(キジカクシ科)が咲きました。

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アルブカ属は60から100種が南アフリカとアラビア半島に分布しています。
以前は形態分類でオルニトガルム属(Ornithogalum)とされていた分類は、ゲノム解析が進むにつれ、二つの属に分離することが一般的になってきました。

南アフリカの植物学者のマンニング(John Charles Manning 1962ー )さん達が2009年に以下のように分類したとパシフィック・バルブ・ソサエティ(Pacific Bulb Society)のサイトで説明されています。
 アルブカ (Albuca )群
 ディプカディ(Dipcadi )・プセウドガルトニア( Pseudogaltonia )群 
 ガルトニア(Galtonia )・ネオパテルソニア( Neopatersonia)  を含むオルニトガルム群

アルブカ群は花披の外側に真ん中に目立つ緑か茶色の縦に走る筋があり、中心線に沿って3-5本の葉脈が集まっています。
オルニトガルム群はあったとしても葉脈のない細いかぼんやりした暗い筋が花被片にあります。
この分類基準に従うと、これまでオルニトガルム群に含まれると考えられていた種類がアルブカ群に属していることになります。

さてアルブカ・ショーウィは南アフリカ共和国のケープ州、レソト州、クワズル・ナタール州、自由州などの海抜150~2400mの崖や岩場に生育する球根植物です。

葉は長さ15〜25cmの断面が円形の線状で、花茎同様短い腺毛が生えています。一番下の写真のように腺毛は規則正しく並んでいます。

6月頃に高さ約30cmまでの花茎を立てます。
花は総状花序につき、長さ15mmほどの大きく開く外花被3枚と閉じたままの内花被3枚からなり、6枚の花被は黄色で、緑色の縞が入っています。
内花被の先はしっかりと閉じていて、中を覗くことはできません。虫はこじ開けて蜜を吸うんでしょうね。
花は蕾の時には上向きに付いていますが、花柄が伸びるにつれ下向きになります。

冬には地上部は枯れてしまうので自生地では9月から2月に開花します。
花にはチョコレートのような香りがします。

2015年1月にNARGSの種子交換で手に入れたタネから生まれた株で、花が咲くまで4年かかっています。
細い葉で3cmほどの大きさに球根を太らせるわけですから当然でしょうね。

属名のアルブカは「白い」を意味するラテン語albusに由来し、白い花をつけるものが多いからとか、最初に発見された種類が白い花をつけていたからとか言われています。
種小名は採取者に由来していますが、1874年に命名したベイカー(John Gilbert Baker)さんはその由来を「ショー博士(Dr. Shaw)」としてしか記していません。この方はキュー植物園の園長などを務めたスコットランドの植物学者ジョン・ショー(John Shaw:1812-1890)さんと推測されています。
ベーカーさんはアルブカ・ショーウィの長くて薄い花柱と6本あるうちの外花被につく不稔性の雄しべに注目し、Albuca属のleptostyla(細い花柱)という新しい分類を立てようと考えていたようです。

 

 

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2019年6月25日 (火)

育てやすいコリダリス  Corydalis wilsonii

コリダリス・ウイルソニィ(Corydalis wilsonii:ケシ科コリダリス属)が咲いています。

コリダリス・ウイルソニィは中国湖北省の海抜3000m級の山地の石灰岩の崖の比較的乾燥した環境に自生しています。
正真正銘の高山植物で、したがって万人向けの植物ではありませんが、種子を手に入れれば容易に1年目に花を見ることができます。
コリダリスは花期が短いものが多いですが、ウイルソニィは5月初めに咲き出して、6月終わりまで、次々花茎を立てて咲いています。
夏越が難しいので1年草だと割り切れば、種子も稔り、実生で継続して育てることができます。

 

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 5月上旬、花が咲き出した頃
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こんな莢が稔ります
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2019年6月24日 (月)

太い根っこのタツナミソウ  Scutellaria hypericifolia

スクテラリア・ヒペリキフォリア(Scutellaria hypericifolia:シソ科タツナミソウ属)が咲いています。
 
スクテラリア・ヒペリキフォリアは1911年に中国四川省の山岳地帯で発見された、太さ1~2cmほどの根茎を持っている美しい青紫の花を咲かせるタツナミソウです。
海抜900〜4000mの山脈の林縁や斜面になった草原に自生しています。

 

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苞葉に包まれた蕾
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