2019年11月12日 (火)

葉の美しいシクラメン・コンフュスム Cyclamen confusum

シクラメン・コンフュスム(Cyclamen confusum:サクラソウ科シクラメン属)が咲いています。

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コンフュスムは1997年にシクラメン・ヘデリフォリウムの変種として公表されましたが、2002年に亜種に組み替えられましたが、2009年に形態からではなく、ゲノムレベルで基本種のヘデリフォリウムとはDNAの塩基配列が異なるため、クレタ島西部の限られた地域に自生するシクラメンに限り、独立した種と認められました。

シクラメン・コンフュスムは北西クレタのカステリ・キッサモス地区の特にトポリア(Topolia)とポリリニア(Polirinia)周辺の針葉樹と落葉の混交樹林地、時にはオリーブの林、また樹木の茂った峡谷の側面などの日陰に自生しています。
その際ヘデリフォリウムの亜種とされたクレタ島西部以外の個体群は、新しい亜種クラッシフォリウム(Cyclamen hederifolium subsp.crassifolium)として分類されています。

シクラメン・ヘデリフォリウムの変種であったという歴史があるだけに、花はヘデリフォリウムと変わりません。11月までの秋咲きで、濃いピンク色の花を咲かせます。花弁は長さ2~4cm、幅0.7~1.2cmで、花弁の先は尖っているか丸みを帯びています。ヘデリフォリウム以上に、しっかりとあごが張っています。
葉は開花中または開花後に遅れて現れ、長さ7~10cm,幅7~10cmの広いハート型か、しばしば角ばったり角が生えていたりします。ヘデリフォリウムに比べると葉の先の方の葉縁が作る角度がやや開いているとされています。肉厚で、光沢があり、曖昧な斑の入った明るい緑をし、裏面は紫がかっています。
このコンフュスムははっきりとした白い斑が入っています。なかなか美しい葉のコンフュスムです。

種小名コンフュスムは「紛らわしい」、「(特徴が)不明確な」という意味を持つラテン語で、以前から混乱していたことをうかがわせます。

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2019年11月11日 (月)

フロックスのようなオキザリス  Oxalis phloxidiflora

オキザリス・フィロキシディフロラ(Oxalis phloxidiflora:カタバミ科カタバミ属)が咲いています。

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萼の少し下に目立たないコブがあるのがわかるでしょうか。

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南アフリカ・ケープタウンの北約200 kmにある西ケープ州のオリファンツ(Olifants)川渓谷にあるクランウィリアム(Clanwilliam )の海抜600m付近の草原の斜面に自生しています。

芳香のあるオキザリスで、秋に活動を始めます。葉は3裂し、小葉は二つ折になった線状で、多くのオキザリスのように先には切れ目が入っています。その下面には薄い毛が生えていることもありますが、この株のように全草に非常に短い毛が生えていたり、全く生えていなかったりします。

異学名とされるオキザリス・マルリー(Oxalis mallyi)とは、一番下の写真のように、フィロキシディフロラには小さくて目立たないコブが1〜2個茎にあり、マルリーにはないとして区別されていましたが、今では同じものとして扱われています。
1〜3.5cmの6〜12本の葉柄ががかたまって1本の根生茎についています。
蕾の時は茶色くて目立たない花茎を出し、順番に径2〜3cmほどのピンクの花を数輪、開きます。

花弁は少しバンクして開平しているのでどちらか一方の縁が重なっていて、他のオキザリスのような花弁が均等に見えません。
花の筒部は黄色をしています。

ドイツの植物学者のフリードリッヒ・シュレクター(Friedrich Richard Rudolf Schlechter:1872–1925)さんが1899年に公表しています。同時にオキザリス・マルリーも発表しましたが、上記の通り、わずかな違いがあるだけで、後に同じものとされ、異学名となったいます。
シュレクターさんはアフリカ、インドネシア、オーストラリアなどを調査し、ラン科の植物だけで1000種もの新種を公表し、ランに関する著書があります。

種小名はギリシャ語で「フロックス属(クサキョウチクトウ属)に似た(Phlox」)と「花の(flora)」のようなという意味で、「フロックス属の花のような」オキザリスという意味です。

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2019年11月 1日 (金)

ケン・アスレットさんのオキザリス  Oxalis melanosticta

オキザリス・メラノスティクタ(Oxalis melanosticta:カタバミ科カタバミ属)が咲いています。

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オキザリス・メラノスティクタはオキザリス・プルプレア「ケン・アスレット 」(Oxalis purpurea 'Ken Aslet' )という名で園芸的に流通しています。園芸種でも何でもないようで、南アフリカケープ地方北西部のボッケベルデ崖(Bokkeveld Escarpment )から西カルー(Karoo)とモンタギュー(Montagu)に至るの乾燥した丘の斜面に自生する球根性の多年草です。

細かい白い毛が全草に生えています。葉は3小葉で、小葉の葉縁は下に巻き込み気味で、先は丸みを帯びています。
葉の上面は毛が密にはえて白っぽ見えます。下面は上面ほどではないけれど短い白い毛が生えています。

一番下の写真のように、葉裏から透かしてよく見てみると黒い小さな斑がうっすらと散らばっているのがわかります。オトギリソウ(弟切草:Hypericum erectum )ほどではないのですが、メラノスティクタという種小名がつけられたのだと思われます。メラノ(melan)は「黒い」、オスティクタ(osticta)は「点々の」という意味のギリシャ語で、「黒い点々がある」という特徴を指しています。

秋に葉を出し、花を咲かせ、春まで葉を茂らせ、暑くなる頃に地上部が枯れてしまいます。
葉が十分茂ったところで、球根から花柄を葉より上に伸ばし、ポツポツと咲きます。
径2cmほどの明るい黄色の花を咲かせます。

この植物はドイツ・ハンブルグの薬学者で植物学者のソンデル(Otto Wilhelm Sonder:1812-1881)さんによって1860年に公表されています。ソンデルさんはブラジルや喜望峰、熱帯オーストラリアの植物収集に従事しました。

園芸種の名のようにつけられている「ケン・アスレット」については、球根植物の栽培で著名なブライアン・マシュー(Brian Frederick Mathew :1936–?)がRHS園芸学校で教えていた頃、RHS園芸学校の庭園の手入れをしていたという逸話があることで知られるケン・アスレット(Ken Aslet )さんです。ケン・アスレットさんに関しては生没年を含め、これ以上のことはわかりません。英国では高山植物愛好家の間でレジェンドのようです。
ノウゼンハレン (Tropaeolum tuberosum 'Ken Aslet' )やムスカリ(Muscari 'Ken Aslet' )、クラッスラ(Crassula sarcocaulis 'Ken Aslet')にその名が残っています。

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2019年10月29日 (火)

ペンテリコン山のヘデリフォリウム  Cyclamen hederifolium ssp. Crassifolium

シクラメン・ヘデリフォリウム・クラッシフォリウム(Cyclamen hederifolium ssp. Crassifolium:サクラソウ科シクラメン属)が咲いています。

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シクラメン・ヘデリフォリウム・クラッシフォリウムは2009年にシクラメン・ヘデリフォリウムから分割された亜種でギリシャのペレポネス半島に自生しています。
形態だけではなく染色体数の両方でシクラメン・ヘデリフォリウムと異なることがわかり正式に記載されました。基本種同様、開花期は秋咲きで、ピンクの花以外に、白花も知られています。
開花期に出現する葉は、典型的なツタの葉形から、幅の広いハート形や狭い槍先形までありますが、亜種として評価されたのは肉厚で、表面にツヤがあるという特徴からです。
クラッシフォリウムのクラッス(Crass)というラテン語は「厚い、濃厚、太った」という意味、フォリウムは「葉の」という意味で、種小名は厚い葉を持つこの特徴を指しています。
この株のように時に葉縁に鋸歯を持つこともあります。葉に関しては多彩な特徴を表します。

この株の花は初花なので、寸詰まりで優美さに欠けますが、普通はシクラメン・ヘデリフォリウムと変わらない花を咲かせます。

1907年にギリシャのアテネ中心部から20kmほど北東のエーゲ海沿岸、アテネ神殿の大理石を切り出していたペンテリコン山(標高1109m)に自生していたシクラメンに、ドイツの植物学者ヒルデブラント(Friedrich Hermann Gustav Hildebrand:1835-1915 )さんがシクラメン・クラッシフォリウム(Cyclamen crassifolium)と命名しました。
なおヒルデブラントさんに関わるシクラメンにはシクラメン・ヒルデブランティー(Cyclamen x hildebrandii)が知られています。
また2009年に再評価されたときにはペンテリコン山の海抜499mの地点の標本が基準になっています。

属名ヘデリフォリウムはラテン語でヘデリが「ツタ」を意味し、それにフォリウムは「葉の」という意味で、「ツタ葉の」という意味になります。

 

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2019年10月22日 (火)

黄色い昼顔 Ipomoea obscura

イポモエア(イポメア )・オブスクラ(Ipomoea obscura:ヒルガオ科サツマイモ属 )が咲いています。


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蒔いた翌日出てきた双葉。
こんな風にしなしなで突然現れます。

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イポモエア属はヒルガオ科最大の属で亜熱帯から熱帯にかけて400種以上が知られています。
多くは蔓性や匍匐性を持ち、葉は全縁か切れ込みがあります。花は漏斗状か釣鐘状で先で5裂し、葉腋につきます

イポモエア・オブスクラは条件さえ整っておれば多年生、日本では1年生の長さ2〜3mになる蔓植物です。
熱帯アジアをからオーストラリア北部、フィジーにかけての地域が原産地で、草地や薮、人家のそば、明るい森、荒れ地、道路脇など、海岸から海抜1800mまでの山地のいたる所に自生しています。
ハワイやカレドニア諸島では既存植物に対する影響力が危惧されるほど、様々の環境に適応でき、広い地域に帰化しています。

葉は3〜9cmのハート形をしています。葉の縁に沿って褐紫色の細い筋が入り、黄色っぽい葉色を紫の輪郭で引き締めています。
蔓や新葉は薄紫色をし、3mほどまで伸びるそうです。蔓の先の方に花がつきますが、この株は行灯より高く伸びると摘んでいますので、なかなか花が咲きません。

アサガオのように短日性植物かと思い、背の低いままで花を咲かせようと8月になってから種を播きました。しかし秋咲きではあるけれど短日性でもないようなのでもっと早い時期に蒔いた方がよかったようです。
8月末から咲き出して、とにかく花はポツポツとしか開きません。ずっとシャッターチャンスを待っていたのですが、2輪同時咲きが精一杯です

アサガオの種子同様、固い皮に覆われていますのでタネの一部を削って蒔きました。1日水につけて蒔くと蒔いた翌日双葉が出ていました。それも蒔いた数だけ発芽しました。発芽率100%でした。

一般には肌色の花が咲きますが、これはIpomoea obscura 'Ethiopia'という選別種で、Ipomoea obscura var. ethiopiaと変種として記されていることもあります。よくわかりませんが、エチオピア地方の地域変種と言うことでしょうか。  
花は径3cm程の小さい昼顔ですが、アプリコットがかった鮮やかな黄色は魅力的です。また品種によっては喉部が濃紫色の花をつけるものもあるようです。

種子は有毒で、麦角アルカロイドを含み、LSD様の幻覚作用があと言われています。精神的な症状を治療する薬として用いられたようです。そのせいでしょうか、花と若い果実にアリが餌にたかるようによってきます。花はいざ知らず、果実には蜜腺のようなものはないと思うのですが。

 

1763年リンネさんがヒルガオ科セイヨウヒルガオ属、コンボルブルス・オブスクルス(Convolvulus obscurus)という名で最初に公表し、1899年にドイツの植物学者ハリエル(Johannes (Hans) Gottfried Hallier:1868–1932)さんが変種を公表する際にイポマエア属に移しました。
分布域が広いせいか、異学名には Ipomoea demissa,Ipomoea insuavis,Ipomoea incospicua,Ipomoea saltiana などがあります。

属名イポモエアはギリシャ語で、「虫(ips)」と「似る(homoios)」からなり、茎の様子を表していると言われています。
種小名オブスクラは「暗い、浅黒い、黒ずんだ」という意味のラテン語です。何を示しているのか不明です。

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