2018年11月12日 (月)

早咲き秋咲きスノードロップ 
Galanthus elwesii var. monostictus

昨年秋咲きのスノードロップに新種(Galanthus ssp.:ヒガンバナ科ガランツス属)が紛れ込んでいたと騒ぎましたが、元に戻っていました。


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今年も10月末から芽吹いてきて、何日か前から咲き出したスノードロップが数輪あります。
しかし内花披の緑の文様(apical mark)の雰囲気が違ったものは見当たりません。
早合点のガランサス・ エルウイシイ・モノスティクツス(Galanthus elwesii var. monostictus:ヒガンバナ科ガランツス属)だったんですかね。
ガランサス・ エルウイシイ・モノスティクツスについて詳しくはこちらをご覧下さい。

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2018年10月17日 (水)

トゥルヌフォールさんのタツナミソウ 
Scutellaria tournefortii

このタツナミソウ、スクテラリア・トゥルヌフォーリィ(Scutellaria tournefortii:シソ科タツナミソウ属)も以前に咲いたのですが、台風でひっくり返って枯れてたようになってしまいました。
しかし最近になって再び咲き出しました。


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Stournefortii4


Stournefortii2


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スクテラリア・トゥルヌフォーリィはトルコ南東部からイラン北部にかけての乾燥した山地に広く分布する多年草です。

茎は地面に近い方は紫がかっていますが、上部は葉同様、明るい緑で、無毛です。
基部で枝分かれをしたり、ランナーを出したりせず、まっすぐ立ち上がって、上部で展開するようです。
葉は卵形から丈の短い披針形で、大きな鋸歯があります。
葉裏も無毛だからでしょうか、ツヤがあるような明るい黄緑をしています。

6月〜8月にかけて花茎を立て、小さい苞葉から対になって蕾が生じ、次々と上へ上へと花を咲かせていきます。
草丈はせいぜい25cmほどですが、花茎が伸びていき50cmほどになります。

花は上唇弁の上部に薄い青紫のかかる白い花で、下唇弁にも薄青紫の吹き墨模様がついています。
日本人が好みそうな淡い上品な色の花です。
全草毛がないように見えるのですが、上唇弁には軟毛が生えています。

先のスクテラリア・ディフューザ同様、1832年にジョージ・ベンサム(George Bentham:1800 –1884) さんによって公表されています。
ヨーロッパでは古くから知られている割には情報の少ないタツナミソウです。

種小名のトゥルヌフォーリィは、1683年からパリ植物園で植物学の教授を務めたジョゼフ・ピトン・ドゥ・トゥルヌフォール(Joseph Pitton de Tournefort:1656–1708)さんに因みます。
トゥルヌフォールさんは「基礎植物学」(Eléments de botanique, ou Méthode pour reconnaître les Plantes)を1694年に出版し、7000種の植物を約700の属に分類し、種の上に属、目、綱をたてました。
リンネさんの植物分類は雄しべのあり方で綱の分類を行いましたが、トゥルヌフォールさんは今日のような花の形から綱を分類する現代の分類学の基礎を作りました。

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2018年10月14日 (日)

枯れつつ咲くタマアジサイ 
Hydrangea involucrata var. multiplex

ヨウラクタマアジサイ(瓔珞玉紫陽花:Hydrangea involucrata var. multiplex:ユキノシタ科アジサイ属)が枯れつつも花を開いています。


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タマアジサイは花序の初めが球形になるアジサイということで名づけられたそうです。
牧野新植物図鑑には本州北部と四国に分布とありますが、園芸植物大辞典には福島県から岐阜県にかけての本州中部と伊豆七島に分布しているとあります。
タマアジサイは他の種類のアジサイに比べ遅く咲き始め、7月~9月に開花します。

ヨウラクタマアジサイはタマアジサイの変異種で、東大教授で、小石川植物園長を務めた中井猛之進(1882 - 1952)さんによって昭和23年に伊豆大島で発見されました。
タマアジサイにはこれ以外に、花の特徴からギョクダンカ(玉段花)やココノエタマアジサイ、シロバナタマアジサイ、テマリタマアジサイが知られています。

タマアジサイは、花弁のように見えるガクが発達した白い装飾花と青紫をした両性花が、普通のアジサイのように額咲き(額のように平たく)に咲きます。

ところがヨウラクタマアジサイには両性花がなく、全て装飾花で、筒状に多数の萼片がつきます。
何重にも積み上がって塔咲き(段咲き)になり、それが仏教具の瓔珞という名につながっています。

そして白い花(萼片)が一斉に開くのではなく、根元から先へと、順に咲いて伸びていきます。
そういう訳でこの時期でも新しい花が見られるのです。

さらにヨウラクタマアジサイは玉が一斉に開花するのではなく、一つが球状に大きくなり、蕾の塊が現れます。
それが開いた頃に、次の蕾の塊が大きくなり、次に開くというようにして、長い間花を見ることができます。

夏の暑い頃は、新しく咲いた花(額)も茶色い色をしていて、咲いているのか、枯れているのかわからない状態です。
秋の気配が濃くなってくると、白からピンクの花らしい花(額)が見られるようになりました。

種小名のインボルクラタは、「総苞のある」のという意味で、蕾を様子を示しています。
変種名のムルチプレクスは「幾重にも重なる、多くのひだを持った」という意味です。

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2018年10月 9日 (火)

トルコのタツナミソウ 
Scutellaria diffusia

7月末に咲いたスクテラリア・ディフューザ(Scutellaria diffusa:シソ科タツナミソウ属)がまた、少し咲き出しました。

本格的に咲けばブログにアップしようと思ったのですが、ポツポツとしか咲きませんでした。
暑さで枯れ出してしまい、涼しくなってから持ち直し、また咲かせ始めました。


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7月末に咲いていた時の様子。下唇弁が濃い赤紫です。



スクテラリア・ディフューザはトルコの海抜900〜2100mの山地に分布する多年草です。
杉や松の森林地帯の岩場の斜面で見かけるそうです。

基部で枝分かれし、立ち上がっていきます。
背丈10〜15cmの高さになり、クッション状に広がります。
茎は紫がかった緑をしています。

上部の葉は5〜10mmの小さい全縁の小判型をしていますが、やや大きい基部の葉は緩い鋸歯がある卵形をしています。
どの葉にも軟毛が生え、やや灰色〜青味がかった明るい緑をしています。

花は春から夏に花茎を立てて2輪対になって咲きます。
花の長さは1cmほどで、赤紫色で、下唇弁には白い模様があります。

ただこの季節に咲いた花は、上唇弁は薄い赤紫色、本当に薄い紫の下唇弁には紫の吹きつけ紋が見えます。

2月にタネを播いたのですが、1年草のようにその年の内に花を咲かせてくれました。
乾燥と暑さには強いようです。

英名はTurkish Skullcap(トルコのタツナミソウ)

種小名ディフューザはラテン語のdiffususに由来し、「散開した、広がった、散った、しみ通った」という意味です。クッション状に広がることを示したものだと思います。

このタツナミソウを1848年に命名したジョージ・ベンサム(George Bentham:1800〜1884)さん は英国の植物学者で、有名な哲学者・経済学者のジェレミ・ベンサムの甥になります。彼の死後、長きにわたってキューガーデンの園長を務めたジョセフ・ダルトン・フッカー(Joseph Dalton Hooker:1817〜1911)さんが草本類の「ベンサムとフッカーの分類体系」(Bentham & Hooker system)としてまとめています。

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2018年10月 2日 (火)

また咲いたスエーデンのムシトリナデシコ 
Silene suecica

7月頃に咲いていたシレネ・スエシカ(Silene suecica:ナデシコ科)が、9月後半にまた咲き出しました。

シレネ・スエシカはアルプスの赤ムシトリナデシコ(Red Alpine catchfly:ナデシコ科シレネ(マンテマ)属)と呼ばれています。


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これは7月に咲いたシレネ・スエシカ


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これが花茎が枯れてしまった後に、また咲き出しましたシレネ・スエシカです。花の大きさは半分ぐらい。
先日の台風で傷んでしまいました。

シレネ・スエシカは、ノルウエーやスエーデンの山岳地帯が元々の自生地ですが、その生息範囲は広く、ヨーロッパアルプスやピレネー山脈のみならずグリーンランドや北米でも目にすることができます。
ただ北米のものは亜種として区別するという考えがあります。
いずれも石灰岩地の草原、河川のほとりや海岸の崖の瓦礫地に咲いています。

シレネ・スエシカは宿根草で、茎は直立し、花が無いときは背丈は15cmまでですが、花の時期は30cmを越えます。
青緑色の葉は滑らかで、全縁で、細めの披針形をしています。
葉は対生し、基部は茎を抱くようにつきます。
シレネ属は茎上部のに帯状に粘液を分泌することが多いですが、シレネ・スエシカはありません。

6月頃から夏にかけて、枝の先が枝分かれし、その先に集散状に5〜20輪つけます。
直径0.8〜1.5cmの花弁の先に刻みのある5弁の濃紅色の花です。
雄しべは10本、雌しべは5本あります。
萼は薄い緑色で紫色の筋が入っています。長さ約20mmの5裂する筒状をしています。

花が開平部(舷部)と筒状(爪部)の境目(喉部)に副花冠のような付属物が細い花弁のように飛び出しています。
花には香りがあります。

よく見かけるムシトリナデシコ(Silene armeria)に比べると、こちらは高嶺の花、凛としています。

属名シレネはギリシャ語のsialon(唾液)に由来し、花茎から粘液を出すものが多いことからといわれています。

種小名のスエシカは「スエーデンの」という意味です。

シレネ・スエシカは、はじめにリンネさんがリクニス属(センノウ属)の植物(Lychnis alpina)として1753年に命名しました。
その後グレイ(Asa Gray:1810 –1888)さんがSilene alpina とシレネ属に再分類しました。
しかしロンドンのハックニー植物園(Hackney Botanic Garden)を創設したジョージ・ロッディジーズ(George Loddiges:1786–1846)さんが、その植物を既にLychnis suecicaと1824年に命名していましたのでこちらが正式な名称となりました。
そして1982年になってスイス人の植物学者グロイテル(Greuter & Burdet)さんたちがシレネ属として同定したようです。
シレネ属は300種類が北半球、南アフリカに分布していますが、シレネとリクニスの違いは、基部の子房が3〜5室に分かれているのがシレネ属、子房が1室だけのものをリクニス属として区別します。
似た花で、構造的にわずかな違いですが、形態分類学的には大きな違いなんですね。

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«中国カンゼ・チベット族自治州のデルフィニウム
Delphinium tatsiense