2019年9月10日 (火)

小さいアルブカ  Albuca polyphylla

アルブカ・ポリフィラ(Albuca polyphylla:ユリ(キジカクシ)科アルブカ属)が咲きました。

このアルブカ、2018年10月に蒔いた種子から咲いたので、1年足らずで咲いたことになります。播種1年目は葉を出したまま冬眠もしませんので、効率よく太ったのかもしれません。
花を咲かせるためには球根の直径は3〜5cmは必要だと言われています。掘り起こしたところ径1cm長さ2cm程の楕円形をしていました。

Albucapolyphylla2

Albucapolyphylla1

Albucapolyphylla3

Albuca fumilis との茎の比較
左:Albuca polyphylla 右:Albuca fumilis

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花茎が出だした頃。苞葉が目立っています。

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蕾がついていることがわかるようになりました。

Albucapolyphylla5

アルブカ・ポリフィラは南アフリカ共和国の東ケープ州や西ケープ州の東部、ドラッケンバーグ山脈の、ある時期だけ湿原になる泥土地などの岩の割れ目や礫の中に自生しています。夏に活動するアルブカです。

球根の頭頂部からから葉を根出し、葉は巻いたり、ねじれたりせず、しなりながら広がります。
葉は無毛でつやがあり、明るい緑色をしています。やや肉厚の幅2〜3mm、長さ5〜8cmの線形で、中心に溝があります。この株はまだ5枚ほどしかありませんが、普通は12~15枚の葉が根出すると言われています。

花茎は円柱状でしっかりしており、高さが15cmほどになります。
夏に葉の中から、披針形の苞葉に包まれて花茎を出します。花は散状花序に上向きに3~5輪が開きます。
花被片は楕円形で白色をしており、竜骨部は緑色をしています。
俯いて咲く種類と違い、内花被は少し開き、中を覗くことができます。花糸は白く、扁平で、花被片から飛び出すことはありません。3枚の内花被には花糸が合着していて、先端がフード状になって葯を隠しています。
内花被にひっついている葯は、離れた葯より小さく白っぽい色をしています。
なお苞葉は相対的に小さくなって花のすぐしたの花茎にくっついています。

 アルブカ・フミリス(Albuca fumilis)に大きさや花の雰囲気がよく似ていますが、葉で区別できます。フミリスの葉は深緑色をし、断面が円形で、松葉のような葉ですが、ポリフィラの葉は多肉っぽい円形で、溝があります。

1872年に英国人で南アフリカに移住した大学教員のマコーワン(Peter MacOwan:1830-1909)さんによって喜望峰の東部地方で採集されたものがキュー王立庭園に送られ、1874年3月に開花し、それを英国の植物学者でキュー王立庭園の植物園の管理者だったベイカー(John Gilbert Baker:1834 –1920) さんが1874年に公表しました。

異学名はオルニトガルム属と考えられていた時の名、オルニトガルム・テレティフォリウム(Ornithogalum teretifolium)です。「磨かれた葉の」という意味で、葉に艶があることを指しています。
種小名ポリフィラは「葉の多い」という意味のラテン語です。

 

 

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2019年8月30日 (金)

小さなゼフィランサス  Zephyranthes minima

ゼフィランテス・ミニマ (Zephyranthes minima:ヒガンバナ科ゼフィランテス(タマスダレ)属)が咲きました。

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苞を被った蕾です。尻尾のように先が立っています。

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果実です。種子が1列あたり10個、3列入っています。
Zephyranthusminima6

 

ゼフィランテス属は園芸的にゼフィランサスと呼ばれています。新大陸の温帯を中心に35種程が分布しています。耐寒性のある種類と非耐寒性の種類、春咲きと夏咲きの種類があります。乾燥・高温期の後に雨が降ると開花する種類はレインリリー(rain lily)と呼ばれています。
1個の球根に1〜3本の花茎を出し、茎頂に1花をつけます。蕾は先端が二裂する仏炎苞のような苞葉に包まれています。

ゼフィランテス・ミニマは南米アルゼンチン、海抜2600m以上のボリビアの高地、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジルに自生する小型球根植物です。

葉は糸状で、長さ10cmほどで、花をつける球根であれば葉は3枚出現します。
夏も朝晩が涼しく感じる頃から秋にかけて、秋雨の後に、葉と同じ太さの花茎を伸ばします。葉と花茎の違いは、花茎は先が赤くなり、太くなるにつれ、赤い苞葉に包まれた蕾になっていきます。
花芽は葉が3枚出た後次に出る葉に花芽がつくという花軸分枝という振る舞いを花期中何回か繰り返します。

6裂する白い花は径10mmほどで、漏斗形に開きます。
花被片の裏側に赤い筋が入り、ピンク色を呈します。花被片の先の方も濃い赤色に染まります。おおよそ一日花で、朝咲くと夕方には枯れてしまいます。
小さい花なので地植えにすると目立ちません。小鉢に植えて目を近づけて鑑賞するのに向いています。

タネを播いた時にはこの花の知識がなく、そのまま放置しておいたので、知らない間に花茎をあげていました。ほったらかしで二冬を越したので耐寒性はあるようです。

球根植物を研究した英国の植物学者ハーバート(William Herbert:1778–1847)さんによって1837年に公表されています。

属名はギリシャ語の Zephyros(西風の意味)と anthos(花の意味)が語源となっています。西半球に分布するので、ヨーロッパから見て西方の花と言うことではないかと思います。

種小名はラテン語で「最小の、非常に小さい」という意味です。

 

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2019年8月27日 (火)

エサシソウ Verbascum blattaria f. erubescens

エサシソウ(江差草:Verbascum blattaria f. erubescens:ゴマノハグサ科モウズイカ属)が咲いています。

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蕾です
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果実です。見た目は蕾とあまり変わりません。
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基本種のベルバスクム(バーバスカム、ウエルバスクム)・ブラッタリア(Verbascum blattaria v. blattaria)は地中海沿岸のヨーロッパや北アフリカに分布する2年草で、黄色い花を咲かせます。
その品種で、ピンクがかった花を咲かせるものがベルバスクム・ブラッタリア ・エルベスケンス(Verbascum blattaria f. erubescens;品種名の意味は「紅色を呈する」)、白花を咲かせるものが ベルバスクム・ブラッタリア ・アルビフロラ(Verbascum blattaria f. albiflora;意味は「白花の」)ということです。

エサシソウは園芸植物として明治時代に移入され、帰化が確認された場所が北海道函館市近辺の江差地方であったので江差という地名が冠されたようです。
北海道帰化植物便覧(五十嵐博著、北海道野生植物研究所刊、2000)には1930年に今の札幌市南区の真駒内で観察されたと記されています。
エサシソウという名の他に、根生葉の様子からタバコグサ(煙草草)、ニワタバコ(庭煙草)と呼ばれています。
なお白花品種はエサシソウではなくシロバナモウズイカ(白花毛蕊花)という和名がありますが、以前は桃花種だけでなく白花種もすべてエサシソウとよばれ、シロバナモウズイカと呼ばれるようになったのはそんなに古くではないようです。

草丈1m以上になると言うことですが、この株は50cmどまりです。花茎の下部で枝分かれして数本の花茎を立てます。花茎は細い割には丈夫です。
根生葉には長い葉柄がありますが、茎につく葉は茎を抱きます。

花は径2.5cmほどの、ややいびつに5裂し、左右対称形をしています。
花弁の表面以外全草に腺毛が生えています。
モウズイカを漢字で書けば「毛蘂花」です。その由来は紫色の雄しべの花糸に長い毛がついているからで、雄しべの2本は長く大雑把に長毛がついていますが、3本は短くて長毛を密生します。毛にも腺毛があります
茎を折ると白い乳液が出るのですが、しばらくすると黒いコールタール状に変わります。

果実は扁球形の朔果で、非常に小さな種子を稔らせます。無数の種子が入った果実を何百個と稔らせるといわれ、ものすごい繁殖力の故、全地に広がった米国では有害植物に指定している州もあります。

雄しべが蛾の触角に似ているので、英名は moth mullein(モス・マラン、蛾のモウズイカ)と呼ばれています。
種小名は「ゴキブリ(blatta)の」という意味で、古くからこの植物はゴキブリを寄せ付けないことが知られています。

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2019年8月 8日 (木)

鉄の草  Vernonia fasciculata

バーノニア・ファスキクラタ(Vernonia fasciculata:キク科バーノニア属)が咲いています。

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バーノニア属は日本では九州にヤンバルヒゴタイ(ムラサキムカシヨモギ、ショウジョウハグマなど名前があります)( Vernonia cinere(Cyanthillium cinereum))1種が知られていましたが、ヤンバルヒゴタイは他の属に移されましたので、日本には分布していないことになります。世界には500〜1000種が温帯から熱帯に分布していて、ほとんどがピンクから紫の花をつけます。
花の付け根にかわら重ね状にならぶ総包片(萼のように見えるもの)を持っています。

バーノニア・ファスキクラタはカナダ南中部や米国中部から東部に分布する多年草で、草原や湿原、沼沢地などに自生しています。

茎は50〜100cmに直立して伸び、途中で枝を出すことはなく、茎頂で枝分かれします。 茎は非常に丈夫です。
葉は薄いけれど堅い、長さ10cmほどの鋸歯状縁の狭披針形、狭卵形をしています。

夏の終わりから秋にかけて、茎頂で枝分かれしながら散房花序に頭花をつけます。
赤紫色の花は筒状花で、先で5裂し、花色と同じ色の雄しべと白い雌しべが飛び出しています。それが10数から20輪がまとまってついています。
この種類は、種を稔らせると鉄さび色の綿毛を出すのでアイアンウィード(鉄草:ironweed)といいます。
このバーノニア・ファスキクラタは草原で見かけるのでPrairie ironweedやSmooth ironweedと呼ばれています。

わざわざ種を播かなくても繁殖できる強さを持つもかかわらず、魅力的な花を咲かせます。

一般に湿った土壌では背が高くなりますが、夏前に茎を刈ることによって、背丈を低くすることができます。 現地では、他のベルノニア属の種類と交雑しやすいので種類の同定が難しいようです。

2015年にNAGRGSから、ベロニカと一字違いなので間違えて、種子交換で手に入れました。それからは勝手に実生で生えています。 実生で簡単に増えていくようなので、夏の殺風景な場所にふさわしいかもしれません。 多分油断すると増え過ぎるような気がします。

属名のバーノニアは英国の苔蘚類の植物学者で鱗翅類の昆虫学者でもあった植物採集家のウイリアム・バーノン(William Vernon:1666-1711)さんに因んで、ドイツの博物学者シュレーバー(J.C.D. Schreber:1739–1810 )さんが命名しました。 バーノンさんは1698年に米国メリーランド州に渡り、メリーランド州の植物、動物、化石、貝殻などを採取しています。

種小名はラテン語で「束になった、束生の」という意味で、花など(茎や枝、葉) が集まって、束のように見える状態を指しているのだろうと推測しています 。

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2019年8月 5日 (月)

もじゃもじゃのコウゾリナ  Hieracium villosum

ヒエラキウム・ビロスム(Hieracium villosum:キク科ヒエラキウム属 )が咲きました。

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ヒエラキウム属は世界に約800種が知られており、主にヨーロッパを中心に、北半球の温帯に分布し、一部はアフリカにも分布しています。ほとんどが多年草で、茎葉に腺毛を持ちます。
小花は舌状の両性花で、花の色は黄色が多く、まれに橙黄色や赤色があます。花柄に単生する種類もあれば、散房状または円錐状に多数つけるものもあります。

ヒエラキウム・ビロスムは西はフランス、イタリア、バルカン半島から中央ヨーロッパを経て、ロシアかけてに分布しています。海抜1400~2500mの山岳地帯に広がる石灰質土壌の草原に自生しています。

葉は根生葉のみで、長さ4.5~8.5cmの全縁の楕円形から皮針形をしています
葉は白く長い細い毛で覆われています。暑くなると薄くなりますが、幼苗のころは葉が小さいにもかかわらず、毛の長さが今と変わりませんから、幼苗の頃は多肉植物を想像させます。

夏に近づく頃、根生葉の真ん中に大きな集合花の蕾が現れ、そこから花茎を伸ばして茎頂に1輪花をつけます。
頭花が大きくなるにつれ苞葉から花茎を出し、次の頭花をつけます。
このようにして花茎が伸びるにつれ、根生葉の節間が伸び、根生葉は茎につく葉に変わっていきます。
ですからこれを根生葉と呼んでよいのかわかりません。
花は径4cmほどで明るい黄色をています。萼にも白い毛が密生しています。
総状花序に頭花をつけ、結局花茎は20〜30cmの長さになります。
葉をちぎったりすると白い分泌物が出ます。

属名は古代ギリシャ語のhierax(ヒエラクス、古代ギリシャ語の鷹)に由来します。古代ギリシャでこの種類の植物をこう呼んでいたようです。
古代ギリシャで、鷹がこの植物の分泌物を好むとという言い伝えからついた名のようです

英名もHawkweed(鷹草)でギリシャ名に習っているようです。

種小名ビロスムはラテン語のvillosusに由来し、「毛の多い、もじゃもじゃの」という意味です。

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