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2016年6月 2日 (木)

遅咲きムスカリ 
Leopoldia comosa

レオポルディア・コモサ(Leopoldia comosa:ユリ科レオポルディア属)が咲いています。


Leopoldiacomosa1


Leopoldiacomosa4


Leopoldiacomosa2


Leopoldiacomosa3


以前はムスカリ属に含められていたレオポルディア属はシラーに近い仲間で、カナリア諸島、島々を含む地中海沿岸からイランまでの広い範囲に分布し、生態的に適応性のある球根植物です。
ムスカリより背が高く、遅咲きで、晩春から初夏に花を咲かせます。
総状花序に花をつけますが、上部は釘を刺したような濃い色の不稔性花がつき、下に行くほど、花の間隔が大きくあき、明るい色の壺状の稔性花になります。下部の花は白、黄色、緑色、茶色をしています。

レオポルディア・コモサはヨーロッパ南部からトルコやイランまでの広い範囲に分布しています。
地表に葉が出るのはそんなに遅い時期ではないのですが、葉が少し顔を覗かしても展開するまでが遅いのです。
他の植物が生い茂ってから伸びてくるので、それに隠れてしまって葉っぱがどんな形をしているかも分かりません。
背丈は20〜30cmですが、50cmに伸びるのもあるそうです。

花序の上部の花は不稔性で、長い花梗があり、上に伸びます。青紫色で、釘の頭型の口の開かない花がつきます。
その花の下には紫がかった蕾から、花梗を横に伸ばし、壺型の花が横向きに開きます。花色は薄茶色から薄茶緑色に変わっていきます。
花の口元は白くなっています。
花にはかび臭い臭いがします。

コモサは、ハネムスカリという和名を持ち、上部の花は羽のような「プルモーサム('Plumosum':ラテン語で「羽根の」という意味)」という園芸種が有名です。
「プルモーサム」に比べると原種は地味です。

レオポルディア・コモサは園芸的にムスカリ・コモサム(Muscara comosam)で流通しています。
地中海沿岸では観賞用ではなく食材で、野生のタマネギという扱いをされています。
イタリア南部では、ランパスキオーニ・ソットリオ(Lampascioni sott'olio)と呼ばれるオリーブオイルづけが有名です。苦みのある薬味として使われているようです。

レオポルディアの名称についてややこしい経緯がありますので、そこを説明します。
レオポルディア属の多くは以前はムスカリ属に含まれていましたが、レオポルディア属という名称自体は、英国の牧師で、植物学者、植物画家のウイリアム・ハーバート(William Herbert:1778–1847)さんが、アメリカ大陸に自生するアマリリスの仮称として1819年に用いたのが最初だそうです。そのアメリカ大陸のアマリリスの仲間は、今日ではレオポルディアではなく、ヒッペアスツルム属(Hippeastrum)と呼ばれています。

それとは別に、1845年にイタリアの植物学者のフィリッポ・パルラロトーレ(Filippo Parlatore:1816–1877)さんがムスカリから再分類した時にレオポルディアの名を使用しました。
1970年になってパルラロトーレさんの分類がこの種類のムスカリに対する保留名(新しい発見物についての命名権)になったとそうです。今ではレオポルディアを命名者と共に表記する際にはLeopoldia Parl. という命名者としてパルラロトーレさんの名が記されます。

属名のレオポルディアは、ハーバートさんのアマリリス属に関する書籍('Amaryllidaceae':1837)に、ベルギー国王レオポルド1世(Leopold I:1790-1865)に献呈したとありますので、ハーバートさんと交流のあったレオポルド1世に因む名だと推測されます。

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