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2017年4月29日 (土)

愛らしいムスカリ 
Muscari pulchellum ver. pulchellum

ムスカリ・プルケルム(Muscari pulchellum ssp. pulchellum:ユリ科ムスカリ属)が咲きました。


Mpulchellum1


Mpulchellum2


Mpulchellum3


Mpulchellum4


Mpulchellum6

ボツリアンツス亜属のムスカリですが、「愛らしい」という種小名通りの比較的サイズの小さい種類です。
ムスカリ・ネグレクツム(Muscari neglectum)の矮性変種、あるいは近縁種と見なされています。

ペロポネソス半島や対岸のギリシャ側南東部、ポロス島やクレタ島などのエーゲ海の島々などの海抜100〜1200m山地に分布しています。
石灰岩の瓦礫地の斜面やギリシャモミの林間に自生しています。

葉は球根の中心から出るのではなく、いびつなところから3〜5枚出てきます。
葉は線形で、10〜20cmの長さです。ムスカリ・アルメニアクム(Muscari armeniacum)のように渦を巻くように地面に沿って広がっています。
花茎は15cmほどで、下部の稔性花は黒のような暗青色をしています。
1番上の写真では、背丈が小さいのに花序が長そうに見えるのは、花自体が小さいからで、花の長さは5mmほどです。
上部の不稔花は淡青色をしていますが、5輪ほどしかなく、ない個体もあるようです。

面白いのは蕾の時に花序のてっぺんが色づくことです。
てっぺんに紺の色がついてから、下の方の蕾に同じ色がつき、下から順に花が開いていきますます。
その様子が一番下の写真ですが、紺、深緑、紺という色合いは、和風で、粋な組み合わせです。
そしててっぺんの紺がだんだんと膨らむにつれ空色になっていきます。
その頃には下の花が黒色に変わっていき、開口部に沿って白い縞がつきます。

この植物はフォン・ヘルドライヒ(Theodor Heinrich von Held Reich:1822-1902)さんとギオバンニ・サルトーレリ(Giovanni Battista Sartorelli:1780-1853)さんによって 1859年に公表されています。
フォン・ヘルドライヒさんはレオポルディア・テヌイフロラ(Leopoldia tenuiflora)を公表したドイツ生まれの植物学者で、アテネ植物園園長の、学名にHeldr.と記されます。
サルトーレリさんは学名にSart.と記されるイタリア人の植物学者で、イタリア北西部の森林の花を調査しました。

これ以外の亜種としてはムスカリ・プルケルム・クレプシドロイデス(Muscari pulchellum ssp. clepsydroides)が知られています。基本種に比べるとずっと遅く、キューガーデンのKarlén, T.によって1984年に公表されています。
ムスカリ・プルケルム・クレプシドロイデスは、エーゲ海中部・キクラデス諸島のナクソス島に分布し、基本種ほど色が濃くないようです。
変種名クレプシドロイデスは「水時計(clepsydra)のような(oides)」という意味ですが、どの特徴を指しているか分かりません。

異学名はBotryanthus lelievrii var. pulchellus,Botryanthus pulchellus,Muscari racemosum subsp. pulchellum,
Muscari racemosum var. pulchellumなどで、似ても似つかぬムスカリ・ラケモスム(Muscari racemosum)の変種や亜種と考えられていたのは、ムスカリ属への混乱があったからでしょう。

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