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2018年10月 2日 (火)

また咲いたスエーデンのムシトリナデシコ 
Silene suecica

7月頃に咲いていたシレネ・スエシカ(Silene suecica:ナデシコ科)が、9月後半にまた咲き出しました。

シレネ・スエシカはアルプスの赤ムシトリナデシコ(Red Alpine catchfly:ナデシコ科シレネ(マンテマ)属)と呼ばれています。


Silenesuecica1

これは7月に咲いたシレネ・スエシカ


Silenesuecica2


Silenesuecica3


Silenesuecica4


Silenesuecica5

これが花茎が枯れてしまった後に、また咲き出しましたシレネ・スエシカです。花の大きさは半分ぐらい。
先日の台風で傷んでしまいました。

シレネ・スエシカは、ノルウエーやスエーデンの山岳地帯が元々の自生地ですが、その生息範囲は広く、ヨーロッパアルプスやピレネー山脈のみならずグリーンランドや北米でも目にすることができます。
ただ北米のものは亜種として区別するという考えがあります。
いずれも石灰岩地の草原、河川のほとりや海岸の崖の瓦礫地に咲いています。

シレネ・スエシカは宿根草で、茎は直立し、花が無いときは背丈は15cmまでですが、花の時期は30cmを越えます。
青緑色の葉は滑らかで、全縁で、細めの披針形をしています。
葉は対生し、基部は茎を抱くようにつきます。
シレネ属は茎上部のに帯状に粘液を分泌することが多いですが、シレネ・スエシカはありません。

6月頃から夏にかけて、枝の先が枝分かれし、その先に集散状に5〜20輪つけます。
直径0.8〜1.5cmの花弁の先に刻みのある5弁の濃紅色の花です。
雄しべは10本、雌しべは5本あります。
萼は薄い緑色で紫色の筋が入っています。長さ約20mmの5裂する筒状をしています。

花が開平部(舷部)と筒状(爪部)の境目(喉部)に副花冠のような付属物が細い花弁のように飛び出しています。
花には香りがあります。

よく見かけるムシトリナデシコ(Silene armeria)に比べると、こちらは高嶺の花、凛としています。

属名シレネはギリシャ語のsialon(唾液)に由来し、花茎から粘液を出すものが多いことからといわれています。

種小名のスエシカは「スエーデンの」という意味です。

シレネ・スエシカは、はじめにリンネさんがリクニス属(センノウ属)の植物(Lychnis alpina)として1753年に命名しました。
その後グレイ(Asa Gray:1810 –1888)さんがSilene alpina とシレネ属に再分類しました。
しかしロンドンのハックニー植物園(Hackney Botanic Garden)を創設したジョージ・ロッディジーズ(George Loddiges:1786–1846)さんが、その植物を既にLychnis suecicaと1824年に命名していましたのでこちらが正式な名称となりました。
そして1982年になってスイス人の植物学者グロイテル(Greuter & Burdet)さんたちがシレネ属として同定したようです。
シレネ属は300種類が北半球、南アフリカに分布していますが、シレネとリクニスの違いは、基部の子房が3〜5室に分かれているのがシレネ属、子房が1室だけのものをリクニス属として区別します。
似た花で、構造的にわずかな違いですが、形態分類学的には大きな違いなんですね。

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