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2019年10月17日 (木)

町の中にオトコオミナエシ  Patrinia x hybrida

町の中にオトコオミナエシ (Patrinia x hybrida:スイカズラ科オミナエシ属)が咲いていました。
農村や里山なら不思議ではないのですが、アスファルト道路の側溝にはえていました。

Patriniahybrida1

Patriniahybrida4

Patriniahybrida2

Patriniahybrida3

Patriniahybrida5

牧野富太郎(1862-1957)さんが命名したオトコオミナエシは従来オトコエシオミナエシの自然雑種とされてきました。しかし2014年に東京大学総合研究博物館の池田 博さんたちがこのような特徴をもつものはオトコエシとオミナエシの雑種ではな く、オトコエシ内の特殊な交雑の可能性が考えられるようになっています。

オトコエシには葉緑体の染色体解析から、相同染色体数が2n=22本あるものが基準になっていますが、それ以外に44本(2倍体)、66本(3倍体)、88本(4倍体)、99本(?)、110本(5倍体)、132本(6倍体)のオトコエシがあり、132本あるものは普通は白色の花だけをつけるオトコエシと異なり、淡黄色の花が混じることが知られています。

池田 博さんたちの調査から、オトコエシは染色体数によって分布する地域が異なり、
 22本 九州西部と韓国に分布する系統
 44本 北海道から滋賀県まで分布する東日本系統
 66~132本 近畿地方から九州まで分布する西日本系統 
の3群があることがわかりました。西日本では3倍から6倍の染色体を示す染色体多型を示し、オトコエシとオミナエシには遺伝的に明確な違いがあることもわかりました。
結論として、黄花や黄花と白花が混在するオトコオミナエシはオミナエシとの雑種によって生じたのではなく、オトコエシ種内における高次倍数染色体間の交雑によって生じたと推測できます。

オトコエシは朝鮮半島や中国、北海道から九州まで分布し、日当たりのよい山や草原によく見られる多年草です。
根元から長い匍匐枝を出し、匍匐枝の先に新株を作り、草丈は0.6〜1mになります。
全体に毛が生えています。葉は対生し、長さ3〜15cmで、多くは羽状に分かれ、裂片は卵状長楕円形をしています。先端の小葉が最も大きく、1枚の葉のように見えるものもあります。
花は8〜10月に茎頂部で分枝し、集散花序に散房状に白い4mmほどの5弁花を多数つけます。
果実は長さ約3mmの倒卵形の痩果で、団扇のように種子周囲に翼がついています。

一方オトコオミナエシの草姿はオミナエシよりオトコエシの雰囲気が強く、草丈が0.6〜1mになります。
葉は対生し羽状に裂けます。花は集散花序に多数つき、オトコオミナエシだと同定できる明確な特徴は白い花の中に黄色い花が混ざるもの、黄色い花の中に白い花が混ざるもの、薄い黄色のものがあることです。

名前は、「おみなえし(女郎花)」と対でつけられたもので、男性的な感じがすることからと言われています。

属名のパトリニアはフランスの鉱物学者で博物学者のパトラン(Eugène Louis Melchior Patrin:1742-1815)さんに因みます。1780年からシベリアで8年間を過ごし、ウラル山脈、アルタイ山脈 、シベリアの他の地域を探検し、多くの鉱物や植物の標本を収集しました。

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