« ヒマラヤのタツナミソウ  Scutellaria prostrata | トップページ | カリフォルニアのタツナミソウ »

2020年5月19日 (火)

愛らしいスミレ  Viola tokubuchiana var. takedana

少し前に咲いていたヒナスミレ(Viola tokubuchiana var. takedana:スミレ科スミレ属)です。

Vtabuchianatakedana1_20200519113601

Vtabuchianatakedana2

Vtabuchianatakedana4

Vtabuchianatakedana3

Vtabuchianatakedana5

 

ヒナスミレは北海道南部から九州中部まで分布し、日本以外にも中国遼寧省や朝鮮半島に分布しています。
低い山中の落葉樹林の林床や林際などに自生しています。

草丈は3~8cmで、高くなるというより、花を含め立ち上がるというより、横に広がります。
葉は5cmまでの長卵形から披針形で、葉の厚さが厚いためか、基部が巻き込むことがないため、心形であることが容易にわかります。
葉縁には粗く鋭い鋸歯が入ります。

花は地際で、地面すれすれに咲き、花茎を伸ばそうという気はさらさら無いように見えます。
花は幅1.5〜2cmで、見とれるような淡紅紫色をし、太く少し長めの距にも同じ色が載ります。
唇弁には濃い紅紫色の筋が入ります。側弁に毛がまばらに生えています。

春を感じさせる愛らしいすみれです。


種小名トクブチアナは採集者の徳淵永治郎(1864-1912)さんに由来します。徳淵さんは札幌農学校で用務員を長く続けた後、独学で(旧制)中等学校教員試験に合格し、愛知県の中学校教員、秋田県立農学校、島根県立農林学校で教鞭をとる傍ら植物採集をされた方です。

変種名タケダナは武田久吉(1883-1972)さんに因みます。武田さんは外交官で、1910年にイギリスに留学中にキューガーデンで植物学を学び、その後植物学で理学博士号を取得し、京都大学臨湖実験所講師、北海道大学講師を務めた方です。日本山岳会の創設に係わり、高山植物の研究を行いました。尾瀬の保護に努めたことから「尾瀬の父」と呼ばれています。

ビオラ・トクブチアナ(Viola tokubuchiana)はフジスミレという和名で牧野富太郎さんによって1902年に公表されています。
またヒナスミレは、最初にビオラ・タケダナ(Viola takedana)として牧野富太郎によって命名されましたが、1954年に東大教授の前川 文夫(1908-1984)さんがビオラ・トクブチアナの変種としてビオラ・トクブチアナ・タケダナと組み替えをしています。

 

 

 

|

« ヒマラヤのタツナミソウ  Scutellaria prostrata | トップページ | カリフォルニアのタツナミソウ »

スミレ (Viola) (122)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ヒマラヤのタツナミソウ  Scutellaria prostrata | トップページ | カリフォルニアのタツナミソウ »