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2020年8月30日 (日)

ピンクのアボニア  Avonia mallei

アボニア・マーレイ(Avonia mallei:スベリヒユ科アボニア属)が花をつけました。

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枝の先に蕾をつけています。
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蕾には真ん中に筋が入っています。
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アボニア属はアフリカ南部に20〜100種が知られており、寿命の短い多年生の亜低木またはマット状に広がる草本です。地中に塊茎状の根茎を作り、披針形や円形の多肉状の葉は節間の詰まった互生や輪生してついています。葉は鱗片状や繊維状の托葉に隠れています。
花は5枚の花弁を持つ放線対称形で、白色、ピンク色、薄紫色をしています。
葉に隠れて見えないことが多いのですが、萼片は2枚、花弁の基部には多数の雄ずいがあります。夏の晴れた日の午後に1〜3時間だけ花が開きます。

アボニア・マーレイは、知られるようになってからあまり経っていないからか(といっても20年は経っています)、情報が少なく、西ケープ州北部の大西洋側沿岸に自生しているということ以外わかりませんです。石英岩土壌の尾根や斜面地の、日陰になるものはなにもない所に自生しているようです。
1995年に歯科医で植物学者のグラハム・ウイリアムソン(Graham Williamson:1932-2017)さんによって命名されています。彼は1997年にアナカンプセロス属(Anacampseros mallei)として再分類しています。ウイリアムソンさんはジンバブエ生まれで、ザンビアで歯科医院を開業しながら、南アフリカや中央アフリカの植物を450以上を収集し、現在までに公表された記載は23属60以上にのぼるといわれています。アボニアについても5種を命名しています。

アボニア・マーレイの植物体を覆っている白いうろこは、光の大部分を反射し、その下にある小さな葉の日陰になっています。
このような姿は日陰を作るだけではなく、鳥の糞や白っぽい岩に擬態しているといわれています。

根際で分枝してやや匍匐し、垂直に6 cmほど直立する矮性の多肉茎を持っています。他のアボニアとは違い葉は赤色をしていますので、一目でアボニア・マーレイとわかります。
葉は螺旋状に輪生してつき、その上に銀白色の鱗片状の薄膜が張りついています。葉の色が透けて薄いピンク色に見えます
夏になると黄色を帯びた蕾らしき先端が見えるようになります。蕾には真ん中に割れ目があるので、萼片は2枚であろうと思われます。花弁は5弁の薄い黄色をしています。

真夏は成長期ではないので水をやらない方がよいといわれていますが、水をやらなければ花をつけないようです。
ある1つの枝先に1輪咲いたら直ぐに枯れ、3〜5日経つとその脇にまたポッと1輪咲きます。
開花後小花柄(花梗)が伸び、幹から離れます。

アボニア属は、元々はオーストラリアの医師で植物学者のエドゥアルト・フェンツル(Eduard Fenzl、1808-1879)さんが採集した標本をドイツの植物学者、植物史学者エルンスト・マイヤー(Ernst Heinrich Friedrich Meyer:1791–1858)さんがアナカンプセロス属(Anacampseros)として1862年に立て、公表しました。それを1994年に英国の植物学者のゴードン・ローリィ(Gordon Douglas Rowley:1921ー)さんが南アフリカに分布するアナカンプセロス属とアボニア属、米国、オーストラリアに分布するグラハミア(Grahamia)属に再分類しました。アナカンプセロス属とアボニア属の区別は降雨量の極小地域に分布する種類をアボニア属としたようです。

ところでアボニア属に対して、2010年にスイスの植物学者ウルス・エッグリ (Urs Eggli:1959ー) さんらによって分子植物学的系統学からスベリヒユ科からアナカンプセロス科 (Anacampserotaceae) への移籍が提案され、3つの属の一つとしてアナカンプセロス属 (Anacampseros) が立てられました。この植物をアナカンプセロス・ブダリアナ(Anacampseros buderiana :アナカンプセロス科アナカンプセロス属)とするネット記事を多く見かけるようになりました。
この属名アナカンプセロスは、ギリシャ語で「戻す」を意味するanakampteinと「愛」を意味するerosに由来します。この植物の一つが失われた愛を取り戻すのに役立つという南アフリカ原住民の古い言い伝えを属名にしたようです。

種小名は仏の地理学者、博物学者、歴史家、芸術家アドルフ・デュ・ラマール(Adolphe Jules César Auguste Dureau de la Malle :1777-1857)に由来するのではないかと推測しています。採集者の名前に由来するとすれば全く情報がありません。

属名アボニアの由来は不明です。ラテン語起源ではないというのは確かです。

 

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