2018年4月15日 (日)

高山のグンバイナズナ 
Thlaspi Kurdicum

タラスピ・クルディクム(Thlaspi Kurdicum:アブラナ科グンバイナズナ属)が咲きました。


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このように最初の枝には花序ができません。


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果実はまさにグンバイです。


タラスピ・クルディクムはスコットランドの植物学者ヘッジ(Ian Charleson Hedge:1928-)さんによって1961年に公表されています。
種小名のクルディクムは「クルド人の居住地の」という意味で、自生地を表し、トルコ東部のタウルス(Taurus)山脈に連なるアートス(Artos)山などの海抜2600〜3600mの山岳地帯を示しています。
高山の尾根の石灰岩の傾斜地の割れ目に自生しています。

タラスピ・クルディクムには根生葉があったかどうか記憶がありません。
茎は地面を這わないで、冬の寒い時から小さい葉を付けた5cmほど茎を直立させていました。

茎上葉は長さ3〜5mmで、多肉植物のように厚みがあり全縁の楕円形をしています。
多肉植物のように思えるのは、植物体全体に毛がないからだろうと思います。
灰緑色をしていますが、寒い時期はピンクがかっていました。
見るからに寒さに耐えられる葉です。

判断に困るほど非常に短い葉柄があり、葉は茎を抱きません。
地面に近いところは落葉し、葉が付いていた後が残っています。
最初に出た茎には花がつかないようで、その茎の基部から2〜3本に分枝し、その枝の先端に花序ができます。
花の時期になっても葉は陽に向って開くことはなく、茎に添っています。

草丈は葉だけの時は7〜8cmで、花序が果実を付けながら上へ伸びていくので最終的には背が高くなります。
それでも15cmは超えないでしょう。

花はアブラナ科だと分かる白い花弁2枚が対になった4枚で構成されています。
長さ1mmほどの花弁には、赤紅色のY字型の筋とそれを囲むように筋が入っており、遠目にはピンクに見えます。

果実は幅5mmほどの茶色の広卵形をしいます。始めは緑ですが、周辺から茶色に変色していき、最終的には茶色の莢になります。

過去には同じく小さなタラスピが咲いたことがあります。

なおタラスピの英名はpennycressです。
属名タラスピはギリシャ語起源の「押しつぶす(thlaein)」に由来し、平たい果実を指しています。

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2018年4月12日 (木)

鮮やかな紅紫色のゴウダソウ 
Lunaria annua 'Kermesina'

ゴウダソウ「ケルメシナ」(合田草:Lunaria annua 'Kermesina':アブラナ科ルナリア属)が咲きました。


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寒いときの葉


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今の葉


ゴウダソウはバルカン半島から小アジアにかけて自生する耐寒性の1年草あるいは2年草で、今では世界中に帰化しているようです。

背丈は30〜60cmほど、暖地になるほど背は低く、早い時期から咲き始めます。
葉は逆ハート型をし、下部の葉には葉柄がありますが、上部の葉は茎を抱きます。
葉縁には大きな鋸歯があり、茎に交互につきます(互生葉序)。

紅紫色の花は総状花序にかたまってつきます。園芸種には白花もあります。
「ケルメシナ」は特に花の色が濃く、鮮やかな紅紫色で、萼も紅紫色をしています。
葉色にも特徴があって、普通は濃緑色ですが「ケルメシナ」は灰緑色をしています。
最も寒い2月頃には葉縁が濃い紫に染まります。「ケルメシナ」の特徴なのか、この株だけなのか分かりません。

花後子房が薄く拡がり、極端に薄い円形をした莢が出来ます。莢の中には艶のある半透明の隔膜があり、それに張り付いて4個から6個、これまた薄い種子が稔ります。

種は9月過ぎに播くと冬前に発芽します。そして冬の寒さもものとせず育ち、4月になって花茎を立てて、花を咲かせます。

英名のhonestyは、16世紀頃に英国で知られるようになってから呼ばれるようになった名で、種子を包む膜が透き通っていることに因んでつけられたようです。
丸い果実の形から東南アジアではコインプラント、米国ではsilver dollarsやChinese money、Chinese coinsと呼ばれています。
和名もそれを訳したギンセンソウ(銀扇草)やギンカソウ(銀貨草)です。

ヨーロッパでは、イエスをユダヤ人に売り渡したイスカリオテのユダが代価として受け取った銀貨30枚からの連想させる名がついているようです。

日本帰化植物図鑑(長田武正著)によると、ゴウダソウという名前は、明治のころにヨーロッパから種子を導入した東京美術学校の合田清さんが命名したということです。

属名のルナリアはラテン語の月(luna)に由来し、薄くて丸い果実の形を示しています。
種小名アンヌアは「一年性の」という意味です。

品種名のケルメシナはトルコ語で「市場」という意味ですが、園芸的には赤い花につけられていますので、「赤い」という意味で使われているようです。

同じような稔り方をする多年草のルナリア・レディビバ(Lunaria rediviva)がありますが、全くと言っていいほど見かけません。

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2018年4月 9日 (月)

高山のニワゼキショウ 
 Sisyrinchium halophilum

シシリンチウム・ハロフィルム(Sisyrinchium halophilum:アヤメ科シシリンチウム属)が咲きました。


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シシリンチウムはニワゼキショウ(庭石菖:Sisyrinchium rosulatum)を指します。
ニワゼキショウは公園の芝生の中に咲いているものだと思っていましたが、このニワゼキショウは高山に咲いています。

この種子は、NARGSの種子交換で手に入れましたが、ネバダ州 (Nevada)のワショー(Washoe)郡ワショーレーク(WashoeLake)の海抜1219mの山地で採取されたもののようです。

シシリンチウム・ハロフィルムはネバダ州グレートベースン(Great Basin)やカリフォルニア州東部のモハーヴェ砂漠( Mojave Desert)の海抜1100〜2600 mの乾燥地帯ではよく見かける花だそうで、牧草地、泉などに、時にはアルカリ質の湿地で生育します。

シシリンチウム・ハロフィルムは根茎を持ち、草丈は10〜30cmほどの高さに叢生します。
剣状の「表(おもて)面」が無い単面葉で、葉縁や表面はツルツルで、毛も生えていません。

直径2cmほどの6枚の青紫色の花を1輪咲かせ、散った後苞葉から次の蕾が出てきます。
幅が狭いのが内花被で、長さも外花被より短いことで区別されています。

花被片の基部はひとつにまとまり、鮮やかな黄色をしています。花被片は完全に平開しないようです。
花被片の先は尖っているか切れ込みが入ります。
ニワゼキショウ同様、花被片には濃い紫の筋が入りますが、裏側は緑がかった薄青で筋は入りません。

一番下の写真は果実と蕾が一緒に写っていますが、果実はこの様な直径5mmほどの球形をした蒴果です。

英名はNevada blue-eyed grass
異学名はSisyrinchium leptocaulon

属名のシシリンチュムは近縁のアヤメ(アイリス)のある種の古代ギリシャ名に由来するそうです。

種小名ハロフィルムの指すものはなにかよく分かりません。
ラテン語ならば、haloは「後輪の、環状の、色の付いた円の」という意味で、philumは「繊維状の」「祖先の」という意味だと思いますが、どの様な特徴を指すのか分かりません。

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2017年12月26日 (火)

斑入りクチナシの実
Gardenia jasminoides variegata

何年も花を咲かせなかった斑入りクチナシ(梔子,巵子,支子:Gardenia jasminoides variegata:アカネ科クチナシ属)が我が家にはあります。


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花を咲かせるために肥料を工夫したり、逆にやらなかったりしましたが、全く変りありませんでした。
このクチナシの土壌は水はけのよい野草向きの土壌で、さらに地面から30cm以上高くなっています。
それがいけなかったようで、葉も少ししかつけませんでした。

3年前にクチナシは「水を含みやすい肥沃土壌を好む」という性質を知り、夏から秋にかけて、毎日たっぷり水をやっていました。

一昨年やっと1輪咲き、昨年は数輪、今年も10輪ほど花をつけました。
6月頃の白と緑の斑入り葉ではなく、秋を過ぎる頃には落ち着いた緑とクリーム色の組み合わせになってきます。
私はこの色合いが一番美しいと思います。

そして先日、その斑入り葉の中に赤い実が付いていることに気がつきました。
一段と美しい風景を構成しています。

果実はオレンジ色で、その先に6枚の萼片が最終的な姿に変化し、引き延ばされて針状に付いています。
果実にははっきりとした稜が縦に走っています。

クチナシ属は1750年頃に中国から英国に紹介されたと言われています。
主に熱帯に約250種が分布し、このクチナシはベトナム、ミャンマー、インド、中国南部、台湾、日本に分布しています。
日本では静岡県以西、四国、九州、南西諸島の森林に自生しています。

和名のクチナシは果実が熟しても裂開しないことからつけられたという説や、蛇を意味するクチナワの梨(ヘビしか食べない梨)をつける木に由来するという説があります。

英名はcape jasmineやcape jessamineですが、南アフリカの喜望峰原産と信じられていたからです。

属名のガーデニアは英国生まれで、米国サウス・カロライナ、チャールストンに住んだ医師で植物学者のガーデン(Alexander Garden:1730–1791)さんに因みます。ガーデンさんはさまざまなモクレンやクチナシの発見に関係しました。
種小名ジャスミノイデスは「ジャスミンのような」という意味です。

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2017年5月 6日 (土)

細葉のアキス 
Acis trichophylla

アキス・トリコフィラ(Acis trichophylla: ヒガンバナ科)が咲いています。


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アキス属は英国の植物学者ソールズベリー(Richard Anthony Salisbury:1761–1829)さんによって、1809年にスノーフレークで知られるリューコジュウム(レウコユム,Leucojum)属から分割された属です。
1880年代になり、再びリューコジュウム属にまとめられましたが、2004年に葉に幅があり、花被片に緑の模様があるリューコジュウム属の特徴を持つ2種を残して、そうではない9種がアキス属へ再分類されました。

アキス・トリコフィラはスペイン、ポルトガル、ジブラルタル海峡を隔てて対岸のモロッコなどに分布しています。
高地には自生せず、海岸の松林の砂地で見られます。

種小名トリコフィラは、「糸状(tricho)の葉の(phylla)」という意味で、5〜20cmの松葉のように細い葉が球根から数本出て、渦巻くように地面を這い回っています。
花茎は渦巻いている葉とは関係ないようなところから、潜水艦が潜望鏡を上げるように、地面から突き出てきます。
10cm〜25cmの花茎を立て、長さ1cmほどの白色かピンクの2〜4個の釣り鐘型の花をつけます。

夏の乾燥に耐え、休眠中の湿気にも平気なのでほったらかしでいいのですが、この株は2014年に咲いたきり、葉ばかり茂らせていて、今年3年ぶりに咲きました。
その間分球して、今年は花茎が4本立っています。

英名はspring bell(春の鐘)、lusitanica bell(ルシタニア(イベリア半島の古名)の鐘)です。

アキスという属名についてソールズベリーさんはその由来を、ローマの詩人オウィディウス(Publius Ovidius Naso)の「メタモルフォセス(変身物語)」に因むとしか説明しなかったそうです。
メタモルフォセスに登場する、海の妖精ガラテアと恋に落ちた川の妖精ニュンペーの息子、青年アーキスに由来するのだろうということは分かるのですが、アーキスがこの植物とどのような関係にあるのか分かりません。

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2017年5月 3日 (水)

バランサさんのオーニソガラム 
Ornithogalum balansae

オルニトガルム・バランサエ(Ornithogalum balansae:ユリ科オルニトガルム属)が咲きました。


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ヨーロッパや、西アジア、南アフリカに分布しています。
1753年にリンネが12種をまとめてオルニソガルム属に分類しました。
その特徴は、線形か披針形の葉は球根から出現する1枚から数枚で、常緑であったり、花の時期には枯れているものもあります。
時には多肉の葉を持つものもあり、多岐にわたっています。

オルニトガルム属はヒアキンタ亜科(Hyacinthaceae)に含まれ、スキラ(シラー,Scilla)属と近縁ですが、スキラ属のように花被片が合着して鐘状にはなりません。

しかしユーラシア大陸のオルニトガルム属だけでなく、南アフリカで調査が進むにつれ、分類上の混乱が生じているのか属する種類も50〜300種あるといわれています。
オルニトガルム属にアルブカ(Albuca)属,ディプカディ(Dipcadi)属,ガルトニア(Galtonia)属,ネオパテルソニア(Neopatersonia)属,プセウドガルトニア(Pseudogaltonia)属を含めようという意見もあります。

パシフィック・バルブ・ソサエティ(Pacific Bulb Society)のサイトには、2009年のマンニングら(Manning,J.C. et al)の考えを参照して、以下のように分類できると説明されています。

アルブカ群
ディプカディ・プセウドガルトニア群
ガルトニア・ネオパテルソニアを含むオルニトガルム群

アルブカ群は花披の外側に真ん中に目立つ緑か茶色の縦に走る筋があり、中心線に沿って3-5本の葉脈が集まっています。
オルニトガルム群はあったとしても葉脈のない細いかぼんやりした暗い筋が花被片にあります。
この分類基準に従うと、これまでオルニトガルム群に含まれると考えられていた種類がアルブカ群に属していることになります。

さてオルニソガルム・バランサエはバルカン半島、グルジア、トルコの山地の草原に自生します。

早春に球根から2〜3枚、幅広の披針形の葉を出します。

矮性種で、15cmまでの高さに、2.5cmほどの白い花を総状花序に数個の花をつけます。
花被片の裏側の中央には明るい緑色の筋が走っています。

オルニソガルムというと結構背丈がありますが、これは地を這うように花を広げます。

フランスの植物学者バランサ(Gaspard Joseph Benedict Balansa:1825–1891)さんに因む名です。

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2017年4月17日 (月)

バビアナ・ピグマエアの名前の由来 
Babiana pygmaea

バビアナ・ピグマエア(Babiana pygmaea:アヤメ科バビアナ属)が咲きました。


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種小名のピグマエアとは「矮小の、背が低い」という意味です。
バビアナ・ピグマエアはバビアナ属では背丈が一番低いのですが、より小型を指すのにはナナ(「小型の」)とつけられるのが一般的です。
しかしバビアナ属に限っては、バビアナ・ナナ(Babiana nana)よりこの種類にピグマエアとつけられています。

というのは、オランダ人の植物学者ブルマン(Johannes Burman;1707 - 1780)さんが1768年に公表した時にはイクシア属と思われていたので、イクシア・ピグマエア(Ixia pigmaea)と名付けたのです。

後に英国の植物学者のベーカー(J. G. Baker;1834 – 1920)さんがイクシア属からバビアナ属に再分類して命名する段階になった時には、すでにバビアナ・ピグマエアよりやや大きいバビアナ・ナナ(Babiana nana )が存在していました。
そのため矮性にもかかわらずバビアナ・ピグマエアという名称にせざるを得なかったのです。
一度定められた種小名は変えられないという命名法の規則のために、ピグマエアのまま使われています。

さてバビアナ・ピグマエアは西ケープ州の南西部、ホープフィールド(Hopefield)からダーリング( Darling)にかけての礫を多く含む粘土地に自生しています。

背丈は10〜12cmで、背丈の割には地中深くに卵形の球茎を持っています。
花は球根から直接花柄を出して、先に花をつけます。
そのため先に出ている葉の付け根あたりに、数輪がひしめきながら咲くことになってしまいます。
横から見ると、アヤメ科なので萼のように見える苞葉があります。

放射対称の漏斗型の花は径8cmほどの大きさで、花披片は卵型をしています。
咲き始めは鮮やかな黄色ですが、咲き進むにつれ白っぽくなっていきます。中心部は濃い紫から茶褐色をしていて、コントラストが鮮やかです。

他のバビアナ属と同様、アヤメ科なので剣状の単面葉(裏も表も裏面)で、濃い緑色の葉は披針形をしています。
この単面葉には縦に走るひだがあり、それに沿って両面に微毛が生えています。
球根から4〜5枚の葉を直立させます。
早くから葉が出てくるので、毎年そうですが、春先の寒さに当たって葉先が茶色くなっています。

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2017年3月29日 (水)

蛇頭アイリス 
Iris tuberosa

イリス・ツベロサ(Iris tuberosa:アヤメ科アヤメ属)が咲きました。


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イリス・ツベロサは花の構造などがアヤメに近かったので、1753年にリンネがアヤメ属に分類し、この名がつけられました。

しかし旗弁(蝶形花冠の後ろに立つ花弁)がなく、子房が3室に分かれてなく1室だけで、 地下茎(根茎)を持たないなどアヤメ属と異なる特徴があったので、1890年にカール・リヒテル(Karl Richter:1855–1891)がヘルモダクティリス属を新たに立てて、アヤメ属からヘルモダクティリス属(Hermodactylus tuberosus)に移しました。

長い間ヘルモダクティリス属の唯一の植物でしたが、キュー植物園のアヤメを研究しているジャッドレル研究所(Jodrell Lab)が、最近アヤメ属に戻し、再びかっての名前に戻りました。
なおヘルモダクティリスという属名はヘルメス(Hermes)とギリシャ語の指を意味するdaktylosの造語で、塊茎の形に由来します。

イリス・ツベロサはフランス南東部や北アフリカに分布していますので、ヨーロッパでは古くから知られたアヤメです。

2.5cmほどの指の形をした塊茎(ジャガイモのような貯蔵根)から葉が2〜3枚出て、葉は20〜60cmの長さになります。

15〜30cmほどの茎の先に、幅5cmほどの花をつけます。
楕円形の外花被はベルベットのような黒色をしていて、反り返ります。
また内花披は倒披針形をし、茶緑色から暗黄緑色をしています。
花にはかすかに香りがします。

アヤメ属にしては花が受け咲きに咲かず、横向き傾向に咲きます。
そのため蛇が、鎌首を上げて獲物を狙っているように見えます。

暖地を好み、寒冷地では開花をせず、春先に雨に遭って開花すると云われています。
乾いたアルカリ性の肥料気のない、砂状土壌を好みます。

和名は黒花アイリスです。
一般名はスネークヘッド(snake's-head)、スネークヘッド・アイリス(snake's-head iris)、ウインド・アイリス( widow iris)、ブラック・アイリス(black iris)です。
種小名のツベロサは「塊茎のある」という意味で、根の特徴を指しています。

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2016年11月17日 (木)

秋のクロッカス 
Crocus goulimyi

秋咲きのクロッカス、クロクス・ゴウリミー(Crocus goulimyi ssp goulimy:アヤメ科クロクス属)が咲きました。


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Crocusgoulimyi3


一般的にはクロッカスと呼ばれ、地中海沿岸から小アジア、北アフリカにかけておおよそ90種類が分布しています。
冬や早春に葉を出し、花を咲かせますが、秋に花を咲かせる種類もあります。
春に花をつける種類は休眠に冬に寒さを必要とし、秋に花をつける種類は夏に暖かい環境で休眠させる必要があります。

秋に花を咲かせるクロクス・ゴウリミーはギリシャ南部、バルカン半島の最南部のマニ ペニンシュラやペロポネソス半島に分布しています。
乾いた石灰岩に覆われた水はけの良い温和な地域、特に夏に乾燥するところを好むようです。

クロクス・ゴウリミーには花の色の違う2種の亜種が有り、ペロポンネス半島の異なる地域に分布をしています。
クロクス・ゴウリミー・ゴウリミー(Crocus goulimyi ssp goulimyi )は藤色をしています。
これに対しクロクス・ゴウリミー・リウカンツス(Crocus goulimyi ssp leucanthus)は白色か極めて薄い藤色の花を咲かせます。

秋になると葉と共に蕾が出てきます。細長い蕾には青白い色をした長い咽部があり、この頃の背丈は10cmほどになります。

花は就眠運動をし、陽が当たらないと花を開きません。

この頃には、クロッカスによく見られる中心に白い線の入る松葉のような葉が、地面から3〜5cm出ています。

属名はギリシャ語の「糸(krokos)」に由来し、花柱が糸状に長く伸びることを指していると言われています。

種小名はギリシャ・アテネ生まれの法律家でアマチュア植物学者、コンスタンティン・ゴウリミス(Constantine Goulimis (also appears as Constantine N. Goulimy) :1886–1963)さんに由来します。
ゴウリミスさんはこのクロッカス以外にカンパニュラ・ゴウリミー(Campanula goulimyi)、シレネ・ゴウリミー(Silene goulimyi)、スクテラリア・ゴウリミー(Scutellaria goulimyi)、スタキス・ゴウリミー(Stachys goulimyi)、ツリパ・ゴウリミー(Tulipa goulimyi)、リヌム・ゴウリミー(Linum goulimyi)など、ギリシャ原産の多くの植物に、その名を残しています。
ゴウリミスさんは法律家として第二次世界大戦の時に南アフリカで過ごし、その時に植物に興味を持ちました。そして帰国してからギリシャ各地の植物を調査し、「ギリシャの野草(Wild Flowers of Greece)」を著しました。

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2016年10月19日 (水)

勝手に咲いたコハマギク 
Chrysanthemum yezoense

コハマギク(小浜菊:Chrysanthemum yezoense:キク科キク(シュンギク)属)が咲きました。


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このコハマギクは苗を購入したものでもなく、タネを播いて育てたものでもなく、勝手に生えてきたものです。
手に入れた植物(ツクシタツナミソウ:Scutellaria kiusiana )は枯れてしまったのですが、その後に生えてきたのは用土に根が入っていたからでしょうか。
昨年の夏過ぎに目立つようになり、昨年秋に花を咲かせることもなく、冬も葉を茂らせ続けていました。
見かけるようになって2年目の今年10月に入って蕾をつけました。
一般に流通していない植物なので、その花を見ることができてラッキーだと思います。

コハマギクは日本に固有のキクで、北海道から本州の太平洋側を経て、茨城県までの海岸に自生しています。
分布域が遠く離れていますから、いくら何でも神戸までタネが飛んできて生えたということではなさそうです。

匍匐性の菊で、草丈は10〜50cm、長い地下茎を這わせ、群生する多年草です。
ビニールポットで育っているのですが、ポットの上から触ってわかるほど太い根があります。
背丈については私の所のコハマギクは花の無い時は5cm、花茎を上げてきて10cm程度になります。

茎の基部は木化しますが、上部は紫色を帯び、軟毛が生え、所々白っぽく見えます。

葉は翼のついた葉長と同じぐらいの長い葉柄があります。
海岸に自生しているためでしょう、暑さや風に耐えられるような肉質のしっかりした葉です。
楕円形で先が大きく5裂し、さらに2から3裂しています。
表面にぷつぷつと腺点があります。
特徴のある葉で、見る人が見ればコハマギクとわかる葉です。

径4〜5cmの頭花を枝先に一つだけつけます。この個体は舌状花は幅のある楕円形で薄いピンク色をしています。
一般的には舌状花はもっと細長く、花数も多く、白い色で、咲いてからピンクに色づくようです。
蕾の時は濃いピンク色をしています。

異学名はChrysanthemum arcticum, Dendranthema arcticum subsp. maekawanum, Chrysanthemum zawadskii subsp. yezoense Dendranthema yezoenseです。

外国では Groundcover Chrysanthemum, Hokkaido Chrysanthemum と呼ばれています。

種小名エゾエンセは北海道(蝦夷)を意味します。
属名クリサンテムムはギリシア語で「金の(chrysos)花(anthemon)」という意味です。

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