2020年9月23日 (水)

レターマンさんの鉄草  Vernonia lettermannii

バーノニア・ レターマニー( Vernonia lettermannii:キク科バーノニア属)が、バーノニア・ノベボラケンシス(Vernonia noveboracensis)やバーノニア・ファスキクラタ(Vernonia fasciculata)に続いて咲いています。

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蕾です。
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枯れた花です。
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バーノニア・ レターマニーは、アーカンソー州の西中央部と隣接するオクラホマ州のいくつかの郡でのみ知られています。
海抜100〜300mの丘陵地を流れる河のそばの氾濫原の砂地などに自生しています。
草丈は60 cmまでのバーノニア属の中では矮性の多年生です。

バーノニア属にしては明るい緑色の葉は線形で、長さは3〜9 cm、幅は3mmほどの全縁で先が尖っています。
バーノニア属にしてはという形容詞は全体的な容姿に関してもついてきます。他のバーノニア属は無骨な感じがしますが、 レターマニーは華奢な印象です。
夏の終わりに茎頂で分枝し、赤紫の頭花を頭状花序につけます。
花は筒状花で、筒が5つに深裂し、反り返って開きます。小花が頭花の上に並んで咲いている様子はかわいいですが、小さいのでよく見ないとその佳さは分かりません。

内側に花粉を出す雄しべの白い葯筒があり、その中を雌しべが花粉を押し上げながら白い花柱を伸ばします。葯筒から雌しべが充分伸びきると雌しべの先が2つに割れて、反り返り、受粉準備が整います。

英国の植物学者で、米国に渡って考古学を研究したエドワード・パーマー(Edward Palmer:1831-1911)さんによってアーカンソー州で収集された標本からに基づいています。エイサ・グレイ(Asa Gray)さんとジョージ・イングルマン(George Englemann)さんの依頼で植物を収集し、その一つがグレイさんを経由し、エングルマンさんによって1880年に公表されました。

 1891年には、ドイツの事業家でアマチュア植物学者のカール・クンツェ(Carl Ernst Otto Kuntze:1843-1907)さんがキク科エミリア属(Cacalia lettermannii )への移属を提案しましたが、認められていません。
クンツェさんは世界旅行をして多くの植物標本を集め、そこから得られた独自の考えから多くの植物の分類を見直そうとしました。しかしあまりに唯我説的だったため多方面から批判を受け、独自の分類を認められなかった人です。

種小名は米国西部の木本植物を調査した公立学校教師で植物学者のジョージ・レターマン(George W. Letterman:1841-1913)さんに由来します。レターマンさんはこの植物と何の関係もないようですが、ジョージ・イングルマンさんの依頼で木本植物の調査に協力したことを受け、イングルマンさんが1880年に献名して公表しました。

現地ではnarrowleaf ironweed(細葉鉄草)と呼ばれています。

 

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2020年9月21日 (月)

小さいゼフィランサス Zephyranthes minima

ゼフィランテス・ミニマ(Zephyranthes minima:ヒガンバナ科ゼフィランテス属)が咲き出しました。

花軸分枝をし、葉が3枚出たら花茎が出てきて長い期間花をつけます。花が咲くと必ず果実を稔らせるので、大量のタネがとれます。

詳しくはこちらをご覧ください。

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2020年9月17日 (木)

ツルボの学名  Barnardia japonica

ツルボ(蔓穂:バーナーディア・ヤポニカ:Barnardia japonica:キジカクシ科ツルボ属)が咲き出しました。

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ツルボについて詳しくはこちらをご覧ください。

ツルボの学名はスキラ・ヤポニカ(Scilla japonica)やスキラ・スキロイデス(Scilla scilloides )、スキラ・シネンシス(Scilla sinensis )などが知られていますが、このような異学名(シノニム)の関係を調べてみました。

ツルボは、出島商館付医師として鎖国期の日本に1年滞在し、リンネさんの弟子で、日本の植物学に大きな貢献のあったツンベルク(Carl Peter Thunberg:1743-1828)さんが1784年にオルニソガルム・ヤポニクム(Ornithogalum japonicum)と命名しました。

すでに命名されていたとはつゆ知らず英国の植物学者のジョン・リンドレイ(John Lindley:1799-1865)さんが1826年に日本以外の土地(多分ロシア)で採集されたツルボにバーナーディア・スキロイデス(Barnardia scilloides)と、バーナーディア属の唯一の種類として名付けました。種小名のスキロイデスは「スキラのような」という意味です。

しかし1829年にオーストリアのシュルテスさん親子(Joseph August Schultes:1773-1831,Julius Hermann Schultes:1804-1840)が種小名をスキロイデスではなく、ツンベルクさんの命名に従ってヤポニカ(Barnardia japonicas)に変更しました。
そして1873年には英国のジョン・ベイカー(John Gilbert Baker:1834-1920)さんがスキラ属(Scilla japonica)に再分類しました。

スキラ・シネンシス(Scilla sinensis)については、生涯で15598種もの植物を命名した英国のジョージ・ベンサム( George Bentham:1800-1884)さんが1861年に命名したという記事がありますが、誤りとされています。それより古くポルトガルのイエズス会宣教師で医師、古生物学者、植物学者のジョアン・デ・ルーレイロ(João de Loureiro、1717-1791)さんが、1829年にオルニソガルム・シネンセ(Ornithogalum chinense)と命名しましたが、フィリッピンでアジアの植物を研究した米国の植物学者のエルマー・メリル(Elmer Drew Merrill、1876-1956)さんが1919年にスキラ属(Scilla sinensis)に移しています。牧野新植物図鑑(北隆館)では牧野富太郎さんはツルボの学名にスキラ・シネンシスを当てています。

スキラ・ボレアリヤポニカ(Scilla borealijaponica)という異学名もありますが、これは「北の」を意味するラテン語のボレアリ(boreale)+ヤポニカ(japonica)で「北日本の」という意味の種小名がついています。元岩手大学教授菊地政雄(1908-1969)さんが、東北、北海道産のツルボに限り、キタツルボという和名とともに1957年に命名しています。一般的なツルボより咲く時期が早く、花序が出た時には葉は出ていないという特徴が見られたということですが、今日では区別されません。

種小名にはこのような経緯がありますが、属名について1999年に分子植物学の知見から、スキラ属から分離され、元のバーナーディア属に戻されました。今ではバーナーディア属はツルボと北アフリカに分布する種類(Barnardia numidica )の2種が知られています。いずれも花期は秋で、密集した花序に、細い花被片を持つ花をつけます。ピンク、まれに白の花披片は付け根まで分かれていて逆反りして平開します。6本ある雄しべは糸状ですが、基部で披針形に広がるという特徴があります。

属名のバーナーディアは英国の動物学者で植物学者のエドワード・バーナード(Edward Barnard:1786-1861)さんを称えてつけられています。
 

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2020年9月 1日 (火)

ニューヨークの鉄草 Vernonia noveboracensis

バーノニア・ノベボラケンシス(Vernonia noveboracensis:キク科バーノニア属)が咲きました。

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蕾です。
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綿毛の色は赤っぽい茶色です。
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北はマサチューセッツ州からフロリダ州まで、西からテネシー州、アラバマ州、ウェストバージニア州まで、アメリカ合衆国東部のどちらかといえば湿った土壌の草原や道路際に自生する多年草です。

バーノニア・ノベボラケンシスは、根茎を横に延ばし、そこから緑がかった紫色の堅い茎を分枝することなく垂直に伸ばします。
葉はバーノニア・ファスキクラタ(Vernonia fasciculata)より細い披針形で、細かい鋸歯があり、互生してつきます。高さは最大で1.5〜2mにもなります。
茎の上部で分枝し、頭状花序に赤紫色の花をつけます。
花弁の下部分に魚の鱗のような総苞片を持ちます。
花は筒状花で、筒先が5深裂して反り返って開きます。小花が頭花の上に並んで咲いている様子はきれいですが、とても小さいのでよく見ないとその佳さは分かりません。

筒の内側に白い花粉を出す雄しべの葯筒があり、その中を雌しべが花粉を押し上げながら白い花柱を伸ばします。葯筒から充分雌しべが伸びきると雌しべの先が2つに割れて、受粉準備が整います。

花が枯れた後は、バーノニア・ファスキクラタは明るい焦げ茶色の綿毛になりますが、このノベボラケンシスは濃い焦げ茶色の綿毛になりますので、この時期になると簡単に区別できます。

現地ではironweedや学名からNew York ironweedと呼ばれています。
異学名はVernonia harperi

1753年にリンネさんがセラチュラ・ノベボラケンシス(Serratula noveboracensis :キク科タムラソウ属)と命名したのですが、1803年に仏の植物学者アンドレ・ミショー(François André Michaux(Andrew Michaud):1746–1802)さんがバーノニア属に移しています。
ミショーさんは米国の調査旅行をしばしば行い、ペンシルベニア州のミショー森林公園(Michaux State Forest)に名前が残されています。

なお以前は日本にはショウジョウハグマ(旧名バーノニア・キネラ:Vernonia cinere)として1種が知られていたのでショウジョウハグマ属とされていました。ところがショウジョウハグマは他の属(キアンチリウム・キネレウム:Cyanthillium cinereum)に移されたので、バーノニア属の植物は日本には分布していません。

和名はリンネさんが命名したセラチュラ・ノベボラケンシスから来ているのでしょうか、タムラソウ属ではないのにヤナギタムラソウ (柳田村草) 、ヤナギバタムラソウ (柳葉田村草) とつけられています。

属名は英国の植物学者で昆虫学者のウイリアム・ヴァーノン(William Vernon;1666ー1715)に因みます。ドイツの博物学者ヨハン・フォン・シュレーバー(J.C.D.Schreber:1739–1810)が1791年に献名しています。ヴァーノンさんは1698年から4年間米国メリーランド州の植物、動物、化石、貝類を収集しています。

種小名はラテン語で、novus (=new) + Eborācum (=英国の町のヨーク(York)) に由来し、語尾に ēnsis (=from)がついたもので、「ニューヨークのからの」という意味です。

 

 

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2020年8月30日 (日)

ピンクのアボニア  Avonia mallei

アボニア・マーレイ(Avonia mallei:スベリヒユ科アボニア属)が花をつけました。

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枝の先に蕾をつけています。
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蕾には真ん中に筋が入っています。
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アボニア属はアフリカ南部に20〜100種が知られており、寿命の短い多年生の亜低木またはマット状に広がる草本です。地中に塊茎状の根茎を作り、披針形や円形の多肉状の葉は節間の詰まった互生や輪生してついています。葉は鱗片状や繊維状の托葉に隠れています。
花は5枚の花弁を持つ放線対称形で、白色、ピンク色、薄紫色をしています。
葉に隠れて見えないことが多いのですが、萼片は2枚、花弁の基部には多数の雄ずいがあります。夏の晴れた日の午後に1〜3時間だけ花が開きます。

アボニア・マーレイは、知られるようになってからあまり経っていないからか(といっても20年は経っています)、情報が少なく、西ケープ州北部の大西洋側沿岸に自生しているということ以外わかりませんです。石英岩土壌の尾根や斜面地の、日陰になるものはなにもない所に自生しているようです。
1995年に歯科医で植物学者のグラハム・ウイリアムソン(Graham Williamson:1932-2017)さんによって命名されています。彼は1997年にアナカンプセロス属(Anacampseros mallei)として再分類しています。ウイリアムソンさんはジンバブエ生まれで、ザンビアで歯科医院を開業しながら、南アフリカや中央アフリカの植物を450以上を収集し、現在までに公表された記載は23属60以上にのぼるといわれています。アボニアについても5種を命名しています。

アボニア・マーレイの植物体を覆っている白いうろこは、光の大部分を反射し、その下にある小さな葉の日陰になっています。
このような姿は日陰を作るだけではなく、鳥の糞や白っぽい岩に擬態しているといわれています。

根際で分枝してやや匍匐し、垂直に6 cmほど直立する矮性の多肉茎を持っています。他のアボニアとは違い葉は赤色をしていますので、一目でアボニア・マーレイとわかります。
葉は螺旋状に輪生してつき、その上に銀白色の鱗片状の薄膜が張りついています。葉の色が透けて薄いピンク色に見えます
夏になると黄色を帯びた蕾らしき先端が見えるようになります。蕾には真ん中に割れ目があるので、萼片は2枚であろうと思われます。花弁は5弁の薄い黄色をしています。

真夏は成長期ではないので水をやらない方がよいといわれていますが、水をやらなければ花をつけないようです。
ある1つの枝先に1輪咲いたら直ぐに枯れ、3〜5日経つとその脇にまたポッと1輪咲きます。
開花後小花柄(花梗)が伸び、幹から離れます。

アボニア属は、元々はオーストラリアの医師で植物学者のエドゥアルト・フェンツル(Eduard Fenzl、1808-1879)さんが採集した標本をドイツの植物学者、植物史学者エルンスト・マイヤー(Ernst Heinrich Friedrich Meyer:1791–1858)さんがアナカンプセロス属(Anacampseros)として1862年に立て、公表しました。それを1994年に英国の植物学者のゴードン・ローリィ(Gordon Douglas Rowley:1921ー)さんが南アフリカに分布するアナカンプセロス属とアボニア属、米国、オーストラリアに分布するグラハミア(Grahamia)属に再分類しました。アナカンプセロス属とアボニア属の区別は降雨量の極小地域に分布する種類をアボニア属としたようです。

ところでアボニア属に対して、2010年にスイスの植物学者ウルス・エッグリ (Urs Eggli:1959ー) さんらによって分子植物学的系統学からスベリヒユ科からアナカンプセロス科 (Anacampserotaceae) への移籍が提案され、3つの属の一つとしてアナカンプセロス属 (Anacampseros) が立てられました。この植物をアナカンプセロス・ブダリアナ(Anacampseros buderiana :アナカンプセロス科アナカンプセロス属)とするネット記事を多く見かけるようになりました。
この属名アナカンプセロスは、ギリシャ語で「戻す」を意味するanakampteinと「愛」を意味するerosに由来します。この植物の一つが失われた愛を取り戻すのに役立つという南アフリカ原住民の古い言い伝えを属名にしたようです。

種小名は仏の地理学者、博物学者、歴史家、芸術家アドルフ・デュ・ラマール(Adolphe Jules César Auguste Dureau de la Malle :1777-1857)に由来するのではないかと推測しています。採集者の名前に由来するとすれば全く情報がありません。

属名アボニアの由来は不明です。ラテン語起源ではないというのは確かです。

 

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2020年8月23日 (日)

アボニアの花 Avonia recurvata ssp. buderiana

アボニア・レクルバタ・ブダリアナ(Avonia recurvata ssp. buderiana:スベリヒユ科アボニア属)が花を開いているのを見つけました。

アボニア・レクルバタ・ブダリアナは晴れた日の午後に1〜3時間だけ花が開くので、蕾らしきものがついていたらこまめに観察しないと、枯れた花しか見ることができません。

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黄色い色の蕾
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上の蕾が開いたところ
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開花時には隠れていた小花梗が伸びて果実が実ります。
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アボニア属はアフリカ南部原産の20〜100種が知られており、多年生の亜低木またはマット状に広がる草本です。地中には小さな塊茎状の根茎を作り、披針形や円形の多肉状の葉は節間の詰まった互生や輪生してついています。葉は鱗片状や繊維状の托葉に隠れています。
花は5枚の花弁を持つ放線対称形で、白色、ピンク色、薄紫色をしています。
葉に隠れて見えないことが多いのですが、萼片は2枚、花弁の基部には多数の雄ずいがあります。

アボニア・レクルバタ・ブダリアナの基本種アボニア・レクルバタ・レクルバタ(Avonia recurvata ssp. recurvata)は、南アフリカ共和国北ケープ州の西海岸近くの内陸地に分布する固有種です。石英岩土壌の尾根や斜面地の陰になるものはなにもない所に自生しています。
植物体を覆っている白いうろこは、光の大部分を反射し、その下にある小さな葉の日陰になっています。
このような姿は日陰を作るだけではなく、鳥の糞や白っぽい岩に擬態しているといわれています。

アボニア・レクルバタ・ブダリアナは、基本種のアボニア・レクルバタ・レクルバタより遥か西部の北ケープ州北部ナミビアと国境を接する辺りの海抜1000mを超える山地の限られた砂漠地帯に分布しています。
低い灌木しか生えておらず、石英岩が露頭する険しい傾斜地に自生しているようです。
用土がカラカラに乾くような岩の上にのった浅い土壌で生育します。

根際の分枝はやや匍匐し、垂直に8 cmほど直立する矮性の多肉茎を持っています。茎には直径4mmほどの小さな円形の葉が螺旋状に輪生してつき、その上に銀白色の鱗片状の薄膜が張りついています。
夏になると黄色を帯びた蕾らしき先端が見えるようになります。花弁は5弁のクリーム色をしています。花弁にも蕾を包んでいた托葉の薄膜がのっこ、5枚以上の花びらがあるように見えます。

まだ株が若いせいかある1つの枝先だけに1輪咲いたら直ぐに枯れ、3〜5日経つとまたポッと1輪咲くという、咲き方をしています。

アボニア・レクルバタ・ブダリアナはドイツの植物学者カール・フォン・ポエルニッツ(Karl Joseph Leopold Arndt von Poellnitz:1896ー1945)さんが1933年に命名しています。ポエルニッツさんは広義のユリ科、多肉植物のクラッスラ科、スベリヒユ科などの植物に興味を持ち、特にハオルチア属の分類を精力的に行いました。Anacampseros poellnitzianaやHaworthia poellnitzianaにその名を残しています。

アボニア属は、元々はオーストラリアの医師で植物学者のエドゥアルト・フェンツル(Eduard Fenzl、1808-1879)さんが採集した標本をドイツの植物学者、植物史学者エルンスト・マイヤー(Ernst Heinrich Friedrich Meyer:1791–1858)さんがアナカンプセロス属(Anacampseros)として1862年に立て、公表しました。それを1994年に英国の植物学者のゴードン・ローリィ(Gordon Douglas Rowley:1921ー)さんが降雨量の極小地域に分布する種類をアボニア属に再分類しました。

ところでアボニア属に対して、2010年にスイスの植物学者ウルス・エッグリ (Urs Eggli:1959ー) さんらによって分子植物学的系統学からスベリヒユ科からアナカンプセロス科 (Anacampserotaceae) への移籍が提案され、3つの属の一つとしてアナカンプセロス属 (Anacampseros) が立てられました。この植物をアナカンプセロス・ブダリアナ(Anacampseros buderiana :アナカンプセロス科アナカンプセロス属)とするネット記事を多く見かけるようになりました。
この属名アナカンプセロスは、それによって失われた愛を取り戻す力を持つとされる植物の現地での古名といわれています。

ところがこれだけ調べても属名アボニアの由来はわかりません。ラテン語起源ではないというのは確かです。

種小名レクルバタはラテン語のrecurvoに由来し「カーブした、逆反りした」という意味です。葉が外側に曲がっていることを指しているのだと思います。

亜種名のブダリアナは最初に発見された地名だと推測されますが、これも詳細はわかりません。

日本では多肉園芸的には波銀竜と呼ばれています。

 

 

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2020年8月13日 (木)

ホヤ「シルバーピンク」

ホヤ・プルプレオフスカ 「シルバーピンク」(Hoya purpureofusca ‘SilverPink’:キョウチクトウ科(ガガイモ科) ホヤ(サクララン)属)が咲きました。

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ホヤ属はアジア東部からオーストラリアにかけて200〜300種(50〜400種という説もあります)が知られています。種の総数が様々に異なる理由は、異学名や亜種、変種が整理されてないためだろうと思います。
多くは匍匐性やつる性をもつ常緑多年性植物ですが、低亜木のものもあります。茎から気根を出して岩などに着床して伸びていきます。
葉は多肉質で皮質で、全縁です。花は多肉ろう質で、中心部に肉質の5個の副花冠があります。

ホヤ・プルプレオフスカはジャワ島、ボルネオ島(カリマンタン島)、バリ島、マレーシア、スマトラ島に自生しています。
葉は幅4cm、長さ15cmほどの長楕円形から卵型で、肉厚でツヤがあります。
濃い緑色の葉の表面には銀色の不規則な模様が入ります。葉の裏面は薄い緑色をしています。

若い蔓は濃紅色で、花柄も萼も同じ色です。比較的長い花柄に放射半球状に花を多数つけます。
花は赤色で、白い毛が生えています。副花冠はピンクで中心部は濃紫褐色をしています。
花が開くとよい匂いが、かなり強くします。

なおこの「シルバーピンク」 というホヤに関しては、ネット上にホヤ・プビカリクス(Hoya pubicalyx)という名で登場します。特に日本のサイトではほとんどがホヤ・プビカリクスとなっています。
しかしプビカリクスという種小名は「萼に軟繊毛がある」という意味ですが、写真の通り、萼に毛は生えていません。つまり学名から判断すると、この植物をホヤ・プビカリクスとするのは間違っているということです。

英国の博物学者で、植物画家としても著名なウィリアム・フッカー(William Jackson Hooker:1785–1865)さんによって1850年に公表されています。フッカーさんはキューガーデンの園長を務め、キューガーデンの発展に貢献した方です。

ホヤ・プルプレオフスカの異学名にホヤ・キンナモミフォリアの変種としたプルプレオフスカ(Hoya cinnamomifolia var. purpureofusca )があります。

英名はwaxplant, waxvine, waxflower(蝋の花) 

属名ホヤは、19世紀の英国ショーンハウス(Syon House)のノーサンバーランド侯爵(Duke of Horthumberland)家の庭園の園丁長を務めた植物学者のトーマス・ホイ(Thomas Hoy:1750–1822)さんに因みます。

 

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2020年8月 9日 (日)

鉄草   Vernonia fasciculata

今年もバーノニア・ファスキクラタ(Vernonia fasciculata:キク科バーノニア属)が咲きました。

バーノニア・ファスキクラタはカナダ南中部や米国中部から東部に分布する多年草で、鉄草(ironweed )と呼ばれています。

バーノニア・ファスキクラタについて詳しくはこちらをご覧ください。

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2020年8月 8日 (土)

ホヤ・カルノサ「クリムゾン クイーン」  Hoya Carnosa Krimson Queen

斑入りサクラランと呼ばれるホヤ・カルノサ「クリムゾン クイーン」(Hoya Carnosa Krimson Queen:キョウチクトウ科ホヤ(サクララン)属)が咲きました。

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 ホヤ属はアジア東部からオーストラリアに200〜300種(50〜400種という説もあります)が知られています。
多くは気根を出して他の植物に寄りかかって伸びていく匍匐性やつる性の常緑多年性植物ですが、低亜木のものもあります。
葉は肉厚の全縁で、対生してついています。花は葉脇から散形花序につき、蝋状の星状に5深裂した平開する花冠があり、その内側に花弁と同じ質感の副花冠を持っています。

ホヤ・カルノサは九州(屋久島)から東南アジア、オーストラリアに分布しています。
リンネの息子(Carolus Linnaeus filius: 1741-1783)さんが1782年にアスクレピアス・カルノサ(Asclepias carnosa)と命名しましたが、1810年にイギリスの植物学者でオーストラリアの植物を研究したロバート・ブラウン(Robert Brown:1773–1858)さんが1810年にホヤ属に変更しています。

「クリムゾン クイーン」は、ホヤ・カルノサの葉の外縁に沿って白い斑が入る園芸種です。「クリムゾン プリンセス」という品種があり、葉の中心に白い斑が入ります。
「クリムゾン クイーン」は新葉はクリーム色で、しばらくすると明るいピンクに色づき、さらに葉縁は濃いピンクになります。古くなると中央部に緑が出てきて、斑入りになります。
外縁に沿って白い斑が入ると言いましたが、正しくは中央部に緑の斑が入るというべきなのでしょう。

通常初夏に花序を出します。ホヤの典型である星形に5深裂した肉質の花冠を持ち、花の直径は1.5cmほどで、花冠には短い毛が密に生えています。花色は乳白色から濃いピンクまでさまざまですが、このようなピンクが多いようです。花は香りが強く、花弁から蜜をたらすこともあります。

吊り下げ型のプランターに植え、パキラ(Pachira glabra )に吊しています。斑が太陽光で傷まないよう年中室内においています。昨年初めて1輪だけ咲きました。日に当てていないせいだろうと思いましたが、今年も4輪ですから間違いないでしょう。
なお「クリムゾンクイーン」は1950年代に「トリコロール」という名で登録されていましたが、1970年ごろからは「クリムゾンクイーン」や「バリエガータ('Variegata')」と呼ばれています。

英名はwaxplant, waxvine, waxflower(蝋の花) 

属名ホヤは、19世紀の英国ショーンハウス(Syon House)のノーサンバーランド侯爵(Duke of Horthumberland)家の庭園の園丁長を務めた植物学者のトーマス・ホイ(Thomas Hoy:1750–1822)さんに因みます。

種小名のカルノサはラテン語で「肉質の」という意味です。

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2020年8月 1日 (土)

手招きする花  Loxocalyx ambiguus

マネキグサ(招草:Loxocalyx ambiguus:シソ科マネキグサ属)が咲きました。

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日本固有種で、千葉県以西、四国、九州にかけての山地の明るい林床や林縁に自生しています。
多くの府県で絶滅危惧種に指定されています。

草丈は40〜60cmで、細い地下茎を這わします。シソ科の特徴通り茎の断面は四角ですが、白い稜があります。葉は対生します。
葉は粗くて目立つ鋸歯を持ち、茎の位置により葉身の形が違います。下部は心形、中部は三角状広卵形またはやや円形、上部の葉は卵形をしています。

8月になると葉腋に1〜3個の長さ1.8〜2 cmの花を付けます。
花は白い縁取りのある暗紅紫色で、花冠の上唇は大きく被さり、下唇は3裂しています。

和名の由来は花冠が手招きしているように見えるということです。別名はヤマキセワタです。
牧野富太郎さんはメハジキ属(Leonurus ambiguus)として命名しましたが、後に彼自身がマネキグサ属を立てて分類しています。オドリコソウ属(Lamium) に分類されていることもあります。シソ科は分類が難しいようですね。

属名ロキソカリックスはギリシャ語由来で、ロキソはloxos「傾いた」とカリクスcalyx「萼」からなり、萼の断面が正五角形ですが、上下で長さが違い、横から見ると上が短く、下が長い傾いた形になるため、つけられたそうです。
種小名アンビグウスは「疑わしい、不確実な」という意味です。
異学名はLeonurus ambiguus,Lamium ambiguum 

 

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