2019年10月22日 (火)

黄色い昼顔 Ipomoea obscura

イポモエア(イポメア )・オブスクラ(Ipomoea obscura:ヒルガオ科サツマイモ属 )が咲いています。


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蒔いた翌日出てきた双葉。
こんな風にしなしなで突然現れます。

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イポモエア属はヒルガオ科最大の属で亜熱帯から熱帯にかけて400種以上が知られています。
多くは蔓性や匍匐性を持ち、葉は全縁か切れ込みがあります。花は漏斗状か釣鐘状で先で5裂し、葉腋につきます

イポモエア・オブスクラは条件さえ整っておれば多年生、日本では1年生の長さ2〜3mになる蔓植物です。
熱帯アジアをからオーストラリア北部、フィジーにかけての地域が原産地で、草地や薮、人家のそば、明るい森、荒れ地、道路脇など、海岸から海抜1800mまでの山地のいたる所に自生しています。
ハワイやカレドニア諸島では既存植物に対する影響力が危惧されるほど、様々の環境に適応でき、広い地域に帰化しています。

葉は3〜9cmのハート形をしています。葉の縁に沿って褐紫色の細い筋が入り、黄色っぽい葉色を紫の輪郭で引き締めています。
蔓や新葉は薄紫色をし、3mほどまで伸びるそうです。蔓の先の方に花がつきますが、この株は行灯より高く伸びると摘んでいますので、なかなか花が咲きません。

アサガオのように短日性植物かと思い、背の低いままで花を咲かせようと8月になってから種を播きました。しかし秋咲きではあるけれど短日性でもないようなのでもっと早い時期に蒔いた方がよかったようです。
8月末から咲き出して、とにかく花はポツポツとしか開きません。ずっとシャッターチャンスを待っていたのですが、2輪同時咲きが精一杯です

アサガオの種子同様、固い皮に覆われていますのでタネの一部を削って蒔きました。1日水につけて蒔くと蒔いた翌日双葉が出ていました。それも蒔いた数だけ発芽しました。発芽率100%でした。

一般には肌色の花が咲きますが、これはIpomoea obscura 'Ethiopia'という選別種で、Ipomoea obscura var. ethiopiaと変種として記されていることもあります。よくわかりませんが、エチオピア地方の地域変種と言うことでしょうか。  
花は径3cm程の小さい昼顔ですが、アプリコットがかった鮮やかな黄色は魅力的です。また品種によっては喉部が濃紫色の花をつけるものもあるようです。

種子は有毒で、麦角アルカロイドを含み、LSD様の幻覚作用があと言われています。精神的な症状を治療する薬として用いられたようです。そのせいでしょうか、花と若い果実にアリが餌にたかるようによってきます。花はいざ知らず、果実には蜜腺のようなものはないと思うのですが。

 

1763年リンネさんがヒルガオ科セイヨウヒルガオ属、コンボルブルス・オブスクルス(Convolvulus obscurus)という名で最初に公表し、1899年にドイツの植物学者ハリエル(Johannes (Hans) Gottfried Hallier:1868–1932)さんが変種を公表する際にイポマエア属に移しました。
分布域が広いせいか、異学名には Ipomoea demissa,Ipomoea insuavis,Ipomoea incospicua,Ipomoea saltiana などがあります。

属名イポモエアはギリシャ語で、「虫(ips)」と「似る(homoios)」からなり、茎の様子を表していると言われています。
種小名オブスクラは「暗い、浅黒い、黒ずんだ」という意味のラテン語です。何を示しているのか不明です。

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2019年10月16日 (水)

竹島のニラ  Allium senescence

セツカヤマネギ(石花山葱:アリウム・セネスケンケ:Allium senescence:ネギ科ネギ属)が咲いています。

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セツカヤマネギは園芸的にタケシマイワラッキョウ(竹島岩辣韮)という名で流通していて、私もこの名で山草愛好家の方からいただきました。
竹島というのは多分島根県の竹島だろうと思いますが、いろいろ調べてみると、この島特有の植物ではないようです。
世界的にはGerman garlic(ドイツニンニク)やaging chive(長寿チャイヴ)として知られ、ドイツを西の端にして、東はず〜っとシベリア、モンゴル、満州、中国、韓国まで帯状に分布し、森林の明るい林床、斜面になったガレ場、草原地、塩湖周辺の草原などに自生しています。
分布からすると竹島ではなく朝鮮半島由来の植物のようです。

セツカヤマネギは暖地では常緑の多年草ですが、-3〜4℃になると地上部が枯れてしまうようです。

ニラ(韮、韭:Allium tuberosum のような幅0.5〜1.0cm、長さ15〜20cmの線形の明るい緑の葉を4〜9枚出します。
初夏から秋にかけて断面が長方形であったり、楕円形でその両端がとがっている花茎を25〜50cmまで上げ、茎頂に直径8mmほどのピンクから淡紫色のベル型の小さな花を20〜30輪、半球形の散形花序につけます。

純白ではなく薄いピンクであることが好まれるのでしょう。かわいさと育てやすさから、2014年に王立園芸協会(RHS)のAward of Garden Merit (AGM)を受賞しています。

基本種のAllium senescens ssp. senescens と、その亜種のAllium senescens ssp. glaucum(亜種ガラウクム)が知られています。 亜種のガラウクムは白い粉で覆われた青灰色~灰緑色の、巻いてねじれた葉を持ち、基本種の半分しかない矮性種で、花も早く咲くという、より園芸向きの種類と言われていますので、流通しているのはこちらの方かもしれません。なお亜種名は「ニンニク(ガーリック)のような」という意味のラテン語です。

種小名セネスケンケはラテン語のsenesco(セネスコ)に由来し、「年をとった、終わりに近づく、衰える」という意味です。多分種子を稔らさないまま、球形を保って枯れてしまうからだろうと思います。多くのネギ属は稔らないと小花梗がしんなりしてだらしなく垂れてしまいますが、しっかりと形を保つのがこの種類の特徴のようです。
和名のセッカヤマネギの石花の意味や「年をとった」という学名の由来は、不稔性が高く、一つの花序に1・2個の果実しか稔らないからだろうと推測しています。

 

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2019年10月11日 (金)

アルブカの果実 Fruit of Albca polyphylla

以前ご紹介したアルブカ・ポリフィラ(Albuca polyphylla:ユリ(キジカクシ)科アルブカ属)の種子が実りました。

花が散った後花被の縞模様は皮となり、そのまま果実を包んで茶色く残っています。花は4輪咲きましたが、稔った果実は3個でした。
草丈は15cmほどですが、その割には随分と大きな果実が稔りました。

果実は蒴果で、成熟するにつれ膨らみ、色も濃くなっていき、はっきりと3室に分かれていることがわかるようになります。
熟すと裂開し、1室あたり6〜8個の真っ黒の種子が入っていました。
種子は採取した時は焦げ茶色でややふっくらしていましたが、しばらく経つと他のアルブカと同じ、真っ黒で薄い種子になっていました。

 

2019年9月13日

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 2019年9月22日 花被の縞は薄皮となって莢を包ん
でいます。

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2019年10月3日 1番目の莢は種子が未成熟でした。
裂開した莢の中に薄茶色のまま残っています。

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2019年10月9日 2番目の莢ですが、焦げ茶色の種子
が稔っています。

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2019年10月10日 (木)

ゼフィランテス・ミニマの種子  Fruit of Zephyranthes minima

先日から次々咲き続けているゼフィランテス・ミニマ (Zephyranthes minima:ヒガンバナ科ゼフィランテス(タマスダレ)属)の果実が次々稔っています。

花芽は花軸分枝によってできるため同じ球根から繰り返し花茎をあげます。
そしてまず間違いなく、花の大きさから想像できないほど大きな、長さ0.8cmほどの果実をつけます。

花が枯れても果実の先にローソクの火のようについています。
そのうちに枯れた花びらが落ちてしまうと、タネが入っていることがわかるぐらい膨らんできます。
果実は裂果で3室に分かれており、1室あたり8〜12個の種子が入っています。

莢が裂けると莢は半透明の薄茶色になります。
種子ははじめは古部茶色で、水分を含んでふっくらしていますが、すぐに薄くなり、真っ黒の皺々になります。

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Zephyranthusminima8

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採取直後はふっくらしています。

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1日経つと黒くて、皺々で薄ぺらくなります。

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2019年10月 9日 (水)

センボンギク Aster microcephalus

センボンギク(千本菊 :Aster microcephalus:キク科ヨメナ属)が咲いています。

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センボンギク(Aster microcephalus var. microcephalus)はノコンギク(Aster microcephalus var. ovatus)の基本種とされていましたが、センボンギクにかかわる変種・亜種はすべてアスタ・オバツス(Aster ovatus)という学名に変更になりました。しかしセンボンギクは学名命名規則から、最初につけられた種小名 microcephalus がそのまま残され アスタ・マクロケファルス(Aster microcephalus)となっています。したがってセンボンギクはノコンギクは亜種・変種レベルの同じグループでありながら、学名上異なる種類となっています。

中国から朝鮮に分布し、 我が国では本州から九州にかけての低山の河原や渓流 のそばに自生しています。
従来ホソバコンギクと呼ばれてきたものはセンボンギクで、タニガワコンギクとセンボンギクは同じとされています。

互生してつく葉はヨメナ類の中では明らかに細く、先のとがった長楕円形、あるいは線状披針形で、基部の葉は全縁、上部の葉は粗く鋸歯が出ます。また表面に粗く毛が生えています。
背丈は10〜40cm、あまり立ち上がらず、這って広がります。私のポットの中ではせいぜい10cmの草丈です。

9~11月に茎頂部が数本に枝分かれし、その先に花をつけます。
花は径2cmほどで、細長い舌状花と黄色い筒状花をつけます。舌状花の色は白から淡紫色までありますが、開き初めの頃はピンク色を呈します。
総苞は半球形で、総苞片は3列並んでいます。
種子は痩果で、薄茶色の綿毛が出ますが、綿毛は2〜3mmの長さしかなく、風で飛んでいくことはできません。

山野草愛好者の方からいただいたのですが、簡単に挿し芽ができて増えていきます。枝の先の方を摘んで、根元に指しておくだけでOKです。

種小名のミクロケファルスは古代ギリシャ語起源で、「小さい頭の」という意味です。

ところでこの植物の命名には2人のフランス人がかかわっています。フランスの植物学者アドリアン・フランシェ(Adrien René Franchet:1834-1900)さんは1881年からフランス国立自然史博物館の標本館などで働き、フランス宣教師が東アジアで集めた標本をもとに研究し中国や日本などの植物の専門家となりました。
もう一人のフランス人は、医師・植物学者ポール・サヴァティエ(Paul Amédée Ludovic Savatier:1830–1891)さんで、横須賀製鉄所の医師として2度にわたり(1868-1871、1873-1876)日本に滞在し、1800種の植物を採集し、標本をヨーロッパに送りました。その標本を元にフランシェさんと共著で1875年から1879年にかけて、ラテン語の書物「日本植物目録」をパリで出版しました。 日本原産の植物の学名の命名者がフランシェ/サヴァティエ(Franch. et Sav.)になっているものが多くあります。またフラサバソウ(Veronica hederifolia)の和名は、2人を記念して、名の一部をつなげてつけられたものです。

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2019年9月27日 (金)

近くで見ると可愛い、ウリクサ  Lindernia crustacea

ポットの空いたところにウリクサ(瓜草:Lindernia crustacea:アゼナ科アゼナ(アゼトウガラシ)属)が咲いていました。

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ラグビーボール形の蒴果
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 萼に稜があります
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ハナウリクサ属は永くゴマノハグサ科に分類されていましたが、まずオオバコ科に移された後、2009年のAPG IIIではアゼナ科が立てられ、分離されました。
アゼナ科は多くが熱帯アメリカに分布し、13属200種ほどの草本からなります。アゼナ(アゼトウガラシ)属の植物はアジアとアメリカの温帯に広く分布し、60種程が知られています。

ウリクサは日本だけではなく、東アジアの温帯や亜熱帯に分布する1年草です。湿地などに自生し、人為的に開墾された水田などが住処になっているようです。

夏から秋にかけて「畑や道ばたで普通に見られる」と書物には書かれていますが、都会の公園や空き地では見たことがありません。何年も植物を探して散歩していますが、見たことはありませんでしたので、我が家のポットに居ついてくれてラッキーでした。

ウリクサは這い性が強く、枝分かれしながら広がっていきます。茎や葉は地面にべったり這っているので、高さは1cmにならないのではないかと思います。
葉は粗い鋸歯のある長さ1~2cm、幅0.6~1.2cmの広卵形で、基部の葉には葉柄があり、対生して四角い茎についています。
葉脇から花柄を出し、長さ1cmに満たない唇形の小さな花をつけます。
上唇は先が浅く2裂、下唇は3裂します。下唇の真ん中の裂片に濃い青紫色の斑があり、花弁の縁にも青紫がかっています。
萼は筒型で、5裂し、裂片の中央を稜が走ります。
雄しべは2本ずつ長さが違い4本あります。
果実は、残宿性の萼に包まれたラグビーボール形の蒴果で、果実がマクワウリに似ているので瓜草と呼ばれるようになったと言うことです。

小さい花ですが顔を近づけて見るとかわいい花です。

属名のリンデルニアは、ドイツ系フランス人の医師、植物学者のフランツ・リンデルン(Franz Balthasar von Lindern:1682-1755)さんに由来し、イタリアの医師で植物学者の カルロ・アリオーニ(Carlo Ludovico Allioni:1728 -1804)が1766 年に命名しています

種小名クルスタケアは、「殻、皮」という意味のラテン語crustaから派生した「かさぶたの、皮を被った」という意味です。推測するに果実が稔っても萼が残っているからだろうと思います。

 

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2019年9月10日 (火)

小さいアルブカ  Albuca polyphylla

アルブカ・ポリフィラ(Albuca polyphylla:ユリ(キジカクシ)科アルブカ属)が咲きました。

このアルブカ、2018年10月に蒔いた種子から咲いたので、1年足らずで咲いたことになります。播種1年目は葉を出したまま冬眠もしませんので、効率よく太ったのかもしれません。
花を咲かせるためには球根の直径は3〜5cmは必要だと言われています。掘り起こしたところ径1cm長さ2cm程の楕円形をしていました。

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Albuca fumilis との茎の比較
左:Albuca polyphylla 右:Albuca fumilis

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花茎が出だした頃。苞葉が目立っています。

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蕾がついていることがわかるようになりました。

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アルブカ・ポリフィラは南アフリカ共和国の東ケープ州や西ケープ州の東部、ドラッケンバーグ山脈の、ある時期だけ湿原になる泥土地などの岩の割れ目や礫の中に自生しています。夏に活動するアルブカです。

球根の頭頂部からから葉を根出し、葉は巻いたり、ねじれたりせず、しなりながら広がります。
葉は無毛でつやがあり、明るい緑色をしています。やや肉厚の幅2〜3mm、長さ5〜8cmの線形で、中心に溝があります。この株はまだ5枚ほどしかありませんが、普通は12~15枚の葉が根出すると言われています。

花茎は円柱状でしっかりしており、高さが15cmほどになります。
夏に葉の中から、披針形の苞葉に包まれて花茎を出します。花は散状花序に上向きに3~5輪が開きます。
花被片は楕円形で白色をしており、竜骨部は緑色をしています。
俯いて咲く種類と違い、内花被は少し開き、中を覗くことができます。花糸は白く、扁平で、花被片から飛び出すことはありません。3枚の内花被には花糸が合着していて、先端がフード状になって葯を隠しています。
内花被にひっついている葯は、離れた葯より小さく白っぽい色をしています。
なお苞葉は相対的に小さくなって花のすぐしたの花茎にくっついています。

 アルブカ・フミリス(Albuca fumilis)に大きさや花の雰囲気がよく似ていますが、葉で区別できます。フミリスの葉は深緑色をし、断面が円形で、松葉のような葉ですが、ポリフィラの葉は多肉っぽい円形で、溝があります。

1872年に英国人で南アフリカに移住した大学教員のマコーワン(Peter MacOwan:1830-1909)さんによって喜望峰の東部地方で採集されたものがキュー王立庭園に送られ、1874年3月に開花し、それを英国の植物学者でキュー王立庭園の植物園の管理者だったベイカー(John Gilbert Baker:1834 –1920) さんが1874年に公表しました。

異学名はオルニトガルム属と考えられていた時の名、オルニトガルム・テレティフォリウム(Ornithogalum teretifolium)です。「磨かれた葉の」という意味で、葉に艶があることを指しています。
種小名ポリフィラは「葉の多い」という意味のラテン語です。

 

 

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2019年8月30日 (金)

小さなゼフィランサス  Zephyranthes minima

ゼフィランテス・ミニマ (Zephyranthes minima:ヒガンバナ科ゼフィランテス(タマスダレ)属)が咲きました。

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苞を被った蕾です。尻尾のように先が立っています。

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果実です。種子が1列あたり10個、3列入っています。
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ゼフィランテス属は園芸的にゼフィランサスと呼ばれています。新大陸の温帯を中心に35種程が分布しています。耐寒性のある種類と非耐寒性の種類、春咲きと夏咲きの種類があります。乾燥・高温期の後に雨が降ると開花する種類はレインリリー(rain lily)と呼ばれています。
1個の球根に1〜3本の花茎を出し、茎頂に1花をつけます。蕾は先端が二裂する仏炎苞のような苞葉に包まれています。

ゼフィランテス・ミニマは南米アルゼンチン、海抜2600m以上のボリビアの高地、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジルに自生する小型球根植物です。

葉は糸状で、長さ10cmほどで、花をつける球根であれば葉は3枚出現します。
夏も朝晩が涼しく感じる頃から秋にかけて、秋雨の後に、葉と同じ太さの花茎を伸ばします。葉と花茎の違いは、花茎は先が赤くなり、太くなるにつれ、赤い苞葉に包まれた蕾になっていきます。
花芽は葉が3枚出た後次に出る葉に花芽がつくという花軸分枝という振る舞いを花期中何回か繰り返します。

6裂する白い花は径10mmほどで、漏斗形に開きます。
花被片の裏側に赤い筋が入り、ピンク色を呈します。花被片の先の方も濃い赤色に染まります。おおよそ一日花で、朝咲くと夕方には枯れてしまいます。
小さい花なので地植えにすると目立ちません。小鉢に植えて目を近づけて鑑賞するのに向いています。

タネを播いた時にはこの花の知識がなく、そのまま放置しておいたので、知らない間に花茎をあげていました。ほったらかしで二冬を越したので耐寒性はあるようです。

球根植物を研究した英国の植物学者ハーバート(William Herbert:1778–1847)さんによって1837年に公表されています。

属名はギリシャ語の Zephyros(西風の意味)と anthos(花の意味)が語源となっています。西半球に分布するので、ヨーロッパから見て西方の花と言うことではないかと思います。

種小名はラテン語で「最小の、非常に小さい」という意味です。

 

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2019年8月27日 (火)

エサシソウ Verbascum blattaria f. erubescens

エサシソウ(江差草:Verbascum blattaria f. erubescens:ゴマノハグサ科モウズイカ属)が咲いています。

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蕾です
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果実です。見た目は蕾とあまり変わりません。
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基本種のベルバスクム(バーバスカム、ウエルバスクム)・ブラッタリア(Verbascum blattaria v. blattaria)は地中海沿岸のヨーロッパや北アフリカに分布する2年草で、黄色い花を咲かせます。
その品種で、ピンクがかった花を咲かせるものがベルバスクム・ブラッタリア ・エルベスケンス(Verbascum blattaria f. erubescens;品種名の意味は「紅色を呈する」)、白花を咲かせるものが ベルバスクム・ブラッタリア ・アルビフロラ(Verbascum blattaria f. albiflora;意味は「白花の」)ということです。

エサシソウは園芸植物として明治時代に移入され、帰化が確認された場所が北海道函館市近辺の江差地方であったので江差という地名が冠されたようです。
北海道帰化植物便覧(五十嵐博著、北海道野生植物研究所刊、2000)には1930年に今の札幌市南区の真駒内で観察されたと記されています。
エサシソウという名の他に、根生葉の様子からタバコグサ(煙草草)、ニワタバコ(庭煙草)と呼ばれています。
なお白花品種はエサシソウではなくシロバナモウズイカ(白花毛蕊花)という和名がありますが、以前は桃花種だけでなく白花種もすべてエサシソウとよばれ、シロバナモウズイカと呼ばれるようになったのはそんなに古くではないようです。

草丈1m以上になると言うことですが、この株は50cmどまりです。花茎の下部で枝分かれして数本の花茎を立てます。花茎は細い割には丈夫です。
根生葉には長い葉柄がありますが、茎につく葉は茎を抱きます。

花は径2.5cmほどの、ややいびつに5裂し、左右対称形をしています。
花弁の表面以外全草に腺毛が生えています。
モウズイカを漢字で書けば「毛蘂花」です。その由来は紫色の雄しべの花糸に長い毛がついているからで、雄しべの2本は長く大雑把に長毛がついていますが、3本は短くて長毛を密生します。毛にも腺毛があります
茎を折ると白い乳液が出るのですが、しばらくすると黒いコールタール状に変わります。

果実は扁球形の朔果で、非常に小さな種子を稔らせます。無数の種子が入った果実を何百個と稔らせるといわれ、ものすごい繁殖力の故、全地に広がった米国では有害植物に指定している州もあります。

雄しべが蛾の触角に似ているので、英名は moth mullein(モス・マラン、蛾のモウズイカ)と呼ばれています。
種小名は「ゴキブリ(blatta)の」という意味で、古くからこの植物はゴキブリを寄せ付けないことが知られています。

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2019年8月 8日 (木)

鉄の草  Vernonia fasciculata

バーノニア・ファスキクラタ(Vernonia fasciculata:キク科バーノニア属)が咲いています。

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バーノニア属は日本では九州にヤンバルヒゴタイ(ムラサキムカシヨモギ、ショウジョウハグマなど名前があります)( Vernonia cinere(Cyanthillium cinereum))1種が知られていましたが、ヤンバルヒゴタイは他の属に移されましたので、日本には分布していないことになります。世界には500〜1000種が温帯から熱帯に分布していて、ほとんどがピンクから紫の花をつけます。
花の付け根にかわら重ね状にならぶ総包片(萼のように見えるもの)を持っています。

バーノニア・ファスキクラタはカナダ南中部や米国中部から東部に分布する多年草で、草原や湿原、沼沢地などに自生しています。

茎は50〜100cmに直立して伸び、途中で枝を出すことはなく、茎頂で枝分かれします。 茎は非常に丈夫です。
葉は薄いけれど堅い、長さ10cmほどの鋸歯状縁の狭披針形、狭卵形をしています。

夏の終わりから秋にかけて、茎頂で枝分かれしながら散房花序に頭花をつけます。
赤紫色の花は筒状花で、先で5裂し、花色と同じ色の雄しべと白い雌しべが飛び出しています。それが10数から20輪がまとまってついています。
この種類は、種を稔らせると鉄さび色の綿毛を出すのでアイアンウィード(鉄草:ironweed)といいます。
このバーノニア・ファスキクラタは草原で見かけるのでPrairie ironweedやSmooth ironweedと呼ばれています。

わざわざ種を播かなくても繁殖できる強さを持つもかかわらず、魅力的な花を咲かせます。

一般に湿った土壌では背が高くなりますが、夏前に茎を刈ることによって、背丈を低くすることができます。 現地では、他のベルノニア属の種類と交雑しやすいので種類の同定が難しいようです。

2015年にNAGRGSから、ベロニカと一字違いなので間違えて、種子交換で手に入れました。それからは勝手に実生で生えています。 実生で簡単に増えていくようなので、夏の殺風景な場所にふさわしいかもしれません。 多分油断すると増え過ぎるような気がします。

属名のバーノニアは英国の苔蘚類の植物学者で鱗翅類の昆虫学者でもあった植物採集家のウイリアム・バーノン(William Vernon:1666-1711)さんに因んで、ドイツの博物学者シュレーバー(J.C.D. Schreber:1739–1810 )さんが命名しました。 バーノンさんは1698年に米国メリーランド州に渡り、メリーランド州の植物、動物、化石、貝殻などを採取しています。

種小名はラテン語で「束になった、束生の」という意味で、花など(茎や枝、葉) が集まって、束のように見える状態を指しているのだろうと推測しています 。

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