ゴウダソウ「ケルメシナ」(合田草:Lunaria annua 'Kermesina':アブラナ科ルナリア属)が咲きました。




寒いときの葉

今の葉
ゴウダソウはバルカン半島から小アジアにかけて自生する耐寒性の1年草あるいは2年草で、今では世界中に帰化しているようです。
背丈は30〜60cmほど、暖地になるほど背は低く、早い時期から咲き始めます。
葉は逆ハート型をし、下部の葉には葉柄がありますが、上部の葉は茎を抱きます。
葉縁には大きな鋸歯があり、茎に交互につきます(互生葉序)。
紅紫色の花は総状花序にかたまってつきます。園芸種には白花もあります。
「ケルメシナ」は特に花の色が濃く、鮮やかな紅紫色で、萼も紅紫色をしています。
葉色にも特徴があって、普通は濃緑色ですが「ケルメシナ」は灰緑色をしています。
最も寒い2月頃には葉縁が濃い紫に染まります。「ケルメシナ」の特徴なのか、この株だけなのか分かりません。
花後子房が薄く拡がり、極端に薄い円形をした莢が出来ます。莢の中には艶のある半透明の隔膜があり、それに張り付いて4個から6個、これまた薄い種子が稔ります。
種は9月過ぎに播くと冬前に発芽します。そして冬の寒さもものとせず育ち、4月になって花茎を立てて、花を咲かせます。
英名のhonestyは、16世紀頃に英国で知られるようになってから呼ばれるようになった名で、種子を包む膜が透き通っていることに因んでつけられたようです。
丸い果実の形から東南アジアではコインプラント、米国ではsilver dollarsやChinese money、Chinese coinsと呼ばれています。
和名もそれを訳したギンセンソウ(銀扇草)やギンカソウ(銀貨草)です。
ヨーロッパでは、イエスをユダヤ人に売り渡したイスカリオテのユダが代価として受け取った銀貨30枚からの連想させる名がついているようです。
日本帰化植物図鑑(長田武正著)によると、ゴウダソウという名前は、明治のころにヨーロッパから種子を導入した東京美術学校の合田清さんが命名したということです。
属名のルナリアはラテン語の月(luna)に由来し、薄くて丸い果実の形を示しています。
種小名アンヌアは「一年性の」という意味です。
品種名のケルメシナはトルコ語で「市場」という意味ですが、園芸的には赤い花につけられていますので、「赤い」という意味で使われているようです。
同じような稔り方をする多年草のルナリア・レディビバ(Lunaria rediviva)がありますが、全くと言っていいほど見かけません。
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