2017年12月26日 (火)

斑入りクチナシの実
Gardenia jasminoides variegata

何年も花を咲かせなかった斑入りクチナシ(梔子,巵子,支子:Gardenia jasminoides variegata:アカネ科クチナシ属)が我が家にはあります。


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花を咲かせるために肥料を工夫したり、逆にやらなかったりしましたが、全く変りありませんでした。
このクチナシの土壌は水はけのよい野草向きの土壌で、さらに地面から30cm以上高くなっています。
それがいけなかったようで、葉も少ししかつけませんでした。

3年前にクチナシは「水を含みやすい肥沃土壌を好む」という性質を知り、夏から秋にかけて、毎日たっぷり水をやっていました。

一昨年やっと1輪咲き、昨年は数輪、今年も10輪ほど花をつけました。
6月頃の白と緑の斑入り葉ではなく、秋を過ぎる頃には落ち着いた緑とクリーム色の組み合わせになってきます。
私はこの色合いが一番美しいと思います。

そして先日、その斑入り葉の中に赤い実が付いていることに気がつきました。
一段と美しい風景を構成しています。

果実はオレンジ色で、その先に6枚の萼片が最終的な姿に変化し、引き延ばされて針状に付いています。
果実にははっきりとした稜が縦に走っています。

クチナシ属は1750年頃に中国から英国に紹介されたと言われています。
主に熱帯に約250種が分布し、このクチナシはベトナム、ミャンマー、インド、中国南部、台湾、日本に分布しています。
日本では静岡県以西、四国、九州、南西諸島の森林に自生しています。

和名のクチナシは果実が熟しても裂開しないことからつけられたという説や、蛇を意味するクチナワの梨(ヘビしか食べない梨)をつける木に由来するという説があります。

英名はcape jasmineやcape jessamineですが、南アフリカの喜望峰原産と信じられていたからです。

属名のガーデニアは英国生まれで、米国サウス・カロライナ、チャールストンに住んだ医師で植物学者のガーデン(Alexander Garden:1730–1791)さんに因みます。ガーデンさんはさまざまなモクレンやクチナシの発見に関係しました。
種小名ジャスミノイデスは「ジャスミンのような」という意味です。

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2017年5月 6日 (土)

細葉のアキス 
Acis trichophylla

アキス・トリコフィラ(Acis trichophylla: ヒガンバナ科)が咲いています。


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アキス属は英国の植物学者ソールズベリー(Richard Anthony Salisbury:1761–1829)さんによって、1809年にスノーフレークで知られるリューコジュウム(レウコユム,Leucojum)属から分割された属です。
1880年代になり、再びリューコジュウム属にまとめられましたが、2004年に葉に幅があり、花被片に緑の模様があるリューコジュウム属の特徴を持つ2種を残して、そうではない9種がアキス属へ再分類されました。

アキス・トリコフィラはスペイン、ポルトガル、ジブラルタル海峡を隔てて対岸のモロッコなどに分布しています。
高地には自生せず、海岸の松林の砂地で見られます。

種小名トリコフィラは、「糸状(tricho)の葉の(phylla)」という意味で、5〜20cmの松葉のように細い葉が球根から数本出て、渦巻くように地面を這い回っています。
花茎は渦巻いている葉とは関係ないようなところから、潜水艦が潜望鏡を上げるように、地面から突き出てきます。
10cm〜25cmの花茎を立て、長さ1cmほどの白色かピンクの2〜4個の釣り鐘型の花をつけます。

夏の乾燥に耐え、休眠中の湿気にも平気なのでほったらかしでいいのですが、この株は2014年に咲いたきり、葉ばかり茂らせていて、今年3年ぶりに咲きました。
その間分球して、今年は花茎が4本立っています。

英名はspring bell(春の鐘)、lusitanica bell(ルシタニア(イベリア半島の古名)の鐘)です。

アキスという属名についてソールズベリーさんはその由来を、ローマの詩人オウィディウス(Publius Ovidius Naso)の「メタモルフォセス(変身物語)」に因むとしか説明しなかったそうです。
メタモルフォセスに登場する、海の妖精ガラテアと恋に落ちた川の妖精ニュンペーの息子、青年アーキスに由来するのだろうということは分かるのですが、アーキスがこの植物とどのような関係にあるのか分かりません。

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2017年5月 3日 (水)

バランサさんのオーニソガラム 
Ornithogalum balansae

オルニトガルム・バランサエ(Ornithogalum balansae:ユリ科オルニトガルム属)が咲きました。


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ヨーロッパや、西アジア、南アフリカに分布しています。
1753年にリンネが12種をまとめてオルニソガルム属に分類しました。
その特徴は、線形か披針形の葉は球根から出現する1枚から数枚で、常緑であったり、花の時期には枯れているものもあります。
時には多肉の葉を持つものもあり、多岐にわたっています。

オルニトガルム属はヒアキンタ亜科(Hyacinthaceae)に含まれ、スキラ(シラー,Scilla)属と近縁ですが、スキラ属のように花被片が合着して鐘状にはなりません。

しかしユーラシア大陸のオルニトガルム属だけでなく、南アフリカで調査が進むにつれ、分類上の混乱が生じているのか属する種類も50〜300種あるといわれています。
オルニトガルム属にアルブカ(Albuca)属,ディプカディ(Dipcadi)属,ガルトニア(Galtonia)属,ネオパテルソニア(Neopatersonia)属,プセウドガルトニア(Pseudogaltonia)属を含めようという意見もあります。

パシフィック・バルブ・ソサエティ(Pacific Bulb Society)のサイトには、2009年のマンニングら(Manning,J.C. et al)の考えを参照して、以下のように分類できると説明されています。

アルブカ群
ディプカディ・プセウドガルトニア群
ガルトニア・ネオパテルソニアを含むオルニトガルム群

アルブカ群は花披の外側に真ん中に目立つ緑か茶色の縦に走る筋があり、中心線に沿って3-5本の葉脈が集まっています。
オルニトガルム群はあったとしても葉脈のない細いかぼんやりした暗い筋が花被片にあります。
この分類基準に従うと、これまでオルニトガルム群に含まれると考えられていた種類がアルブカ群に属していることになります。

さてオルニソガルム・バランサエはバルカン半島、グルジア、トルコの山地の草原に自生します。

早春に球根から2〜3枚、幅広の披針形の葉を出します。

矮性種で、15cmまでの高さに、2.5cmほどの白い花を総状花序に数個の花をつけます。
花被片の裏側の中央には明るい緑色の筋が走っています。

オルニソガルムというと結構背丈がありますが、これは地を這うように花を広げます。

フランスの植物学者バランサ(Gaspard Joseph Benedict Balansa:1825–1891)さんに因む名です。

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2017年4月17日 (月)

バビアナ・ピグマエアの名前の由来 
Babiana pygmaea

バビアナ・ピグマエア(Babiana pygmaea:アヤメ科バビアナ属)が咲きました。


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種小名のピグマエアとは「矮小の、背が低い」という意味です。
バビアナ・ピグマエアはバビアナ属では背丈が一番低いのですが、より小型を指すのにはナナ(「小型の」)とつけられるのが一般的です。
しかしバビアナ属に限っては、バビアナ・ナナ(Babiana nana)よりこの種類にピグマエアとつけられています。

というのは、オランダ人の植物学者ブルマン(Johannes Burman;1707 - 1780)さんが1768年に公表した時にはイクシア属と思われていたので、イクシア・ピグマエア(Ixia pigmaea)と名付けたのです。

後に英国の植物学者のベーカー(J. G. Baker;1834 – 1920)さんがイクシア属からバビアナ属に再分類して命名する段階になった時には、すでにバビアナ・ピグマエアよりやや大きいバビアナ・ナナ(Babiana nana )が存在していました。
そのため矮性にもかかわらずバビアナ・ピグマエアという名称にせざるを得なかったのです。
一度定められた種小名は変えられないという命名法の規則のために、ピグマエアのまま使われています。

さてバビアナ・ピグマエアは西ケープ州の南西部、ホープフィールド(Hopefield)からダーリング( Darling)にかけての礫を多く含む粘土地に自生しています。

背丈は10〜12cmで、背丈の割には地中深くに卵形の球茎を持っています。
花は球根から直接花柄を出して、先に花をつけます。
そのため先に出ている葉の付け根あたりに、数輪がひしめきながら咲くことになってしまいます。
横から見ると、アヤメ科なので萼のように見える苞葉があります。

放射対称の漏斗型の花は径8cmほどの大きさで、花披片は卵型をしています。
咲き始めは鮮やかな黄色ですが、咲き進むにつれ白っぽくなっていきます。中心部は濃い紫から茶褐色をしていて、コントラストが鮮やかです。

他のバビアナ属と同様、アヤメ科なので剣状の単面葉(裏も表も裏面)で、濃い緑色の葉は披針形をしています。
この単面葉には縦に走るひだがあり、それに沿って両面に微毛が生えています。
球根から4〜5枚の葉を直立させます。
早くから葉が出てくるので、毎年そうですが、春先の寒さに当たって葉先が茶色くなっています。

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2017年3月29日 (水)

蛇頭アイリス 
Iris tuberosa

イリス・ツベロサ(Iris tuberosa:アヤメ科アヤメ属)が咲きました。


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イリス・ツベロサは花の構造などがアヤメに近かったので、1753年にリンネがアヤメ属に分類し、この名がつけられました。

しかし旗弁(蝶形花冠の後ろに立つ花弁)がなく、子房が3室に分かれてなく1室だけで、 地下茎(根茎)を持たないなどアヤメ属と異なる特徴があったので、1890年にカール・リヒテル(Karl Richter:1855–1891)がヘルモダクティリス属を新たに立てて、アヤメ属からヘルモダクティリス属(Hermodactylus tuberosus)に移しました。

長い間ヘルモダクティリス属の唯一の植物でしたが、キュー植物園のアヤメを研究しているジャッドレル研究所(Jodrell Lab)が、最近アヤメ属に戻し、再びかっての名前に戻りました。
なおヘルモダクティリスという属名はヘルメス(Hermes)とギリシャ語の指を意味するdaktylosの造語で、塊茎の形に由来します。

イリス・ツベロサはフランス南東部や北アフリカに分布していますので、ヨーロッパでは古くから知られたアヤメです。

2.5cmほどの指の形をした塊茎(ジャガイモのような貯蔵根)から葉が2〜3枚出て、葉は20〜60cmの長さになります。

15〜30cmほどの茎の先に、幅5cmほどの花をつけます。
楕円形の外花被はベルベットのような黒色をしていて、反り返ります。
また内花披は倒披針形をし、茶緑色から暗黄緑色をしています。
花にはかすかに香りがします。

アヤメ属にしては花が受け咲きに咲かず、横向き傾向に咲きます。
そのため蛇が、鎌首を上げて獲物を狙っているように見えます。

暖地を好み、寒冷地では開花をせず、春先に雨に遭って開花すると云われています。
乾いたアルカリ性の肥料気のない、砂状土壌を好みます。

和名は黒花アイリスです。
一般名はスネークヘッド(snake's-head)、スネークヘッド・アイリス(snake's-head iris)、ウインド・アイリス( widow iris)、ブラック・アイリス(black iris)です。
種小名のツベロサは「塊茎のある」という意味で、根の特徴を指しています。

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2016年11月17日 (木)

秋のクロッカス 
Crocus goulimyi

秋咲きのクロッカス、クロクス・ゴウリミー(Crocus goulimyi ssp goulimy:アヤメ科クロクス属)が咲きました。


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一般的にはクロッカスと呼ばれ、地中海沿岸から小アジア、北アフリカにかけておおよそ90種類が分布しています。
冬や早春に葉を出し、花を咲かせますが、秋に花を咲かせる種類もあります。
春に花をつける種類は休眠に冬に寒さを必要とし、秋に花をつける種類は夏に暖かい環境で休眠させる必要があります。

秋に花を咲かせるクロクス・ゴウリミーはギリシャ南部、バルカン半島の最南部のマニ ペニンシュラやペロポネソス半島に分布しています。
乾いた石灰岩に覆われた水はけの良い温和な地域、特に夏に乾燥するところを好むようです。

クロクス・ゴウリミーには花の色の違う2種の亜種が有り、ペロポンネス半島の異なる地域に分布をしています。
クロクス・ゴウリミー・ゴウリミー(Crocus goulimyi ssp goulimyi )は藤色をしています。
これに対しクロクス・ゴウリミー・リウカンツス(Crocus goulimyi ssp leucanthus)は白色か極めて薄い藤色の花を咲かせます。

秋になると葉と共に蕾が出てきます。細長い蕾には青白い色をした長い咽部があり、この頃の背丈は10cmほどになります。

花は就眠運動をし、陽が当たらないと花を開きません。

この頃には、クロッカスによく見られる中心に白い線の入る松葉のような葉が、地面から3〜5cm出ています。

属名はギリシャ語の「糸(krokos)」に由来し、花柱が糸状に長く伸びることを指していると言われています。

種小名はギリシャ・アテネ生まれの法律家でアマチュア植物学者、コンスタンティン・ゴウリミス(Constantine Goulimis (also appears as Constantine N. Goulimy) :1886–1963)さんに由来します。
ゴウリミスさんはこのクロッカス以外にカンパニュラ・ゴウリミー(Campanula goulimyi)、シレネ・ゴウリミー(Silene goulimyi)、スクテラリア・ゴウリミー(Scutellaria goulimyi)、スタキス・ゴウリミー(Stachys goulimyi)、ツリパ・ゴウリミー(Tulipa goulimyi)、リヌム・ゴウリミー(Linum goulimyi)など、ギリシャ原産の多くの植物に、その名を残しています。
ゴウリミスさんは法律家として第二次世界大戦の時に南アフリカで過ごし、その時に植物に興味を持ちました。そして帰国してからギリシャ各地の植物を調査し、「ギリシャの野草(Wild Flowers of Greece)」を著しました。

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2016年10月19日 (水)

勝手に咲いたコハマギク 
Chrysanthemum yezoense

コハマギク(小浜菊:Chrysanthemum yezoense:キク科キク(シュンギク)属)が咲きました。


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このコハマギクは苗を購入したものでもなく、タネを播いて育てたものでもなく、勝手に生えてきたものです。
手に入れた植物(ツクシタツナミソウ:Scutellaria kiusiana )は枯れてしまったのですが、その後に生えてきたのは用土に根が入っていたからでしょうか。
昨年の夏過ぎに目立つようになり、昨年秋に花を咲かせることもなく、冬も葉を茂らせ続けていました。
見かけるようになって2年目の今年10月に入って蕾をつけました。
一般に流通していない植物なので、その花を見ることができてラッキーだと思います。

コハマギクは日本に固有のキクで、北海道から本州の太平洋側を経て、茨城県までの海岸に自生しています。
分布域が遠く離れていますから、いくら何でも神戸までタネが飛んできて生えたということではなさそうです。

匍匐性の菊で、草丈は10〜50cm、長い地下茎を這わせ、群生する多年草です。
ビニールポットで育っているのですが、ポットの上から触ってわかるほど太い根があります。
背丈については私の所のコハマギクは花の無い時は5cm、花茎を上げてきて10cm程度になります。

茎の基部は木化しますが、上部は紫色を帯び、軟毛が生え、所々白っぽく見えます。

葉は翼のついた葉長と同じぐらいの長い葉柄があります。
海岸に自生しているためでしょう、暑さや風に耐えられるような肉質のしっかりした葉です。
楕円形で先が大きく5裂し、さらに2から3裂しています。
表面にぷつぷつと腺点があります。
特徴のある葉で、見る人が見ればコハマギクとわかる葉です。

径4〜5cmの頭花を枝先に一つだけつけます。この個体は舌状花は幅のある楕円形で薄いピンク色をしています。
一般的には舌状花はもっと細長く、花数も多く、白い色で、咲いてからピンクに色づくようです。
蕾の時は濃いピンク色をしています。

異学名はChrysanthemum arcticum, Dendranthema arcticum subsp. maekawanum, Chrysanthemum zawadskii subsp. yezoense Dendranthema yezoenseです。

外国では Groundcover Chrysanthemum, Hokkaido Chrysanthemum と呼ばれています。

種小名エゾエンセは北海道(蝦夷)を意味します。
属名クリサンテムムはギリシア語で「金の(chrysos)花(anthemon)」という意味です。

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2016年9月19日 (月)

ヨウラクタマアジサイのシーズン最後の花 
Hydrangea involucrate var. multiplex

ヨウラクタマアジサイ(瓔珞玉紫陽花:Hydrangea involucrata var. multiplex:ユキノシタ科アジサイ属)の最後の蕾が開きました。


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タマアジサイという名は、蕾が数枚の総苞に包まれ、丸い形になるので名づけられたと言われています。
分布は、福島県から南へ岐阜県までと言われ、福島県以北や近畿以西には分布していません。
但し牧野新植物図鑑には本州北部と四国にも分布するとあります。

タマアジサイは他の種類のアジサイに比べ遅咲きで、7月~9月に開花します。
タマアジサイは一斉に開花するのではなく、一つの蕾大きくなり、それが開いた頃に、次の蕾が大きくなり出し、次に開くというようにして、長い間花を見ることができます。

ヨウラクタマアジサイはタマアジサイの変異種ですが、タマアジサイにはこれ以外に、花の特徴からギョクダンカ(玉段花)、ココノエ(九重)タマアジサイなどの種類が知られています。

タマアジサイは、花弁のように見えるガクが発達した白い装飾花と青紫をした両性花が、額咲きに咲きますが、ヨウラクタマアジサイは装飾花が八重で、何重にも積み上がって八重の塔咲き(段咲き)になります。

無性花の装飾花は、萼片を作り続けながら花軸が伸びていきます。
花軸が伸びて垂れ下がる様子が瓔珞のようなので、この名がつけられたと言われています。
瓔珞とは古代インドの貴族が用いた装身具で、仏の装身具に用いられたり、寺院や仏壇など天蓋から垂れる装飾品に変化したといわれています。
4枚目や最後の写真のように、枯れる頃になると花柄も伸び、そこに萼が幾重にもついてきます。なるほどその様子をみていると、瓔珞かなと思います。

艶のない暗緑色の葉は柄があり、対生してつきます。葉は大きいけれど、不揃いの細かい鋸歯があります。
ぶ厚く、両面に毛が生えていてザラザラします。
枝は側枝を出して伸び、次の年にその先端に花をつけます。

私の所では乾きやすく、かつ西日を受けやすい、ヨウラクタマアジサイが一番嫌うところに植わっているので、花はすぐ萎れ、3枚目の写真のように花びらにシミがついて、汚れてしまいます。
そのため何年か前から咲いているのですが、ブログにはあげませんでした。
このように朝夕暑さが和らぎ、最後の花になると綺麗に咲いてくれました。

ヨウラクタマアジサイは東大教授で、小石川植物園長を務めた中井猛之進(1882 - 1952:なかいたけのしん)さんが昭和23年、伊豆大島で発見したと言われています。
中井猛之進さんは日本原産の植物の命名者として有名な方で、いくつかの植物の種小名にもナカイイ(nakaii)という献名がつけられています。

種小名のインボルクラタは、「総苞のある」のという意味で、蕾を様子を示しています。
変種名のムルチプレクスは「幾重にも重なる、多くのひだを持った」という意味です。

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2016年7月 8日 (金)

斑入り葉のアカンサス 
Acanthus 'Whitewater'

斑入り葉のアカンサス、アカンツス「ホワイト・ウオーター」(Acanthus 'Whitewater':キツネノマゴ科アカンツス属)の初花が咲いています。


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斑入りのアカンサスというと「タスマニアン エンジェル」の名が上がりますが、「ホワイト・ウオーター」はそれより新しい品種で、斑入り葉の「タスマニアン エンジェル」と深緑色葉の「サマービューティー(‘Summer Beauty’)」を交配した品種です。

「サマービューティー」はアカンツス・モリス(Acanthus mollis)とアカンツス・スピノスス (Acanthus spinosus)の交配種と推測されています。

アカンツス・モリスは地中海沿岸から小アジア、北アフリカ原産の常緑性の草本です。
葉は濃いグリーンでツヤがあり、棘のついたギザギザの縁なので花が無くても見間違うことはありません。
種小名のモリスは「軟らかい、軟毛のある」という意味ですが、株全体に全く毛は生えていません。たぶんスピノススに比べると棘が優しいことを示しているのだと推測しています。

スピノススはヨーロッパ南部、東南アジア原産と言われており、建築デザインのアカンサス模様というコリント様式の柱頭の飾りはアカンツス・モリスではなく、このスピノススがモデルになっていると言われています。
モリスは背丈が1m以上になりますが、スピノススは高くても背丈は1mを越えることはありません。
葉はモリス以上に深裂し、裂片の先には硬いトゲがあります。この特徴がスピノスス(「トゲの多い」という意味)という種小名になっています。

アカンサス・スピノススは、アカンツス・モリスに比べて花の大きさは同じですが、大きさがよりコンパクトで、その分花と花の間が詰まって咲きます。
さらにアカンツス・スピノススは葉に深みと、艶がなく、それが、アカンツス・モリスと同じような葉です。
豪華さと耐暑性を併せ持ち、日本にはうってつけのアカンツスです。

「ホワイト・ウオーター」は「タスマニアン エンジェル」より大きく、花付きも良いといわれています。
今年初めて咲いたので、花茎は途中で伸びなくなり、花は5輪だけです。

花弁に被さっている萼は白色で、ピンクがかっています。
花茎は赤く、斑入りの葉と相成って、美しい姿を見せてくれます。
来年に期待しようと思います。

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2016年7月 2日 (土)

ツイーディアとオキシペタルムの違い 
Tweedia caerulea f. plenum

八重咲きのツイーディア・カエルレア(Tweedia caerulea f. plenum:ガガイモ科ツウィーディア属)が咲いています。


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ツイーディア・カエルレアはブラジル南部やウルグアイに自生する宿根草で、以前はオキシペタルム・カエルレア(Oxypetalum caeruleum)と呼ばれていました。

以前分類されていたオキシペタルム属はオキシペタィナエ節(Oxypetalinae)の中では一番種類が多く、約120種が知られています。
主としてメキシコからアルゼンチンまで南アメリカの中〜東部に分布しています。
筒状花で、杯部から先で5深裂し、裂片は披針形をしています。
花冠の筒部に合着する雄蕊柱があり、蘭に見られるような葯帽や花粉塊柄を持ち、雄蕊柱から出て、柱頭(雌しべの先)を刺激する役目の付属物(副花冠)を形成しています。

ツイーディア属はオキシペタルム属と同じ特徴を持つのでオキシペタルム属に含まれていましたが、柱頭が2裂するので、ツイーディア属に再分類されました。

ツイーディア属は1834年に英国の植物分類学者フッカー(Hooker, W. J. & Arnott, G. W. A.)さんたちにリストアップされました。その後に何人かの植物学者に取り上げられましたが、その都度、基準標本がちがっていました。

1904年にドイツの植物学者マルメ(Malme,G. O. A.)さんがツウィーディア属について、概念を新たに立て直したのですが、基準種がどれであるかを示すことはしませんでした。
最初に基準種を示したのはドイツの植物学者メイエル(Meyer, T.)さんで、1944年にツウィーディアの基準種としてツイーディア・ブルノニス(Tweedia brunonis)をあげました。
フッカーさんらが1834年にツイーディア属について解説した時に、花冠の形と2裂する柱頭という二つの特徴をあげていました。
ところがツイーディア・ブルノニスについてのフッカーさんらの解説の中に「分かれていない柱頭」という記載があり、メイエルさんの基準標本を否定する重大な矛盾にぶつかったのです。
しかしこのことは1989年になって、英国の植物学者ルア(Rua, R. H.)さんが柱頭が短く2裂していると指摘して決着がつきました。
フッカーさんらはツイーディア属に関する誤りを犯しており、後に彼らの分類学的見解は否定され、オキシペツラム属はいくつかの属に分けられました。
(以上Rapini,A. Pereira,J.F. & Goyer,D.J. Towards stable generic circumscription in Oxpetalinae(Apocynaceae). Phytotaxa. 2011,26: 9-16 に基づく)

ツイーディア・カエルレアは春から秋にかけて葉脇から蕾を出し、集散花序に2〜4輪の花をつけます。
花冠は直径3cmほどで、短い筒部があり、5深裂しています。

この八重咲き種は八重や半八重をつけますが、花弁中心の付属物(副花冠)が発達したものだと思います。
というのは八重は副花冠があるのかどうかもわからないからで、八重の部分は副花冠だと推定できます。
八重の中心の花弁はほとんど開かず、バラの花のような感じです。

ガガイモ科の花はアリにとって好ましい香りがあるのでしょうか、蟻が沢山やって来ます。
アリの大きさでは虫媒昆虫にはならず、副花冠を動かせるぐらいの大きな昆虫が来ないと種子はなかなか稔らないようです。

葉は対生し、長楕円形で、先は丸みを帯びています。
葉をつまむとベルベットのようなふかふかした厚みがあります。
葉柄は短く、枝から直接出ているように見える葉もあります。
葉の付け根は湾入する形になる「心形」をしています。

英名は Blue Milkweed で、Milkweed は乳草と訳したらいいのでしょうか。ガガイモ科の特徴が細長い莢に入った種子と切ったときに出る乳液で、ツイーディ ア属に限らず、同じ特徴を持つアスクレピアスも Milkweed と呼ばれています。

種小名カエルレアは「青色の」という意味で、花の色を指しています。
属名のツイーディ アは、エディンバラ王立植物園の庭師のジェームズ・ツイーディ ー( James Tweedie:1775-1862)さんに因みます。
ツイーディ ーさんは19世紀の初めに南アメリカに探検旅行をしましたが、50代の時に南アメリカに移住し、新大陸を旅して、新しい植物を採取して回りました
ヨーロッパにペチュニアを紹介したことで知られています。

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