2016年7月 4日 (月)

キタイベルさんのオダマキ 
Aquilegia kitaibelii

アクイレギア・キタイベリイ(Aquilegia kitaibelii:キンポウゲ科オダマキ属)が咲いています。


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アクイレギア・キタイベリイクロアチアとボスニア・ヘルツェゴビナの国境にある海抜1831mのディナラ(Dinara)山を中心とした海抜約1200〜1600mの山地に分布しています。

近くには「カルスト」の語源となったスロベニアのクラス地方(Kras、ドイツ語名:カルスト)があり、そこから続く荒涼とした不毛の土地に咲いています。他のヨーロッパ産のオダマキ同様、石灰岩地が好きなようで、カルストに続く石灰岩地の斜面や割れ目、崖で見られます。

草丈は15〜30cmで、花茎上部には腺毛が生えています。
葉は他のオダマキ同様2回3出小葉で、濃緑色の小葉片は無柄で、上面にはかすかに毛が生えていますが、下面には密に生えています。

花は6月に花茎を伸ばし、青紫色や赤紫色の花を3〜6輪開きます。
花の大きさは径2〜3cmで、距につながる花弁は1.7cmほどで、大きく開きます。
距は太く、短くて 0.8〜1cmほど、内側にカーブしています。
雄しべは花弁から飛び出しません。

イタリアにも分布しているというのは誤りで、アクイレギア・ベルトロニイ(Aquilegia bertolonii)と混同されていると言われています。
またアクイレギア・ビスコサ(Aquilegia viscosa)と間違われることがあるようですが、分布域が異なります。
異学名はAquilegia pyrenaica var. kitaibelii や Aquilegia vulgaris var. kitaibelii で、その姿から間違われていたことが多いようです。

種小名は19世紀のハンガリー人のポル・キタイベル(Pál Kitaibel:1757-1817)さんに因みます。
ハンガリーの植物学者や鉱石学者で、テルル(tellurium:レアメタルの一種、太陽電池や各種電子部品の材料)を1789年に発見しています。後に彼より7年早く発見した人がいて、彼の功績にはなっていません。
ビオラ・キタイベリアナ(Viola kitaibeliana)やプリムラ・キタイベリアナ(Primula kitaibeliana)も彼の名に由来します。

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2016年5月24日 (火)

距の美しいオダマキ 
Aquilegia pyrenaica ssp. pyrenaica

今年もアクイレギア・ピレナイカ(Aquilegia pyrenaica ssp. pyrenaica:キンポウゲ科オダマキ属)が咲きました。


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アクイレギア・ピレナイカは種小名からわかるように、ヨーロッパのピレネー山脈の海抜1400〜2500mの高所、スペイン北東部やフランス西部の岩場やがれ地に自生しているオダマキです。

草丈は10〜25cmで、この花も葉だけの時は5cmほどでしたが、その後成長しても葉の高さは10cmにならないぐらい、花茎が15cmほどの高さです。

小さい葉が密につき、葉だけ見ていると小さな花が咲くのだと思ってしまいます。
しかし花茎が立ちだすと、横向きのまま蕾は日ごとに膨らんでいき、径3〜4cmの大きな花を横向きに開きます。

花の色は美しいブルーから薄紫色で、距は細く、緩くカーブしますが、内側に強く巻き込むことはありません。
距の雰囲気が気に入っています。
このオダマキほど美しい距を持つものはないと思っています。
1枚目の写真は全ての距が伸びきっていません。
この写真の1〜2日ぐらい経つと、その微妙さが出てくるのですが、残念ながら写真を撮る時間がとれませんでした。

また雄しべは花弁から飛び出すことはありません。


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2016年4月30日 (土)

マンコスのオダマキ 
Aquilegia micrantha

アクイレギア・ミクランタ(Aquilegia micrantha:キンポウゲ科オダマキ属)が咲きました。


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アクイレギア・ミクランタは米国のアリゾナ州北部、コロラド州南西部、ユタ州中南部の海抜1000〜2500mの台地に育ちます。台地を切り裂く渓谷の水がしみ出す絶壁の、しかし日差しの強い乾いた環境に咲いているオダマキです。

1891年に考古学者でガイドのアルフレッド・ウェーザーリル(Alfred Weatherill)さんがコロラド州メサ・ヴェルデ国立公園 (Mesa Verde(緑の大地) National Park) の南部地域でこのオダマキを発見しました。
メサ・ヴェルデ国立公園に隣接してマンコスという街があり、その名に因んでマンコス・オダマキ(Mancos columbine)と呼ばれています。

基部の葉は明るい緑色をしており、10〜35cmの高さに茂りますが、花茎を30〜60cmに直立させます。

花の色は様々で、白、クリーム、ピンク、ブルーなどの色が混ざりますが、花弁と萼は同じ色をしています。
花は俯きに咲くものや、上向きに咲くものもありますが、蕊は花弁から突き出ています。
花の大きさは1.5〜4cmで、幅があります。萼片は倒披針形ですが、その先が尖っていたり、丸くなっていたりします。
距は細く、2〜3cmの長さで、まっすぐ伸びていますが、少し広がり目にカーブするものもあります。
米国のオダマキに多い萼がやや後ろに反り返ります。やんちゃな感じがして好きです。

またコロラド南西部にはアクイレギア・ミクランタ・マンコサマ(Aquilegia micrantha v. mancosama)という距のない変種も報告されています。

花の色については基本となる色が定まらず、さらに花の大きさや、形の多彩さのために、多くの植物学者がいろいろ違う分類や変種を提案しました。
確かに花の大きさが1.5cmならば「小さな花の」という種小名でいいのですが、4cmでは小さくありませんので、その大きさでは戸惑います。

ところでコロラド州メサ・ヴェルデ国立公園に関してですが、この地域には西暦約600年から農耕民族が住んでおり、12世紀には人口は10万人に達したと推測されています。
しかしその人たちが14世紀に突如として姿を消し、1870年代に白人が入植した頃は、少数のネイティブアメリカン、ユト族とナヴァホ族が住むだけでした。
1889年にコロラド州ラプラタ郡の西部からモンテズマ郡(Montezuma County)が独立した際。メサ・ヴェルデ国立公園にある遺跡がメキシコのアステカ文明時代のものと同じと考えられていたので、アステカの有名な支配者モクテスマ2世(Moctezuma II)に因んで郡の名前がつけられたそうです。

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2016年4月 4日 (月)

ピンクのヒメウズ
Semiaquilegia adoxoides

ピンクのヒメウズ(姫烏頭:Semiaquilegia adoxoides:キンポウゲ科ヒメウズ属)が咲いているのを見つけました。


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ヒメウズは塊茎を持つ多年草で、オダマキ属に含めることがあります。

本州南半分に広く分布し、人里の畑や道ばた、石垣、茂みの中などに生え、花が小さく目立たないので、雑草という扱いです。
日本以外には中国東部、朝鮮南部に分布しています。

不定形の地下茎(塊茎)を作り、そこから濃緑色をした3出複葉の根出葉を出します。

3〜5月に、10〜30cmの細い花茎を出し、茎頂に小さな白い花をつけます。
花は長さ5mmほどで、俯いて咲きます。花柄の付け根の近いところには出っ張り(突起物)があり、距であることが分かります。

オダマキと同様に、花弁に見えるのは萼片です。楕円形で5枚あり、その内側には黄色みを帯びた花弁があります。
萼片は時にやや赤みを帯びることはありますが、これほど全体がピンクがかることはありません。
葉にも赤い色素を含んでいて、紫色をしています。
以前にもこんなヒメウズを見つけたことがあります。
小さな花ですが、顔を近づけてみると趣があります。

属名のセミアクイレギアはsemi(半分) とAquilegia(オダマキ)で、オダマキに近いが別物ということです。
種小名アドクソイデスはレンプクソウ(Adoxa:ラテン語で「何の取り柄もない」という意味)に似ているということですが、花が小さいことを指しているのでしょう。

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2015年5月13日 (水)

アクイレギア「レプラコーン・ゴールド」の新種 
Aquilegia vulgaris 'Leprechaun Gold'

同定できないオダマキが花を開きました。


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濃紫色の八重のオダマキです。花は小ぶりです。葉に薄らと斑が入っています。
アクイレギア「レプラコーン(レプレコーン)・ゴールド」(Aquilegia vulgaris 'Leprechaun Gold':キンポウゲ科オダマキ属)であろうと思われます。

「レプラコーン・ゴールド」は2006年にドイツのイェリト(Jelitto Perennial Seeds) 社が育種したオダマキで、何年か前から大量に流通しています。
5年ほど前、「レプラコーン・ゴールド」を育てたことがあります。
黄色の掃き込み班の葉は美しかったのですが、距がぐにゃぐにゃになるなど花姿が乱れて、一度もブログにアップしたことがありませんでした。

でもこれはただの「レプラコーン・ゴールド」ではなく、新種なんです。
「レプラコーン・ゴールド」は青紫色一色の花を咲かせますが、これは萼と距は青紫色ですが、距に連なる花弁は硫黄色(薄黄色)をしています。
「レプラコーン・ゴールド・バイカラー」とでも名乗ればいいのでしょうか。
背丈も20cmほどしかなく、明らかに「レプラコーン・ゴールド」と違っています。

距も素直に後ろに伸びていますし、花弁の重なりも整っています。
なかなかチャーミングな八重のオダマキです。

品種名に使われているレプラコーンとはアイルランド地方に伝わる伝説に登場する妖精(Irish: leipreachán) で、女性の手伝いをするちいさな老人の姿をしています。

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2015年5月 6日 (水)

ブルゴーニュ・レッドのオダマキ 
Aquilegia atrovinosa

アクイレギア・アトロビノサ(Aquilegia atrovinosa:キンポウゲ科オダマキ属)が咲いています。


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アクイレギア・アトロビノサは、カザフスタン(Kazakhstan)や隣接する中国ウイグル自治区に連なる天山山脈の海抜1800〜3600mの森や渓谷に自生するオダマキです。
異学名もないほど知られていなく、とにかく情報のないオダマキです。

背丈は30〜60cmで、花全体が濃いワイン色の花を咲かせます。ブルゴーニュ・レッド、ボルドー・レッド、バーガンディなどと表現すればいいのでしょうか。百塩茶(ももしおちゃ)色、羊羹色、阪急電鉄色と言ってもいい色です。
花の色が濃い割には、葉や茎はその色素が出ておらず、普通の緑色です。

花の大きさは3〜3.5cmで、先で内側に巻き込む距の長さは2.5cmほどです。
雄しべは花弁とほぼ同じ長さです。

学名の接尾辞に ex Gamajun とあり、Gamajun(Gamayun)という地名から推測するにロシアのエカテリンブルグ(Yekaterinburg)で採取されたものが標本になっているようです。

種小名アトロビノサは暗黒の(ator)と葡萄色の(vinosus)の造語で、濃い葡萄色の花色を指しています。

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2015年5月 4日 (月)

オットー王のオダマキ 
Aquilegia ottonis

アクイレギア・オットニス(Aquilegia ottonis:キンポウゲ科オダマキ属)が咲いています。


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アクイレギア・オットニスは地中海の東南部沿岸、ギリシャからアルバニア、マケドニアまで、間をあけてイタリア中・南部の山岳地帯の湿った日陰の石灰岩地に分布しています。

ギリシャ・ペロポネスのケルモス山(Mt.Chelmos:海抜2341m)に分布するものが基本種といわれています。
地域による差はありますが、背丈は15〜50cmで、萼片(花びら)は青紫で2cmどまり、距を構成する花弁は薄い青紫で、長さ1.5cmほどあります。
距はカーブし、その先は鈎状で、雄しべは花弁から飛び出しています。
茎と葉に分泌毛があります。

種小名オットニスはギリシャ王として1832年から1862年まで在位したオットー王に因みます。
アクイレギア・オットニスの亜種のアマリアエ(Aquilegia ottonis ssp amaliae)が絡むオットー王については・・・・・

続きを読む "オットー王のオダマキ 
Aquilegia ottonis"

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2014年6月 6日 (金)

腺毛のないアクイレギア・プベッスケンス 
Aquilegia pubescens

アクイレギア・プベッスケンス(Aquilegia pubescens:キンポウゲ科オダマキ属)が咲きました。


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アクイレギア・プベッセンスはカリフォルニア州のロッキー山脈南部、ロッキー山脈よりも高い海抜2700〜4000mのシェラネバダ(Sierra Nevada)山脈に分布しています。

背丈は30〜50cmで、花の大きさは径3cmまで、距の長さは4cmほどで、横向きに咲きます。
長い距はアクイレギア・クリサンタアクイレギア・コエルレアのようにまっすぐ伸び、優雅に外に開いています。

花色は黄色やクリーム色ですが、時には赤が混ざることもあります。
種小名のプベッスケンスはラテン語で「腺毛のある(正確には「性的に成熟した」)」という意味ですが、常に毛があるというわけではなく、下の方の茎は無毛のことがあります。
容易に育ち、秋に種子を蒔けば、花を見ることができますが、短命で、タネを稔らせると枯れてしまうようです。

花色が様々なので、カナリア・イエローを基本と考える人はアクイレギア・クリサンタに近縁と考え、
形や様々の花の色を出せるのはアクイレギア・フォルモサと自然交配しているからだと考える人もいます。
分布域がアクイレギア・フォルモサに重なり、特にピンクの距を持つプベッスケンスはフォルモサの群落の近くにはえているそうです。

現地では自生地からシェラ・オダマキ(Sierra Columbine)と呼ばれています。
また「コービルさんのオダマキ(Coville's Columbine)」と呼ばれることもありますが、コービル(Frederick Vernon Coville:1867–1937)さんとは、米国農林省(the United States Department of Agriculture)で主任植物学者として働き、後に国立樹木園(the United States National Arboretum)の最初の園長を務めた人です。この方がアクイレギア・プベッスケンスの命名者なのでコービルさんのオダマキと呼ばれています。

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2014年5月17日 (土)

オットー王のオダマキ 
Aquilegia ottonis

アクイレギア・オットニス(Aquilegia ottonis:キンポウゲ科オダマキ属)が咲きました。


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地中海の東南部沿岸、ギリシャからアルバニア、マケドニアまで、間をあけてイタリア中・南部に分布しています。
いずれの場所でも山岳地帯の湿った日陰の石灰岩地で観察されています。
地域による変異はありますが、ギリシャ・ペロポネスのケルモス山に分布するものが基本種といわれています。背丈は15〜50cmで、萼片は青紫で、約18mm、花弁は薄い青紫で長さ15mmほどあります。
距はカーブし、はっきりとした鈎状をしています。
雄しべは花弁から飛び出しており、茎と葉に分泌毛があります。

2種の亜種があり、一つはアマリアエ(Aquilegia ottonis ssp. amaliae)で、萼片の長さが15mmより短く、山地に分布し、バルカン半島南部やギリシャの亜高山帯の渓谷に自生しています。
雄しべは花弁より長くはありません。距はカーブしているが、鈎状ではありません。葉に分泌毛があります。

もう一つのタイゲテア(Aquilegia ottonis ssp. taygetea)は、山地や高地では希で、ギリシャ南部のタイゲトス(Taygetos)の湿った石灰岩地のガレ場で見つけることができるそうです。
雄しべは花弁より長くありません。茎と葉に分泌毛があります。

イタリアではアクイレギア・ディ・オット(Aquilegia di Re Otto)と呼ばれています。
種小名オットニスはギリシャ国王として1832年から1862年まで在位したオット(Otto:1815–1867)に因みます。

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2014年5月 2日 (金)

黄花のオダマキ 
Aquilegia flavescens

アクイレギア・フラベッセンス(Aquilegia flavescens:キンポウゲ科オダマキ属)が咲いています。


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これは上2枚より4日経った姿。雌しべが大きくなっています。


アクイレギア・フラベッセンスは、カナダのブリティッシュコロンビア州やアルバータ州からユタ州やワイオミング州までのロッキー山脈の海抜1300〜3500mの草原や明るい林間、斜面に分布する高山性のオダマキです。

背丈は20〜60cmで、基本色は黄色ですが、時にはアクイレギア・フォルモサ(Aquilegia formosa)との中間的な色合いの、ピンクに染まる距を持つの2色咲きが知られています。

アクイレギア・フラベッセンスとアクイレギア・フォルモサは分布地域が接近していますが、両者の垂直分布が異なり、アクイレギア・フラベッセンスの方が高山に生息するため、両者が自然交配することはないと言われています。

しかし共存するところでは、両者の中間的な性質を持つものがあるそうで、
アクイレギア・フラベッセンス・ミニアタ(Aquilegia flavescens ver. miniata )は赤く彩られた花色で ピンクの萼を持ちます。 カスター(Custer)郡のチャリス(Challis)川沿いに分布しています。
アクイレギア・フラベッセンス・ルビクンダ(Aquilegia flavescens ver. rubicunda は真っ赤な花を咲かせます。ユタ州のエメリー(Emery)郡などの州にはより小さい花をつける種類があるそうです。

花の色は、他にはラズベリーピンク、クリーム、白などの花色が見られます。
花の形もこのようなスマートなものから、ずんぐりしたものまで変異が見られます。

現地名はYellow Columbineです。
種小名フラベッセンスは「黄色がかった」という意味です。
ヤマオダマキ(Aquilegia buergeriana)にキバナノヤマオダマキという黄花種がありますが、Aquilegia buergeriana f.flavescence という学名で、品種名に同じ「黄色がかった」とついています。

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