2016年4月29日 (金)

小さなスミレ 
Viola adunca

ヴィオラ・アドゥンカ(Viola adunca:スミレ科スミレ属)が咲きました。


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ヴィオラ・アドゥンカはアラスカやロッキー山脈にかけて、またカナダと米国との国境あたりの海抜1500-2400mの高地の草原の湿った土手や草原の縁、林間に自生しています。

有茎種で、背丈が3〜8cmの小さなスミレです。この写真のものも花のてっぺんまで5cmありません。
長さ1〜3cmの葉は逆心(スペード)形で緩い鋸歯があります。
葉が小さいせいか厚みを感じます。表面にはツヤがあります。
この小さな葉は夏になってもあまり大きくなりません。

花は幅1.5〜2cmほどで、中心部は白く抜け、から、藤色、濃紫色の花色をしています。白い部分に毛が生えています。
基本種(Viola adunca v. adunca)は美しい青紫色です。
2枚の上弁が反り返り、前から押しつぶしたように咲きます。
距が赤紫色をしているものもあります。

1787年から1788年にかけて米国西海岸を探検したスコットランドの軍医で植物学者、博物学者のアーチボルド・メンジーズ(Archibald Menzies:1754-1842)さんによって採取された標本に、ロンドン・リンネ協会設立者のジェームズ・スミス(James Edward Smith:1759-1828)さんが1817年に、距の特徴から命名しました。

広い分布域を持つスミレなので変種、亜種が10種ほど報告されています。また変種、亜種が同定されるまでの間、10回を越える改名をされています。
hookedspur violet, early blue violet, sand violet, and western dog violet, Kirk's violet など多くの一般名で呼ばれています。

種小名はラテン語で「鉤(フック)のある」や「曲がった」という意味ですが、距に何らかの突起のあるものがあったり、少し上反しているものがあったりし、それを指しています。
一般的にはアメリカのスミレは距が短いので、長い距が目立つのでつけられたのであろうと思います。

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2016年4月23日 (土)

ピンクのアリアケスミレ 
Viola betonicifolia var. albescent

アリアケスミレ(有明菫、ビオラ・ベトニキフォリア・アルベスケント:Viola betonicifolia var. albescent:スミレ科スミレ属)の桃色花種が咲きました。


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アリアケスミレは普通はこんな色のスミレです。もっと薄いものもあります。


アリアケスミレについて、もう一度詳しく調べてみると、日本だけのスミレでないことがわかりました。

1817年に英国の植物学者スミス(James Edward Smith:1759 –1828)さんがオーストラリアのニューサウスウェールズ州で発見されたこのスミレの基準標本にビオラ・ベトニキフォリアと命名しました。
ビオラ・ベトニキフォリアは、西はパキスタンからインドを経て南アジア、日本を含む東アジア、南はオーストラリア東部とタスマニアにかけて分布しています。
これだけ広い分布域を持つ植物はいずれも多くの異学名がつけられていますが、ビオラ・ベトニキフォリアも8つほどの名前を持っています。

道路際や草原、1500mより低い山地の斜面、林際などの日陰の湿った場所に自生しています。

ビオラ・ベトニキフォリアは、無茎種のスミレで、根出葉から花茎を立てます。葉は長い葉柄につく先の丸い披針形で、鈍い鋸歯があります。
この葉の形が「ベトニカ・オフィキナリス(Betonica officinalis)に似た葉の」という種小名になっています。
ベトニカ・オフィキナリスとはスタキス・オフィキナリス(Stachys officinalis)の以前の学名です。
丸みのある披針形で、鈍く、緩い鋸歯の葉を持つ植物には、葉の質感、大小などに関係なく、リンネの命名に倣ってこの名がつけられるようです。

花は幅1〜1.5cm、明るい赤紫色で、中心部が白く抜けています。

ビオラ・ベトニキフォリアを調べて分かったのですが、多くが赤紫色、まれに薄紫の花色をしており、日本のアリアケスミレは珍しい色だと分かりました。
名前は花色が有明の空、つまり月の残る夜明けの空に因むといわれ、花の色に変異があるからといわれています。なるほど夜明けの空は、暁の空や真っ青、薄青の空になりますから、いろいろあるということですね。

アリアケスミレは多くはブルーの筋、あるいはかすれが入っています。
しかし基本種が赤紫とすれば、赤い筋やかすれが入っているほうが自然です。
ピンクのアリアケスミレに納得です。

日本スミレ研究会で配付していた種子からです。
リストには桃花と紅花がありましたが、育ててみると同じものでした。

変種名アルベスケントは「白っぽい」という意味です。

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2016年2月20日 (土)

濃色のサクラタチツボスミレ 
Viola grypoceras f. rosipetala

タチツボスミレの色変わりで、サクラタチツボスミレ(Viola grypoceras f. rosipetala)が咲きました。


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タチツボスミレは人家近くの人目に触れる所に咲いている有茎種のスミレです。
日本では礼文島以南から沖縄本島まで分布し、台湾や韓国の島にも分布していると言われています。中国中部でにも分布していると報告されているようです。
それだけ広く分布していると、環境の違いによる変異も出ようというものです。

さてサクラタチツボスミレの葉は普通のタチツボスミレと同じで、ハート型です。
この時期寒さで紫色を帯びています。

この株は桜色というより、赤色といった方がいいほど濃い色をしています。普通はもっと薄い色をしています。
タチツボスミレ同様、花は中輪から大輪で、側弁には毛が生えていません。
しかしタチツボスミレは距に紫色を帯びますが、この花の距は白い色をしています。

タチツボスミレと色が違うというだけで印象の違いは明らかです。全く違う種類のスミレのように思えます。
タチツボスミレの藤色より春を感じさせます。

なお、いがりまさしさんの「増補改訂日本のスミレ」にはこのスミレは名前すらありませんが、橋本保著「日本のすみれ」(誠文堂新光社・昭和42年発行)や鈴木進著「原色スミレ」(家の光協会昭和55年発行)には記載があります。
最近では顧みられないスミレでしょうか。

種小名のグリポケラスは「曲がった角(つの)」という意味です。
品種名のロシペタラは「バラ色の花弁の」という意味です。

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2015年11月 9日 (月)

シベリアのシロスミレ 
Viola patrinii

昨年2月にシロスミレ(白菫:Viola patrinii Ex. Siberia:スミレ科スミレ属)のタネを播いて、その芽がいつ出たのかわからないのですが、その初花が今頃1輪だけ咲きました。


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シロスミレは、日本では標高1000m以上、東北地方では太平洋側の山地、北海道では太平洋側平地に分布しています。愛知県以北の本州では標高1000m以上の高地の湿原や湿った原野に生えています。
シベリアや東アジア(サハリン、南千島を含む)では海抜200〜1700mの川沿いの湿地や薮、林縁の湿った日陰の土地に自生しています。
この個体はシベリアで採取された種子由来のものです。

茎の高さは10~20cmで、地上茎を出しません。
春に花茎を伸ばし、直径2cmほどの白色の花をつけます。
葉は垂直に立ち上がり、花より高い位置まで伸びていきます。伸びるのは花柄で、葉身より長くなります。似た白い花をつけるスミレに比べて葉数も少ないようです。
淡緑色の葉は無毛で、長さ4~7㎝の丸みのある細長い披針形またはへら形で、葉柄には翼があります。

唇弁や側弁に紫色のすじがあり、側弁基部に毛が生えています。距は白緑色で、短く、長さは2ミリほどです。
上弁は後ろに反り返ります。

種小名のパトラニイは、フランスの鉱山学者で博物学者のユーゲヌ・パトラン(Eugène Louis Melchior Patrin:1742-1814)さんに因みます。パトランさんは1780年から8年を費やしてウラル川やアルタイ山脈などを探検し、シベリアの植物を採集しました。
日本でもおなじみのオミナエシ(Patrinia scabiosifolia)の属名にその名を残しています。

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2015年5月28日 (木)

のっぽのスミレ  
Viola elatior

ビオラ・エラチオル(Viola elatior:スミレ科スミレ属)が咲いています。


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ヨーロッパ中部から西アジアにかけての湿原、湿った森、川や沼のほとりに自生しています。

花は遅咲きで、晩春から初夏にかけて、べったりと平たい花が上向きに咲きます。
空色の花の中心部は白い色で、側弁には雌しべが隠れてしまって見えないほど毛が密集します。
よく見ると柱頭部分にも毛が生えています。

距は太く短く、縦に筋が入っています。途中で折れているのではないかと思えるようなシワもあります。
花にはかすかに香りがするようです。

基部の葉は鋸歯のある心形ですが、上部の葉は長い披針形で、上に向かって開きます。
立ち上がっていくスミレですが、日本産のタチスミレ(Viola raddeana)ほど背丈はありません。
立ち上がる根性はそれほどないようで、花の後は他の植物に寄りかかります。

湿り気のある用土がお気に入りのようです。

種子で増えますが、滅多に発芽しません。
暖地では花がつきにくいかもしれません。

英名はtall violet です。
Viola erecta, Viola montanaという異学名があります。
種小名エラチオルは高いというラテン語elatusの比較級で、「より高い」という意味です。

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2015年4月27日 (月)

桃の葉スミレ 
Viola persicifolia

ヴィオラ・ペルシシフォリア( Viola persicifolia:スミレ科スミレ属)が咲いています。


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ビオラ・ペルシシフォリアは英国、アイルランドを含む北部ヨーロッパ、中央ヨーロッパ、北アジアの普段は牧草地のだが、冬に沼沢地になるような石灰岩地に分布しています。
寿命の短い宿根性スミレで、沼地の土壌の中で地下茎を延ばして増えていきます。

幅10〜15mmの中輪の、花弁周辺が淡い青紫色の花をつけます。
上弁二枚が後ろに反り返る傾向があり、唇弁に紫の筋が入ります。側弁の基部には毛が生えています。
短い距は緑がかった白色で、縦に分かれ目が入っています。

種小名のペルシシフォリアは「桃の葉の」という意味で、葉は楕円形か披針形です。花に時期には展開せず、巻いており、形がつかめません。

沼地で見られるということで英名は fen viola (沼スミレ)です。

なお persici は「ペルシャの」という意味、folia は「葉の」という意味ですが、「ペルシャの葉の」という意味ではなく、桃の学名「 Prunus persica」の葉を指しています。

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2015年4月16日 (木)

イタリアのシロスミレ 
Viola alba ssp. alba

ビオラ・アルバ(Viola alba ssp. alba:スミレ科スミレ属)が咲いています。


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葉の下に隠れていた果実を引っ張り出してみました。


ビオラ・アルバは白い花を咲かせるスミレですが、すみれ色をしている亜種もあります。
また亜種のビオラ・アルバ・スコトフィラ(Viola alba subsp. scotophylla)は距がピンクの、いわゆるおとめ咲き種です。
ビオラ・アルバは地中海を中心とした南ヨーロッパや北アフリカ、西アジアの広範囲な地域の森林地帯に分布しています。その中でビオラ・アルバ・アルバ(Viola alba ssp. alba)はイタリアを中心に南西ヨーロッパに分布しています。

花期の背丈は5〜10cmのスミレで、真冬でも地上部は枯れずに葉をつけています。
幅2〜3cm葉は心形をし、やや艶のある濃い緑で、裏には毛が生えています。

花は純白で、側弁の基部に毛が生えています。
距は太くて短いのですが、その先は鈎形をしています。これがこの種の特徴のようです。

果実は毛の生えた球形で、多くのスミレ属のように上向き伸ばしていくのではなく、葉の下で、下向きに稔ります。アオイスミレによく似た特徴です。
アオイスミレはニオイスミレ(Viola odorata)と近縁と言われていますが、ビオラ・アルバもニオイスミレと近縁なんでしょうか。

英名はwhite violet、parma violetなどです。
種小名、亜種名は「白い」という意味です。

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2015年4月14日 (火)

白いナガハシスミレ  
Viola rostrata f. albiflora

白い花を咲かせるナガハシスミレ、シラユキナガハシスミレ(白雪長嘴菫:Viola rostrata f. albiflora:スミレ科スミレ属)が咲いています。


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ナガハシスミレは北海道から日本海側を通って鳥取県に下ったあたり、多雪地帯の低い山の林間に自生するスミレです。
ナガハシスミレは冬になっても根生葉が雪の中で枯れずに冬を越すものもあると言われています。

距が目立って長く、天狗の鼻に因んで、テングスミレと呼ばれています。
側弁は無毛です。
下弁には濃い灰色っぽい色で筋が入っています。緩いコントラストが気に入っています。
心形の葉は無毛で光沢があります。

北米東部の山地、カナダ・オンタリオ州ケベック州からアラバマ州やジョージア州の北部にも分布しており、米国のものが基本種で、日本には隔離分布していると考えられています。
現地の名はlong-spurred violet(距長すみれ)です。
種小名のロストラタは「くちばし状の」という意味です。

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2015年4月13日 (月)

アメリカのキスミレ 
Viola pubescens

ビオラ・プベッセンス(Viola pubescens ver. pubescens:スミレ科スミレ属)が咲いています。


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ビオラ・プベッセンスは米国南西部(東はワシントンDCから西はワイオミング州、北はカナダ・オンタリオ州から南はテキサス州の範囲)の林間や林縁、草原に自生するスミレです。
気候的には夏は暑く、冬は非常に寒い、乾燥地ではない地域に自生しています。
広い範囲に自生しているのでいくつかの亜種が知られています。

葉は心形の大きな葉で、背丈も20cm以上になります。
花は黄色で、側弁に毛が生えています。
上弁は後ろに反り返るので、平たく見えます。
距は短く、よく探さないと無いように見えます。
3月から5月ころまで長期にわたって花をつけます。

現地ではdowny yellow violet(綿毛に覆われたキスミレ)です。
種小名プベッセンスは「性腺の」や「有毛の」という意味です。個体によって毛が生えていたりなかったりするのですが、夏に熟す果実は白い毛で覆われているので、この特徴を指しているのでしょう。

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2015年4月 8日 (水)

サキガケスミレだった  
Viola prionantha

ビオラ・プリオナンタ(Viola prionantha:スミレ科スミレ属)が咲いています。


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サキガケスミレという和名があります。
Plant World Seed社から購入した種子から咲いたのですが、種子を購入した際には、単に中国のすみれという認識で、サキガケスミレとは思いもよりませんでした。。
ビオラ・プリオナンタは、一部はロシア、内モンゴルを含む中国中部から南部地方にかけての広い範囲、朝鮮半島に分布します。
海抜2800m以下の草原の斜面や小川のほとり、人家の近くで見かけるそうです。

中型の花は藤色をしています。距は細長く、頼りない感じです。
側弁には毛はありません。
株全体に微毛があります。

異学名は Viola taishanensis.Viola prionantha var. sylvatica. V. prionantha var. trichantha
種小名は「最初の(prion)」と「花の(antha)」で、春真っ先に咲くことを指しています。

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