2015年9月19日 (土)

花筏の実  
Helwingia japonica

苗名滝までの山道でハナイカダ (花筏:Helwingia japonica:ミズキ科ハナイカダ属)が実をつけていました。


Helwingiajaponica1


Helwingiajaponica2


ハナイカダ属は東アジアやヒマラヤに3種、日本に1種が分布しています。全て落葉低木で、雌雄異株です。
花序の柄が葉脈の真ん中の中肋に合生していて、雄花は数花、束になり、雌花は1花で咲きます。

ハナイカダは北海道以南の山地の林内や沢筋に自生する落葉低木で、日本以外にも中国に分布しています。
高さ1〜3mの落葉性低木で、若い枝は緑色で滑らかです。
葉は互生し、楕円形で長さ5〜15cm、先の尖る広楕円形で、低い鋸歯があります。

雌雄異株で、雌花、雄花共に淡緑色で、径4~5mm、花弁は3〜4枚あります。
雌花の花柱は3~4裂し、雄しべはありません。雄花の雄しべは3~4個、雌しべは退化して、ありません。
葉の表面の主脈の中央付近に、雌花1から3花、多くは1花ですが、雄花は数個が集まって咲きます。
花柄が葉に合着したためか、葉柄から花までの葉脈は太くなっています。この特徴で、花や実がなくてもハナイカダだと同定できます。

果実は7~10mmの球形で、熟して黒くなります。

和名は、葉を筏、花や実をそれに乗っている人に見立ててつけられたといわれています。
属名ヘルヴィンギアはプロイセン(ドイツ)の植物学者でルーテル教会の牧師だったヘルヴィンク(Georg Andreas Helwing:1666-1748)さんに因みます。
種小名ヤポニカは「日本のという意味です。

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2015年9月 4日 (金)

小さいからスズメウリ  
Zehneria japonica

昨日のブログと同じ白山・白川郷ホワイトロード(白山スーパー林道)の途中の展望台駐車場の付近でスズメウリ(雀瓜:Zehneria japonica:ウリ科スズメウリ属)を見つけました。


Zehneriajaponica1


Zehneriajaponica2


Zehneriajaponica3


スズメウリ属はアフリカから、東南アジアを経てオーストラリアに分布しています。巻きひげを持つ一年生または多年生のつる植物で、約35種が知られています。

スズメウリ属の学名は以前はネオアクマンダラ(Neoachmandra)でした。一時ネオアクマンダラから分かれたメロテェリア(Melothria)と呼ばれたことがありましたが、メロテェリアはアメリカ大陸に分布する種に限られるようになり、東南アジアの種はツェナーリア(Zehneria)に含められています。
なお最初にNeoachmandra japonicaと命名したのは、長崎出島商館付の医師として江戸時代の日本の植物を精力的に採取したスエーデン人のツンベルク(Carl Peter Thunberg)さんで、1784年のことです。

スズメウリは本州から九州にかけて、また済州島や東アジア、東南アジアにも分布し、海抜500〜1600mの山地の湿った林縁や原野、水辺などに自生しています。
葉は巻きひげと対生し、長さ3~6cm、幅4~8cmの薄くぺらぺらの三角状卵心形で、浅く3裂していることが多いようです。脈に沿って毛がありますが、他は無毛です。

雌雄同株で花は8月〜9月に雌雄花ともに葉腋に短い花柄に一花をつけます。枝先では雄花が総状花序につくこともあるようです。

白い花は径6〜7mmの合弁花で、離弁花かと思うほど深く5裂しています。
雄花には3本の雄しべがあり、雌花は短い雌しべがあり、先が2裂します。また雌花は子房が膨らんでおり、すぐに雌花とわかります。

果実は直径1~2cmの卵形で、初めは緑色で熟すと灰白色に変わっていきます。

和名は果実がスズメの卵によく似ていることからつけられたとか、カラスウリより小さいからつけられたと言われています。
属名ツェナーリアは、植物画家(どちらかというと挿絵画家、イラストレーター)のジョセフ・ツェナー(Joseph Zehner:生没年不明)さんに因んでいます。
ツェナーさんについての資料が見つからないので推測ですが、ドイツで発掘された化石を描いた彼の絵がウイーンの自然歴史博物館にあるということなので19世紀のドイツ系の人物だと思われます。
種小名ヤポニカは「日本の」という意味で、東アジア、東南アジアにも分布しているにもかかわらず「日本の」とついているのは、ツンベルクさんが日本で最初に発見したからです。

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2015年6月 1日 (月)

象の鼻のような花 
Pyrola japonica

山のハイキングコースの脇にイチヤクソウ(一薬草:Pyrola japonica:ツツジ科イチヤクソウ属)が咲いていました。


Pyrolajaponica1


Pyrolajaponica2


Pyrolajaponica3


Pyrolajaponica4


イチヤクソウ属は、かつてはイチヤクソウ科という科が立てられ、そこに分類されていましたが、新しいAPG植物分類体系では全てツツジ科に含められています。
イチヤクソウ属は北半球の温帯に20〜30種が知られ、日本には7種が自生しています。
全て常緑多年草で、細い地下茎をはわせ、その先に数枚の根生葉を生じます。花は総状花序につき、花弁は5枚で雄しべは10本、花柱はまっすぐか、湾曲します。

イチヤクソウは日本では北海道、本州、四国、九州に分布し、低山の樹影に生育しています。世界では朝鮮、中国東北部に分布しています。
花茎に3〜10個の白い花をつけます。花冠は広鐘形で、深く5裂し、下向きに半開きします。
花柱は細長く、象の鼻のように、先の方で湾曲し、先(柱頭)は小さく5裂します。

地下茎の先から数枚の2.5〜5cmの葉柄を持つ葉を出します。
葉は艶のある、長さ6cmほどのやや広楕円形をしており、細かな鋸歯があります。裏は紫色を帯びることがあります。
初めはもっと珍しいマルバイチヤクソウ(Pyrola nephrophylla )ではないかと思ったのですが、楕円形に近い葉なのでイチヤクソウとしました。

イチヤクソウの仲間は内生菌根をもつ菌根植物なので、根菌がいる生育地の土壌でなければ育たないと言われています。
奈良県や京都府では準絶滅危惧種に指定されています。

イチヤクソウという名は民間薬として絞り汁を虫刺され、全草を煎じて脚気の薬としたことから名付けられたようです。
属名ピロラはpyrus(西洋梨の木、西洋梨の木の古典名)の縮小形で、葉が似ているからつけられたということです。

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2012年9月27日 (木)

今年のオニフスベは違う 
Lanopila nipponica

公園でオニフスベ(鬼燻、鬼瘤:Lanopila nipponica:ホコリタケ科オニフスベ属)を見つけました。


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この時期に、一夜にして林の中に白い子実体がテニスボールから、時にはバレーボールほどに成長するそうです。

写真上と中は違う角度から写したものでテニスボールほどの大きさでした。
また下の写真は違う個体です。球体をしていないので、蹴られて粉砕しかけているのかと思って触ってみましたら、しっかりと根を下ろしていました。
このような丸くない形のオニフスベは今年初めて見ました。雨が少なかったからかと思ったりしていますが、腐る寸前なのかもしれません。

質感は発泡スチロールのようですが、発泡スチロールのように軽くなく、何かが詰まっているようにずっしり重い感じです。また発泡スチロールは暖かいですが、オニフスベはひやっとしています。

薄暗い薮の中で見つけることが出来るのでヤブダマ(薮玉)とも呼ばれています。


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2012年9月19日 (水)

雑草のなかのキンミズヒキ 
Agrimonia pilosa var. japonica

キンミズヒキ(アグリモニア・ピロサ・ヤポニカ:Agrimonia pilosa var. japonica:バラ科キンミズヒキ属)が雑草に混じって空き地に咲いていました。


Agrimoniapilosa3


Agrimoniapilosa4


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キンミズヒキ属は温帯北部に15種ほどが知られています。バラ科の中で萼筒に鈎状の棘があるという特徴を持ちます。

基本種のアグリモニア・ピロサは東アジアに広く分布し、キンミズヒキはその日本地域変種ということになります。

キンミズヒキは日本の山野に普通に見られる植物ですからどこに咲いていても不思議ではないのですが、町の中の空き地に雑草と混じって咲いているのは、珍しいことなんでしょうね。
この近所は町の中とはいえ、結構珍しい植物が生えているので、野生のものかもしれません。

夏頃に花の直径が6~10mmの黄色い花を咲かせます。
萼が筒のようになっていて、萼筒の先にはカギ状の棘が多数ついています。
果実が稔ると棘が伸び、ひっつき虫になります。

属名アグリモニアは、古代ローマの医者ペダニウス・ディオスコリデス(Pedanius Dioscorides:40頃-90)が棘が多いケシ科植物アザミゲシ属(Argemone)に似ているので、「Argemoneに似た」と命名した際、綴りを間違えたといわれています。大学者が後世まで恥を曝すことになってしまいました。
種小名ピロサは「軟毛のある」という意味で、株全体に微毛が生えています。

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2012年9月17日 (月)

美しい白いタデ 
Persicaria japonica

シロバナサクラタデ(Persicaria japonica:タデ科イヌタデ属)が咲いていました。


Persicariajaponica1


Persicariajaponica3


Persicariajaponica2


シロバナサクラタデは日本全国の湿地に生える多年草で、日本以外には朝鮮半島や中国にも分布しています。

根茎を横に伸ばして広がり、直立する茎には帯紅色の節があります。
茎の先に1~5本の穂状花序を出し、径3mmほどの半開する白色の花を多数つけ、穂は垂れます。
雄しべが長く雌しべが短い花と、その逆のものがあり、雌雄異株です。
葉は披針形で互生します。

花はサクラタデ(Persicaria conspicua)ほど大きくはありませんが、楚々とした佳さがあります。

属名のペルシカリアは、葉が桃(Amygdalus persica)に似ているのでつけられました。
広義のタデ属(Polygonum:多くの(Poly)ひざ(Gonu)がある)に含まれ、そのとらえ方では Polygonum japonicum という学名で記されます。

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2012年8月20日 (月)

山のゲウム 
Geum japonicum

山にダイコンソウ(大根草:Geum japonicum:バラ科ダイコンソウ属)が咲いていました。


Geumjaponicum4


Geumjaponicum6


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ダイコンソウ属は北半球の温帯から亜寒帯にかけて50種ほどが知られており、その内5種が日本に分布しています。

ダイコンソウは日本以外に中国にも分布し、山地の雑木林や山道の縁などで見ることが出来る多年草です。

根出葉は羽状複葉で、その様子が大根に似るので、この和名がつけられています。
株全体に柔らかな毛が密生しています。

花は夏に、高さ50cmを越す茎を立て、枝分かれした先に直径1~2cmの黄色い花を数輪つけます。
花の中心には多数の柱頭があって、花柱の先がS字状に曲がっています。熟した頃に先端が落ちて鉤形になり、服や動物の毛にくっつくようになります。種子が熟すまではひっつき虫にならないようになっているそうです。

本属を含め、バラ科のキジムシロ属、オランダイチゴ属などの花には、萼の外側にもう一対の萼がありますが、この萼状の構造を副萼片と呼びます。
ダイコンソウの副萼は細く、短いので目立ちませんが、真ん中の写真には、よく見ると写っています。

属名ゲウムはgeuo(美味な)というギリシャ語に由来し、ローマ帝国時代の博物学者プリニウス(Gaius Plinius Secundus)が本属のある種類につけたと言われています。
種小名ヤポニカは「日本の」という意味です。

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2012年6月 3日 (日)

日本のマンネングサ 
Sedum japonicum

散歩の途中、メノマンネングサ(雌の万年草:セダム・ヤポニクム:Sedum japonicum:ベンケイソウ科マンネングサ属)が咲いていました。


Sedumjaponica1


Sedumjaponica2


Sedumjaponica3


メノマンネングサは全国の海岸から山麓の道路脇、岩場、石垣などに生える多年草です。茎は暗紫色で短く這い、茎からヒゲ根を出し、岩の上のコケのような根床で育ちます。
よく分枝して先で立ち上がり、背丈は10cmほどです。

葉は花が咲くまでは茎の先にびっしりつけていますが、茎が伸びてくるにしたがってやや平たい円柱形で互生していることが分かります。

この写真をとった周辺では大事にされているのか、メノマンネングサがアスファルトの割れ目などから沢山生えています。場所によっては地表を覆ってしまって地面の様子が分からなくなっているところがあります。

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2011年4月28日 (木)

チャーミングな椿 
Camellia japonica 'Gakkou'

ご近所に椿「月光」(Camellia japonica 'Gakkou':ツバキ科ツバキ属)が咲いていました。

濃紅色の一重で唐子咲きの品種です。唐子咲きは雄しべや葯が花びらのような形に変異した咲き方で、他の花であればアネモネ咲き(クリスマスローズ)とか丁字咲き(クリスマスローズやキク科)と呼ぶ咲き方です。
唐子とは中国の幼児のことで、頭のてっぺんだけ毛を残して他はそり上げる髪型からきているのだろうと思います。

月光の読みは「げっこう」ではなく、月光菩薩からきているので「がっこう」と読みます。
月光という名は関西での呼び名のようで、他所では「ト伴(ぼくはん)」と呼ばれています。

月光は2000種を越えるほどある椿の園芸種の中で、すぐに見つかるほど有名で、江戸時代から知られる古典銘花だそうです。


Camelliagakkou1


Camelliagakkou2


Camelliagakkou3


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2011年4月 6日 (水)

山の一人静 
Chloranthus japonicus

ハイキングコースにヒトリシズカ(一人静:Chloranthus japonicus:センリョウ科センリョウ属)が咲いていました。
黒っぽい色の葉に守られるように白い花が咲いています。それを義経を偲びつつ頼朝の前で舞う静御前を思い浮かべて一人静とつけられたといわれています。

ブラシのような白い花は雄しべで、下の写真の説明のように、花弁も萼もありません。
地下茎から出てくるので、必ずその周辺にかたまって見つけることができます。

対生した2組の葉の節間が詰まっているので、4枚の葉は輪状についているように見えます。


Chloranthusjaponicus8


Chloranthusjaponicus11


白い細長いものが花糸(雄しべ)で3本一組になって根本の徳利状の子房についています。花糸の付け根にある黄色い楕円形のものが葯で、花糸3本のうち外側の2本にしか葯はついていません。葯のついていない真ん中の花糸を葯隔といい、2本の葯を隔てています。
雄しべが3本あるものはクロランツス(チャラン)属(Chloranthus)とし、1本のものをサルカンドラ(センリョウ)属(Sarcandra)とする意見もあります。

Chloranthusjaponicus10

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