2017年4月29日 (土)

愛らしいムスカリ 
Muscari pulchellum ver. pulchellum

ムスカリ・プルケルム(Muscari pulchellum ssp. pulchellum:ユリ科ムスカリ属)が咲きました。


Mpulchellum1


Mpulchellum2


Mpulchellum3


Mpulchellum4


Mpulchellum6

ボツリアンツス亜属のムスカリですが、「愛らしい」という種小名通りの比較的サイズの小さい種類です。
ムスカリ・ネグレクツム(Muscari neglectum)の矮性変種、あるいは近縁種と見なされています。

ペロポネソス半島や対岸のギリシャ側南東部、ポロス島やクレタ島などのエーゲ海の島々などの海抜100〜1200m山地に分布しています。
石灰岩の瓦礫地の斜面やギリシャモミの林間に自生しています。

葉は球根の中心から出るのではなく、いびつなところから3〜5枚出てきます。
葉は線形で、10〜20cmの長さです。ムスカリ・アルメニアクム(Muscari armeniacum)のように渦を巻くように地面に沿って広がっています。
花茎は15cmほどで、下部の稔性花は黒のような暗青色をしています。
1番上の写真では、背丈が小さいのに花序が長そうに見えるのは、花自体が小さいからで、花の長さは5mmほどです。
上部の不稔花は淡青色をしていますが、5輪ほどしかなく、ない個体もあるようです。

面白いのは蕾の時に花序のてっぺんが色づくことです。
てっぺんに紺の色がついてから、下の方の蕾に同じ色がつき、下から順に花が開いていきますます。
その様子が一番下の写真ですが、紺、深緑、紺という色合いは、和風で、粋な組み合わせです。
そしててっぺんの紺がだんだんと膨らむにつれ空色になっていきます。
その頃には下の花が黒色に変わっていき、開口部に沿って白い縞がつきます。

この植物はフォン・ヘルドライヒ(Theodor Heinrich von Held Reich:1822-1902)さんとギオバンニ・サルトーレリ(Giovanni Battista Sartorelli:1780-1853)さんによって 1859年に公表されています。
フォン・ヘルドライヒさんはレオポルディア・テヌイフロラ(Leopoldia tenuiflora)を公表したドイツ生まれの植物学者で、アテネ植物園園長の、学名にHeldr.と記されます。
サルトーレリさんは学名にSart.と記されるイタリア人の植物学者で、イタリア北西部の森林の花を調査しました。

これ以外の亜種としてはムスカリ・プルケルム・クレプシドロイデス(Muscari pulchellum ssp. clepsydroides)が知られています。基本種に比べるとずっと遅く、キューガーデンのKarlén, T.によって1984年に公表されています。
ムスカリ・プルケルム・クレプシドロイデスは、エーゲ海中部・キクラデス諸島のナクソス島に分布し、基本種ほど色が濃くないようです。
変種名クレプシドロイデスは「水時計(clepsydra)のような(oides)」という意味ですが、どの特徴を指しているか分かりません。

異学名はBotryanthus lelievrii var. pulchellus,Botryanthus pulchellus,Muscari racemosum subsp. pulchellum,
Muscari racemosum var. pulchellumなどで、似ても似つかぬムスカリ・ラケモスム(Muscari racemosum)の変種や亜種と考えられていたのは、ムスカリ属への混乱があったからでしょう。

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2017年4月24日 (月)

ダルマチアのヒアシンス 
Hyacinthella dalmatica

ヒアキンテラ・ダルマチカ(Hyacinthella dalmatica:ユリ科ヒアキンテラ属)が咲いています。


Hyacinthelladalmatica1


Hyacinthelladalmatica3


Hyacinthelladalmatica4


Hyacinthelladalmatica5


ヒアキンテラ属はトルコを中心にヨーロッパからアジアに約18種が分布しています。
ムスカリに近縁の球根植物で、過去にはヒアキンツス属(Hyacinthus)に分類されていたことがあります。
夏に高温の時期を要し、乾燥した丘陵の瓦礫地に自生します。
球根にはしばしば粒状の結晶(粉)を吹きます。
葉は2〜3枚出現し、花は淡青色から濃紫色の口の開いた鐘型で、短い花梗があります。
ムスカリ属は花の先端が萎んでいること、またスキラ属の花被が分離していること、ヒアキンツス属とは花被先端が細く反り返らないことで区別されます。

ヒアキンテラ・ダルマチカはバルカン半島北西部に自生していといわれていますが、実際はヨーロッパ南東部の地中海沿岸に分布しているようです。

球根園芸で著名な英国のブライアン・マシュウ(Brian Mathew:1936–)さんの古い著書「小さな球根(The Smaller Bulbs, 1988)」には、ヒアキンテラ・ダルマチカはヒアキンテラ・パレンス(Hyacinthella pallens)の異学名とあり、球根専門園芸家がヒアキンテラ・パレンスをヒアキンテラ・ダルマチカという名で流通させていると書かれています。

ところが今日では、the Plant Listにはヒアキンテラ・パレンスはヒアキンテラ・リューコファエア (Hyacinthella leucophaea)の異学名となっています。

このような事情から推測するに、ヒアキンテラ・ダルマチカには地方変異があり、以前より混乱が生じていたと思われます。

さてヒアキンテラ・ダルマチカの花は初春に花序を出しますが、我が家のダルマチカは今ごろ咲き出しました。
花序を伸ばして、最終的には背丈は10〜20cmになります。
花柄は上に向けてつき、花もやや上向きから横向きに開きます。

花は長さ1cm近くもあり、ムスカリなどに比べると大きく、細い鐘型をしています。
花披は先で浅く6裂し、裂片は反り返ります。
雌しべ1本、雄しべ6本で、花から出ることはありません。
花色は透明な印象の薄青色から明るい青紫色をしています。

幅のある披針形の葉は花序を抱えるように、2〜3枚が根出します。

属名はギリシャ神話のアポロに愛されたスパルタの王子ヒアキントスに由来します。
種小名ダルマチアはクロアチア共和国の南部に当たる地域、アドリア海沿岸地域一帯を指す歴史的名称に因みます。

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2017年4月21日 (金)

黄色のムスカリ2種 
Leopoldia Tenuiflora & Muscari macrocarpum

よく似た花のレオポルディア・テヌイフロラ(Leopoldia tenuiflora:ユリ科レオポルディア属)とムスカリ・マクロカルプム(Muscari macrocarpum:ユリ科ムスカリ属)が咲きました。

レオポルディア属とムスカリ・マクロカルプムはよく似ていますが、どう違うのか比較してみました。

レオポルディア属はムスカリに近縁で、以前はムスカリ属の下位属としてレオポルディア亜属に含まれていました。だから似ているのは当然です。

レオポルディア属は西はカナリア諸島から東はイランまで、地中海沿岸や近接する諸島部に広く分布しています。
ムスカリミア亜属はレオポルディア属に比べると分布範囲が狭く、エーゲ海からトルコにかけての地域の岩場に自生しています。

レオポルディア属は、花序の下部に咲く稔性花は花筒が長く、褐色から黄色、時には白色をしています。
不稔花は青や藤色時にはピンクをしています。

ムスカリミア亜属は、レオポルディア属と同様、花序下部の稔性花は花筒が長く、褐色から黄色、白色の花をつけます。上部の小さくて無花柄の不稔花は紫紅色をしています。
色的にはよく似ています。

しかし花筒の先をみると、レオポルディア属は6個の膨らむ黒っぽい副花冠(ワスレナグサの花弁にある突起のような付属物)をつけます。
ムスカリミア亜属は花筒の先には副花冠がなく、口を萎めています。

根については両方とも大きな球根で、レオポルディア属は地上部が枯れると根も枯れますが、ムスカリミア亜属は、根は多年性で、太く長い根(紡錘根)は、地上部がなくなっても枯れません。したがって夏も灌水は欠かせません。

一見よく似ていますが、レオポルディア属は花の先が萎んでいないのでムスカリ属から外され、ムスカリミア亜属は花の先を萎ませているのでムスカリ属に留められたのでしょう。


Leopoldiatenuiflora1


Leopoldiatenuiflora4


Leopoldiatenuiflora2


Leopoldiatenuiflora3


さてレオポルディア・テヌイフロラはドイツやイタリアから東にウクライナ、イラン、サウジアラビアまで分布しています。
チェコの植物学者イグナツ・フリードリッヒ・タウシュ(Ignaz Friedrich Tausch:1785-1848)さんが発見し、1878年にドイツ生まれの植物学者で、ギリシャでアテネ植物園の園長をしたテオドール・フォン・ヘルドライヒ(Theodor Heinrich von Heldreich:1822-1902)さんが命名しました。

背丈は20〜50cmになり、長さ10〜25mmの細い筒状花を、晩春から初夏にかけて咲きます。
下部の稔性花は緑がかった黄色で、上部の不稔花は花柄がなく紫色をしています。
花の先は少しすぼんでおり、他のムスカリと同じ感じです。

葉は2〜4枚で、長披針形をしています。

葉の間から花序が出てきたときは先のとんがった円錐形をしています。

英名は細花グレープヒヤシンス(narrow-flowered grape hyacinth)です。
種小名は「細い、薄い、肉のない(tenuis)花の(florum)」という意味で、英名のように細い花の形状を指しています。
長いというほどではないのですが、ムスカリの仲間の中では長い花筒を持っています。


Mmacrocarpum8


Mmacrocarpum10


Mmacrocarpum9


ムスカリ・マクロカルプムは、やはりレオポルディア・テヌイフロラに比べると狭い範囲、クレタ島東部を含むエーゲ海の諸島、トルコ北西部などの岩場に自生しています。

ムスカリ・マクロカルプムは以前はムスカリ・モスカツム・フラブム(M. moschatum var. flavum)という名で知られていました。基本種のムスカリ・モスカツムは成長が遅いかったので流通することはなかったようです。
ムスカリ・モスカツムは花色が始めは紫、後にクリーム色になるムスカリです。

その変種のムスカリ・モスカツム・フラブムは開花すると全てが黄色い花を咲かせますが、後にムスカリ・モスカツムの変種ではなく、独立した種としてムスカリ・マクロカルプムと分類されたのです。

ムスカリ・マクロカルプムは花茎が立って、蕾が総状花序につく頃は白みがかった青紫色をしており、このような色の花が咲くのかと思わせます。
蕾の花筒の先には6個の膨らみ(副花冠)があります。

花筒の先の中心部が開く前には黄味を帯びてきますが、全体が黄色くなる前から、副花冠を含む先の方が茶褐色に色づいてきます。
花筒の先の中心部が開くと(多分開花と言っていいと思います)、全体が黄色くなります。
さらに咲き進むと茶色い斑点が出だし、全部が茶色くなって枯れてしまいます。
バナナのような香りが花にあります。

葉は4〜6枚で、長さ10〜20cmの青緑色の幅1cmほどの細長披針形で、湾曲します。

冷涼な気候ではなかなか成長しにくいようです。しかしムスカリ・マクロカルプムが発見され、容易に育てることができるようになって1948年に王立園芸協会(RHS)のAward of Garden Meritを受けています。
2003年頃から米国で園芸種として流通するようになり、知られるようになりました。

英名は黄花グレープヒヤシンス(Yellow Grape Hyacinth)です。
種小名マクロカルプムはギリシャ語由来で、「大きな(macro)果実の(carpus)」という意味で、大きなタネが稔ることを指しています。

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2017年4月10日 (月)

チャールース地方のムスカリ
Pseudomuscari chalusicum

プセウドムスカリ・チャールシクム(Pseudomuscari chalusicum:ユリ科ムスカリ属)が咲きました。


Pseudomuscarichalusicum1


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Mazureum10


これはプセウドムスカリ・アズレウム( Pseudomuscari azureum)

ムスカリの仲間は花色が青色〜黒青色系のボツリアンツス亜属、プセウドムスカリ亜属と、黄色〜褐色系のムスカリ亜属、レオポルディア亜属の4種の亜属に分けられています。

ボツリアンツス亜属は一般にグレープヒヤシンスと呼ばれ、薄いブルーから黒青色の開口部がすぼんだ壺型の花をつけ、不稔花は薄い花色で、花序上部に少数着きます。不稔花を持たないものもあります。初春に咲き出します。

プセウドムスカリ亜属は稔性花は淡青色で、開口部が開き、花披に青い筋が入ります。不稔花をつけます。

ムスカリ亜属(Muscarimia)は稔性花は黄色からクリーム色で、不稔花は小さく、紫色をしています。花筒が長く、開口部はややすぼみ、すぼんだところに茶色の副花冠をつけます。

レオポルディア亜属はシラーに近い仲間で、他の属より背が高く、稔性花は褐色から黄色で、不稔花は青や藤色をしています。花筒が長く、開口部はややすぼんでいます。副花冠はありません。花は晩春から初夏にかけて咲きます。

さてプセウドムスカリ・チャールシクムはイラン北部の岩棚や明るい林間に自生しています。

種小名はイランのテヘランから北へ100kmほどのカスピ海に面する避暑地チャールース(Chalus)に由来します。
このあたりで発見されたのだろうと推測されます。
なお種小名の読み方のルールは、人名や地名に由来する場合、その言語の読みに従いますので、このブログでもそれに従ってカタカナ表記をしています。

明るいブルーの花被に濃い筋が入っています。
花茎は15cmほどです。

花の大きさは全く違いますが、ぱっと見は一番下の写真のようにプセウドムスカリ・アズレウム( Pseudomuscari azureum)とよく似ています。
しかしよく見ると、チャールシクムは花の筒部が長く、綺麗なベル型をしています。
花柄も長く、上部の花は垂れています。

葉も全く違い、チャールシクム長披針形の葉が反り返って開きますが、アズレウムは立ち上がります。

以前、ブルーではなく赤紫色のプセウドムスカリ・アズレウムが咲いたことがあります。

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2017年4月 8日 (土)

アフリカのムスカリ 
Muscari grandifolium

ムスカリ・グランディフォリウム(Muscari grandifolium:ユリ科ムスカリ属)が咲きました。


Mgrandifolium1


Mgrandifolium2


Mgrandifolium4


Mgrandifolium5


ムスカリ・グランディフォリウムはアフリカ北西部のアトラス山脈からその北側のリフ山脈に連なる比較的海抜の高いところに自生しています。

3〜5月頃に、最終的には20cmほどの花茎を立てます。
一般的なムスカリの形態を見せるボツリアンツス亜属に分類されています。

ムスカリ・ネグレクツム(Muscari neglectum)に近縁と言われています。ムスカリ・ネグレクツムが北アフリカを含む地中海沿岸を中心に広く分布していたので昔はこの2種は混同されていたようです。

ムスカリ・ネグレクツムは古くから知られていて、1753年にリンネによって総状花序をつけたという意味のムスカリ・ラケモスム(Musucari racemosum)と命名されました(ムスカリ・ラケモスムという名は今は別の種類に使われています)。
しかしムスカリ・グランディフォリウムはムスカリ・ネグレクツムと100年以上にわたって混同されており、別種と同定されたのは1870年のことです。

ただラテン語の「大きな葉の」という種小名が示すようにムスカリ・ネグレクタムとは葉が違っています。
灰青色の断面がU字型の長披針形の葉は3〜5枚出て、地面近くで反り返ります。
ムスカリ・ネグレクツムの葉はC字型の線形で、たわんで伸びています。

ボツリアンツス亜属の特徴のように2色咲きで、不稔花は薄い赤紫色から青色で小さく、開口部は開きません。

稔性花は大きい青黒色で、開口部には白い縁取りがあります。
一般的にボツリアンツス亜属の稔性花は開口部がいったんすぼんで6裂片が開きますが、グランディフォリウムは開口部はすぼんでいません。
香りのある花です。

異学名はMuscari populeumで、「ポプラに似た」という意味ですが、どのような特徴を指して、この異学名がつけられたのかは分かりません。

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2017年4月 3日 (月)

間違っているかもしれないムスカリ 
Muscari commutatum

ムスカリ・コンムタツム(Muscari commutatum:ユリ科ムスカリ属)が咲きました。


Mcommutatum1


Mcommutatum2


Mcommutatum3


Mcommutatum4


ムスカリ・コンムタツはイタリアからユーゴスラビア、エーゲ諸島にかけての地中海沿岸に分布しています。
海岸からの海抜1800mまでの山の草原や荒れ地の斜面に自生しています。

いわゆるブドウヒヤシンスと呼ばれるボツリアンツス亜属に入れられています。
ボツリアンツス亜属には、濃い色の稔性花と薄い色の不稔性花をつける本種のようなムスカリと、不稔性花を欠き2色咲きにならないムスカリ・アルメニアクムのような種類があります。

ムスカリ・コンムタツは稔性花は黒色から濃紫色をしており、不稔性花は青紫色をしています。
白花も知られています。
やや幅のある線形から細い披針形の緑色の葉は2〜5枚出て、まっすぐ上に立ち上がります。

ギリシャでは球根や花は食用とし、ピクルスにした球根は利尿作用があり、コレステロールを下げると云われています。

一般名はダーク・ブドウヒヤシンス(Dark Grape Hyacinth)です。
種小名コンムタツムはラテン語で「変化した、交換した」という意味です。どの特徴を指すのか分かりません。

ムスカリ・コンムタツムはボツリアンツス亜属の中では、花の色によって他の種類とは明らかに区別できるのですが、この説明を読んで、写真のものと違うではないかと思われるでしょう。
写真のムスカリは2015年1月にNARGSの種子交換で手に入れたタネを播いて、今年初めて花をつけました。
非常に成長が早く、播種後2年で花をつけました。

種子が間違っていたか、変異が出たか。
花の色は違うのですが、ムスカリ・アルメニアクムのような細い葉がまっすぐ立ち上がっており、葉の特徴は一致します。
ムスカリ・アルメニアクムのような紫がかった青ではなく、今まで見たムスカリにはない美しいブルーの花色です。

ムスカリ・コンムタツムは分布域が広いためか、はたまた変異が多いせいか、ムスカリという属名に限っても Muscari acutilobum(尖った裂片のある)、Muscari albovirens(白緑の)、Muscari lafarinae(La Farina産の)、Muscari levieri(E. Levierさんの) など異学名を持っています。 

もしムスカリ・コンムタツムではなかったら申し訳ありません。
他の球根からどんな花が咲くのか、来年の楽しみにして、開花を待とうと思います。

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2017年3月18日 (土)

アナトリア・ムスカリ 
Muscari anatolicum Giant Form

ムスカリ・アナトリクム(Muscari anatolicum Giant Form:ユリ科ムスカリ属)が咲き出しました。


Manatolicum7


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Manatolicum10


種小名アナトリクムとは「アナトリアの」という原産地名を指しています。
アナトリアはギリシャ語で「東方の」「日出るところ」という意味で、ボスポラス海峡の東側、いわゆる小アジアと呼ばれている地域を指します。

1960年頃から知られていたムスカリですが、1990年の中央アナトリア探検旅行でスルタン山脈(Sultandağ:最高峰海抜1980m)で発見されました。
1994年にジル・コウリー(Jill Cowley:1940〜)さんらによって公表されました。

後にトルコ東南部の海抜1100〜2300mの開けた山地の石灰岩の斜面地やレバノン杉などの針葉樹林間に広く分布していることが分かりました。

葉より長さの短い花茎を1〜3本立て、1本に15〜20輪の花をつけます。

花序には淡青色と黒青色の花をつけます。
下部の稔性を持つ濃い黒青色の花の口部には白い縁取りがあります。香りがあります。

上部の淡青色の花は不稔性で、成熟するまでは開口部はカーキ色から紫色を帯び、なかなか味のある配色です。

濃い緑色の葉は断面がU字型の線形で、長さ10〜15cm、10本ほどが立ち上がります。

球根は直径15〜25mmで、自生状態では分球しないといわれています。昨年は2茎が立っただけでしたが、今年は4つに分球したようで、花茎が6本以上立っています。

これは「ジャイアント・フォーム(Giant Form)」と呼ばれる大きいサイズの選別種です。
もっとも大きいと言っても、よく見かけるムスカリ・アルメリアカムよりもずっと小さいです。

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2017年3月16日 (木)

ブルゴさんのムスカリ Muscari bourgaei

ムスカリ・ブルガエイ(Muscari bourgaei:ユリ科ムスカリ属)が咲いています。


Mbbourgaei5


Mbbourgaei6_2


Mbbourgaei7


Mbbourgaei8


昨年は12月に咲き出しましたが、2年目の今年は、普通の時期に咲き出しました。
やはり初花は狂い咲きするのですね。
昨年は4茎が立っただけでしたが、分球し易いのでしょうか、今年は何本も花序を立てています。

ムスカリ・ブルガエイはトルコ西部のアナトリア山脈の比較的海抜の高いところに分布しています。

花には短い花梗があり、それにつく花は濃紺で、開口部に白い色が入っています。
はっきりと色が分かれているわけではないようですが、花序が成熟するにつれ、先に咲いた花ほど白っぽくなっています。
昨年とは逆の色づきの花序が現れました。後に咲いた花の方が濃くなっています。
見慣れない色の変化です。
去年と同じ花序の株もあります。一番下の写真のように昨年は下部の花は濃紺色で、上部の花は明るい青色でした。

花一つ一つはムスカリ・アルメリアカムと変わりありません。
しかしアルメリアカムより花茎や花序が短く、花は葉より低い位置で、葉に埋もれて咲いています。

葉は夏も茂っており、長さ10cmほどで、4〜6mmの比較的幅があり、アルメリアカムのようにだらしなく横に広がらず、立ち上がっています。

種小名のブルガエイは、フランス人の園芸家ユゲーヌ・ブルゴ(Eugène Bourgeau:1813–1877) さんに因む名前です。
ブルゴさんは若い頃はフランス・リオンの植物園で働いていましたが、後年は植物収集家としてスペイン、小アジア、北アフリカ、カナリア諸島の植物を採集し、1857年から1860年にかけては北米探検にも加わりました。このように精力的に植物採集したので、多くの植物の学名にbourgaeiという名を残しています。

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2016年6月 2日 (木)

遅咲きムスカリ 
Leopoldia comosa

レオポルディア・コモサ(Leopoldia comosa:ユリ科レオポルディア属)が咲いています。


Leopoldiacomosa1


Leopoldiacomosa4


Leopoldiacomosa2


Leopoldiacomosa3


以前はムスカリ属に含められていたレオポルディア属はシラーに近い仲間で、カナリア諸島、島々を含む地中海沿岸からイランまでの広い範囲に分布し、生態的に適応性のある球根植物です。
ムスカリより背が高く、遅咲きで、晩春から初夏に花を咲かせます。
総状花序に花をつけますが、上部は釘を刺したような濃い色の不稔性花がつき、下に行くほど、花の間隔が大きくあき、明るい色の壺状の稔性花になります。下部の花は白、黄色、緑色、茶色をしています。

レオポルディア・コモサはヨーロッパ南部からトルコやイランまでの広い範囲に分布しています。
地表に葉が出るのはそんなに遅い時期ではないのですが、葉が少し顔を覗かしても展開するまでが遅いのです。
他の植物が生い茂ってから伸びてくるので、それに隠れてしまって葉っぱがどんな形をしているかも分かりません。
背丈は20〜30cmですが、50cmに伸びるのもあるそうです。

花序の上部の花は不稔性で、長い花梗があり、上に伸びます。青紫色で、釘の頭型の口の開かない花がつきます。
その花の下には紫がかった蕾から、花梗を横に伸ばし、壺型の花が横向きに開きます。花色は薄茶色から薄茶緑色に変わっていきます。
花の口元は白くなっています。
花にはかび臭い臭いがします。

コモサは、ハネムスカリという和名を持ち、上部の花は羽のような「プルモーサム('Plumosum':ラテン語で「羽根の」という意味)」という園芸種が有名です。
「プルモーサム」に比べると原種は地味です。

レオポルディア・コモサは園芸的にムスカリ・コモサム(Muscara comosam)で流通しています。
地中海沿岸では観賞用ではなく食材で、野生のタマネギという扱いをされています。
イタリア南部では、ランパスキオーニ・ソットリオ(Lampascioni sott'olio)と呼ばれるオリーブオイルづけが有名です。苦みのある薬味として使われているようです。

レオポルディアの名称についてややこしい経緯がありますので、そこを説明します。
レオポルディア属の多くは以前はムスカリ属に含まれていましたが、レオポルディア属という名称自体は、英国の牧師で、植物学者、植物画家のウイリアム・ハーバート(William Herbert:1778–1847)さんが、アメリカ大陸に自生するアマリリスの仮称として1819年に用いたのが最初だそうです。そのアメリカ大陸のアマリリスの仲間は、今日ではレオポルディアではなく、ヒッペアスツルム属(Hippeastrum)と呼ばれています。

それとは別に、1845年にイタリアの植物学者のフィリッポ・パルラロトーレ(Filippo Parlatore:1816–1877)さんがムスカリから再分類した時にレオポルディアの名を使用しました。
1970年になってパルラロトーレさんの分類がこの種類のムスカリに対する保留名(新しい発見物についての命名権)になったとそうです。今ではレオポルディアを命名者と共に表記する際にはLeopoldia Parl. という命名者としてパルラロトーレさんの名が記されます。

属名のレオポルディアは、ハーバートさんのアマリリス属に関する書籍('Amaryllidaceae':1837)に、ベルギー国王レオポルド1世(Leopold I:1790-1865)に献呈したとありますので、ハーバートさんと交流のあったレオポルド1世に因む名だと推測されます。

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2016年3月30日 (水)

アナトリアのムスカリ 
Muscari anatolicum 'Giant Form'

ムスカリ・アナトリクム「ジャイアント・フォーム」(Muscari anatolicum 'Giant Form':ユリ科ムスカリ属)が咲きました。


Manatolicum1


Manatolicum2


Manatolicum3


Manatolicum4

3月11日の様子。この花穂はこれ以上大きくならず、この後枯れてしまいました。


Manatolicum6

3月18日の様子。再び花茎が立ちだし、出て来た花穂が大きくなるにつれ、上の花茎は倒れてしまいました。


Manatolicum5

3月24日の様子。日増しに大きくなり、色づいてきました。


アナトリアはギリシャ語で「東方の」「日出るところ」という意味で、アジア大陸の一番西、いわゆる小アジアを指しています。

1990年の中央アナトリア探検旅行で、トルコ中部のスルタン山脈(Sultandağ:最高峰海抜1980m)で発見され、1994年にジル・コウリー(Jill Cowley:1940〜)さんらによって発表されたムスカリです。

1960年頃から発見例があり、トルコ東南部の海抜1100〜2300mの山地の石灰岩の斜面地やレバノン杉などの針葉樹林間の開けたところに広く分布していることが分かりました。

球根は直径15〜25mmで簡単には分球しません。
葉より長さの短い花茎を立てて15〜20輪の花を総状花序につけます。
花序は細長く、二色咲きで、下部の稔性を持つ花は香りがあり、濃い黒青色で、口部は白い縁取りがあります。
上部の不稔性の花は淡紫色、あるいは明るい青の小さな壺型で、開口部はカーキ色から紫色を帯びています。

濃い緑色の葉は断面がU字型の線形で、長さ10〜15cm、10本ほどが立ち上がります。

ムスカリ・ネグレクツム(Muscari neglectum)とよく似ていますが、蕾の時の色は灰緑色で、成熟すると黒青色になる点がネグレクツムと違っています。ネグレクツムは初めから濃青色をしています。
また花を詳細に観察すると、開口部はネグレクツムより大きく反り返り、開口部の根元はほとんど狭ばまりません。
葉に関しては、ネグレクツムと同じような形状をしています。

ムスカリ・ディスコロル(Muscari discolor)とも似ていますが、ディスコロルはもっと低地(海抜900〜1100m)に分布しています。
またディスコロルは草原で見られ、花はアナトリクムより大きく、時期も少し早い3月頃から咲き始めます。
ディスコロルは倒皮針形の葉で、葉は花茎より短いのが特徴です。葉の特徴はネグレクツムの方が似ています。
花の香りも違います。

自生状態では分球しないのですが、栽培するとネグレクツム同様花茎を複数立て、分球もし、当然葉の数も多くなります。
これは「ジャイアント・フォーム(Giant Form)」と呼ばれる明らかに大きいサイズの選別種、あるいは園芸種です。
もっとも大きいと言っても10.5×10.5cmのポットに入れても、大きなポットに入っているように写っています。ネグレクツムより小さいです。

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