2016年5月26日 (木)

オーストリアのベロニカ 
Veronica austriaca

ベロニカ・アウストリアカ(Veronica austriaca:ゴマノハグサ科クワガタソウ属)が咲いています。


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オーストリア・クワガタソウ(Austrian speedwell)やハンガリー・クワガタソウ(Hungarian speedwell)の名が示すように、もともとはのヨーロッパ中東部に分布していましたが、今ではヨーロッパから東アジアにかけて温暖な気候の土地に分布していることが知られています。

平地の草原や潅木帯などで見られます。
うまく立ち上がらせると60cm以上になると言われていますが、普通は地面を這って、あるところから立ち上がるので高さは30~45cmです。

広い範囲に分布していますので、葉に変異が出やすく、形は広卵形から狭披針形をしており、葉縁は羽状に裂けたり、粗い鋸歯があったり、全縁であったりと変異が報告されています。
葉の特徴からベロニカ・アウストリアカ・テウクリウム(Veronica austriaca supsp. teucrium)やベロニカ・テウクリウム(Veronica teucrium)といった異学名で呼ばれることがあります。
葉には葉柄がなく、茎を抱くように対生してついています。

5月〜6月に30cmほどの花茎を立て、小さな蕾のついた穂を総状花序をつけます。
小さな蕾の時からは想像できないくらい大きい、直径1センチほどの美しい青色の花を開きます。

種小名アウストリアカは「オーストリアの」という意味です。
また異学名の種小名テウクリウムは「テウクリウム(ニガクサ属)に似た」と言う意味で、葉が似ているのでつけられたようです。
なおテウクリウムはトロイアの初代国王テウクロス(Teukros)に因んでつけられています。

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2016年3月 4日 (金)

小さなイヌノフグリ 
Veronica cymbalaria

コゴメイヌノフグリ(小米犬陰嚢:ベロニカ・キンバラリア:Veronica cymbalaria:ゴマノハグサ科クワガタソウ属)が咲いています。


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1960年ごろから小石川植物園で栽培され、それが逸出し、70年頃には東京都内で野生化したと言われています。
コゴメイヌノフグリがこの辺では自生しています。
もともとは地中海沿岸からユーラシア大陸が原産地の一年草、あるいは二年草です。

花はオオイヌノフグリより小さく、径4〜5mmの白色をしています。
花弁が4枚あるように見えますが、実際は花冠が4深裂しています。
葉腋から短い花柄を出し、花をポツポツと咲かせます。
1日花で、午後には花弁が落ちてしまいます。地面に落ちた白い花びらを見ていると、その名の通り、米粒がおちているようです。

ツタカラクサ(シンバラリア・ムラリス:Cymbalaria muralis:ゴマノハグサ科シンバラリア属)に葉が似ているのでつけられた小種名から推測できるように、葉は広楕円形で、5〜9裂しています。
ただツタカラクサの葉は無毛ですが、コゴメイヌノフグリは葉を含め、株全体に白い軟毛が粗に生えています。

茎は基部で分岐して、ほとんど立ち上がることなく、花をつけながら茎を伸ばし続け、30〜50cmに広がっていきます。

花の後にできるさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)は、オオイヌノフグリと同じ形です。

英名は Cymbalaria speedwell 、Cymbalaria-leaved speedwellや Pale Speedwell です。
Veronica glandulifera という異学名があるようです。そこから出たであろう英名に glandular speedwell がありますが、「腺毛のあるクワガタソウ」という意味で、白い軟毛が生えていることを指しているのでしょう。

小種名のキンバラリアはギリシャ語のkymbalonに由来し、丸い器という意味です。

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2015年5月25日 (月)

「男の忠誠」と揶揄されるベロニカ 
Veronica chamaedrys

ベロニカ・カマエドリス(Veronica chamaedrys:ゴマノハグサ科クワガタソウ属)が咲いています。


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ヨーロッパから北アジアまでの広い範囲に分布する宿根草です。
茎は30cmほど伸びますが、匍匐して立ち上がるので、背丈は15cmほどです。
種子で増えるだけでなく、節から根を下ろして広がっていきます。

花は1cmほどで、開いたすぐの時は濃いブルーですが、時間が経つと萎れてピンクがかった空色に変わります。
それでドイツでは「男の忠誠」と呼ばれるそうです。
強い者にこびるとか、浮気っぽいとか、男心というものは万国共通のようです。
開いたばかりの花としばら経った後の花は葯の成熟具合を見れば分かりますが、ベロニカ・カマエドリスは花色で簡単に区別できます。

葉は披針形から卵型で、鈍い鋸歯があり、毛が密に生えています。
暖地では冬だけではなく、夏にも葉が枯れてしまいます。
斑入りのベロニカで流通している「ミッフィーブルート」(Veronica chamaedrys 'Miffy Brute')はベロニカ・カマエドリスの園芸種です。
ただ葉の形から「ミッフィーブルート」と称されているのは、葉の広いものと狭いものがあり、2品種あるように思います。

ヨーロッパでは古くから神経症、呼吸器系、循環器系、代謝系の病気に効果のあるハーブティとして使われています。

英名はGermander Speedwellといいますが、ジャーマンダーとはニガクサの総称です。種小名と同様、葉の特徴を指しているのでしょう。

カマエドリス chamae(地面)とdrys(柏)の2つの言葉から出来ていて、葉が柏の葉の形に似ていることに由来します。

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2015年5月19日 (火)

鮮やかなブルーのベロニカ 
Veronica teucrium

ベロニカ・テウクリウム(Veronica teucrium:ゴマノハグサ科クワガタソウ属)が咲いています。


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ベロニカ・テウクリウムはヨーロッパ中部、南部、北アジアに分布する耐寒性多年草です。

うまく立ち上がらせると60cm以上になると言われていますが、私の所では臥してしまって25cmほどの背丈です。
花の時期になると茎を立てていき、茎頂に花序ができます。

鮮やかなブルーの花を長さ10cmほどの穂状の総状花序につけます。
穂状に咲くベロニカの花としては大きい方で1cmほどの花をつけます。

クワガタソウ属の中では大きな葉で、緩い鋸歯がある披針形から楕円形をしています。
この葉がシソ科ニガクサ属(テウクリウム属)、いわゆるジャーマンダーに似ており、種小名は「テウクリウム属に似たと」いう意味です。
テウクリウムというのは、ニガクサを薬として用いたトロイアの王テウクロス(Teukros)のギリシャ名Teukrionに由来します。

英名はハンガリアン・スピードウエルの他に large speedwell 、creeping Speedwell です。
ベロニカ・アウストリアカの亜種(Veronica austriaca ssp. teucrium )として扱われることがあります。


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2015年5月 5日 (火)

ツタカラクサのベロニカ 
Veronica cymbalaria

コゴメイヌノフグリ(小米犬陰嚢:ベロニカ・キンバラリア:Veronica cymbalaria:ゴマノハグサ科クワガタソウ属)が咲いています。


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さく果です。種子が4個入っています。


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これはツタカラクサの葉です。若いと葉脈が見えませんが、しばらくすると出てきます。無毛です。


地中海沿岸からユーラシア大陸にかけて分布している一年草、あるいは二年草です。
小石川植物園が1961年に種子交換で入手したものが、 逸出して野生化したと言われています。

花はオオイヌノフグリより小さい、花冠が4つに深裂した径5mmほどの白い花を咲かせます。
葉腋から短い花柄を出し、ポツポツと咲かせます。
毎日見ている花が違っているのに同じ花を見てるように思ってしまい、1日花であることに気がつきません。

葉は広楕円形で、5〜9裂しているのでツタカラクサの葉と形だけは似ています。
茎は基部で分岐して、ほとんど立ち上がることなく、花をつけながら茎を伸ばし続け、30〜50cmに広がっていきます。
株全体に白い軟毛が粗に生えています。

花の後にできるさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)は、なるほど犬の陰嚢のようです。

小種名のキンバラリアはギリシャ語のkymbalonに由来し、丸い器という意味です。シンバラリア・ムラリス(ツタカラクサ:Cymbalaria muralis:ゴマノハグサ科シンバラリア属)に葉が似ています。

英名は Cymbalaria speedwell 、Cymbalaria-leaved speedwellや Pale Speedwell です。
Veronica glandulifera という異学名があるようです。そこから出たであろう英名に glandular speedwell がありますが、「腺毛のあるクワガタソウ」という意味で、白い軟毛が生えていることを指しているのでしょう。

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2015年5月 1日 (金)

低木のベロニカ 
Veronica fruticans

ベロニカ・フルティカンス(Veronica fruticans)が咲いています。


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ヨーロッパ北西部、ピレネー山脈、ヨーロッパアルプスなどの海抜3000mまでの岩の自生する亜低木の多年草です。
石灰岩地の草地や岩場の斜面に自生しています。

匍匐して途中から立ち上がり、草丈は5~10cmになります。
長さ1cmまでの厚みのある葉は、小さいものは卵形、大きいものはへら形をしています。
水はけのいい岩場で耐えられるような葉です。
葉縁には鋸歯がありませんが、時に非常に細かい鋸歯があったりします。

花は径1〜1.5cmの濃青色で、ヨーロッパ南東部に分布するベロニカ・サツレヨイデス(Veronica saturejoides)と同じような、中心部が赤味がかります。

ベロニカ・サツレヨイデスの葉とも似ており、ヨーロッパの西の方はフルティカンス、東の方はサツレヨイデスが棲み分けているのかもしれません。

英名はrock speedwell
種小名フルカンスは「低木の」とか「生い茂る」という意味で、基部が木化することを指しています。

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2014年5月23日 (金)

小さな穂状のベロニカ 
Veronica officinalis

ベロニカ・オフィキナリス(Veronica officinals:ゴマノハグサ科クワガタソウ属)が咲いています。


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ベロニカ・オフィキナリスはヨーロッパや西アジアに分布する多年草です。

背丈は10cmほどですが、匍匐するので茎は30〜50cmに伸びます。
茎が地面についたところで根を下ろし、増えていきますので、グランドカバーとして利用できます。

対生する葉は小さな鋸歯のある楕円形をしています。

葉腋から花茎を立てて総状花序につき、小さな明るい紫青色または紅藤色の花を穂状に咲かせます。
花は径6mmほどの大きさで、花弁には紫色の筋が入っています。

どのような大きさの花が咲くかと思うほど葉が大きく、花と葉の大きさがアンバランスです。観賞用に向きません。

種小名のオフィキナリスは「薬効のある」という意味で、ヤクヨウベロニカと呼ばれたりします。
ベロニカ属で唯一薬効があるとされ、止血、健胃、利尿、鎮咳、去痰作用があるそうです。しかし今日では薬やハーブとしての用いられることは少ないようです。

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2014年5月22日 (木)

空色ベロニカ 
Veronica teucrium

ベロニカ・テウクリウム(Veronica teucrium:ゴマノハグサ科クワガタソウ属)咲いています。


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ベロニカ・テウクリウムにはハンガリアン・スピードウエル(Hungarian Speedwell)という英名がありますが、ハンガリー特産というわけではなく、ヨーロッパ中部、南部、北アジアに分布する耐寒多年草です。

うまく立ち上がらせると60cm以上になると言われていますが、私の所では鉢植えなので、臥してしまって25〜45cmの背丈です。

緩い鋸歯がある披針形から楕円形の葉をしています。
この葉がシソ科ニガクサ属(テウクリウム属)、いわゆるジャーマンダーに似ていると言われています。

鮮やかなブルーの花を10cmほどの穂状の総状花序につけます。ベロニカの花としては大きい方で1.5cmまでの花をつけます。
この花のブルーは初夏にマッチする清々しい色彩です。

英名はハンガリアン・スピードウエルの他に large speedwell 、creeping Speedwell です。

園芸品種としては「クレータ・レイク・ブルー('Crater Lake blue')」という名で流通しています。
レイク・ブルーは、米国ワシントン州カスケード山脈の東寄りにあるクレータ湖を指しています。
異学名として Veronica austriaca var. teucrium 、ベロニカ・アウストリアカの変種や亜種として見られることがあります。
種小名はラテン語からテウケル、テウセルとも表記される、弓の名手の英雄テウクロス(Teukros)をたたえた植物に由来します。 シソ科ニガクサ属をテウクリウム属といいますので、テウクリウム属に似たという意味合いだろうと思います。

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2014年3月 8日 (土)

米粒ほどの花 
Veronica cymbalaria

コゴメイヌノフグリ(小米犬陰嚢:ベロニカ・キンバラリア:Veronica cymbalaria:ゴマノハグサ科クワガタソウ属)が咲き出しました。


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地中海沿岸からユーラシア大陸にかけて原産の、リンネが名付けたクワガタソウです。日本にも帰化しているといわれています。

昭和51年発行の原色日本帰化植物図鑑(長田武正著、保育社刊)にはコゴメイヌノフグリは記載されていません。まだ上陸していなかたのでしょう。

花はオオイヌノフグリより小さい、径4mmほどの白い花を咲かせます。1日花で花びらが落ちると、その名のとおり、お米がこぼれたようです。

葉は広楕円形で、鋸葉が目立ちます。
背丈は10cmほどで、横に広がります。全体に白い軟毛が粗に生えています。

小種名のキンバラリアはギリシャ語のkymbalonに由来し、丸い器という意味です。シンバラリア・ムラリス(ツタカラクサ:Cymbalaria muralis:ゴマノハグサ科シンバラリア属)に葉が似ています。リンネはシンバラリア・ムラリスをリナリア・キンバラリア(Linaria cymbalaria)と命名し、後にシンバラリア属に分属したのですが、同じ種小名をつけたリンネには、両者に似たような特徴があると認めたのだろうと思います。

英名は Cymbalaria speedwell や Pale Speedwell です。

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2011年6月28日 (火)

ブルーのトーチ 
Veronica spicata 'Nana'

ベロニカ・スピカータ「ナナ」(Veronica spicata 'Nana':ゴマノハグサ科ベロニカ属)が咲きました。

ベロニカ・スピカータはヨーロッパ中部の原産で、ルリトラノオ属(Pseudolysimachion)に分類されることもある花穂を伸ばすタイプのベロニカです。

ベロニカ・スピカータが背丈40〜60cmになるのに比して、その選別種の「ナナ」は矮性種で、背丈が15〜30cmの品種です。

花穂も短く10cmほどです。葉は小さいサイズのベロニカにしては大きく、長さ3〜5cmの緩い鋸歯のある楕円形です。
エレガントなブルーの花色が魅力的です。


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