2020年6月 2日 (火)

スポンジの花 Adlumia fungosa

アドルミア・フンゴサ(Adlumia fungosa:ケシ科アドルミア属)が咲いています。

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蕾はコリダリスのような形をしています。
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巻きひげの近くにできた花序をアップしました。
葉と蕾が混在しています。
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アドルミア属は2種だけが知られており、一つは大井 次三郎(1905-1977)さんが命名した朝鮮半島や中国に分布するアドルミア・アジアティカ(Adlumia asiatica)です。
米国に分布するもう一種が、このアドルミア・フンゴサです。最近までディケントラ(Dicentra)属に分類されていたツル性の植物です。

分布する地域は北はカナダ東部のニューブランズウィック州からオンタリオ州やミシガン州まで、南はノースカロライナ州、テネシー州までといわれていますが、主に米国東部のアパラチア山脈の北東部を占めるアレゲニー山脈です。
湿潤で森林の日陰になる斜面に自生する2年生の植物ですが、アレゲニー山脈でも珍しくなっているといわれています。

秋からロゼッタ状に出た葉柄から3〜4回羽状深裂する丸形の葉を広げたまま冬を越し、春になると巻きひげのつく細い茎を伸ばします。葉はやや黄色がかった緑をしています。

5月頃に葉脇から非常に小さな蕾を多数(20〜30個)つけた花序が現れます。集散花序につく花は、白から薄いピンク、紫がかったピンクをしています。長さ10〜15mm、幅3〜7mmの左右対称の壺状で、垂れ下がって咲きます。外花弁は左右に開き、内花弁が少し顔を覗かせます。10月頃まで咲き続けます。

ここではまだ60cmほどですが自生地では3mにも伸びるそうです。

アレゲニー(ペンシルベニア州アレゲニー郡、あるいはアルげニー山脈の)ツル(Allegheny vine )、ツルフマリア(climbing fumitory) 、ヤマフサカガリ(mountain fringe )などと呼ばれています。

属名アドルミアは米国の測量士、裁判官、植物学者のジョン・アドルム(John Adlum:1759–1836)さんに献名されています。アドルムさんはヨーロッパ種のブドウが根付かなかった米国で地場のカタウバブドウ(Catawba grape)を育て、アメリカで最初に国産ワイン醸造に成功した方です。

種小名フンゴサはラテン語で 「穴だらけの、スポンジの」という意味です。花弁の中がスポンジ状になっていることを指しています。スポンジ状といっても、穴が沢山開いたような材質でできているのではなく、花弁の中に白い繊維の詰め物で満たされ、布団のようにふかふかになっています。詰め物の繊維に花糸や葯が引っ付いているようです。

トルコ系フランス人で、若い頃に渡米したコンスタンチン・ラフィネスク(Constantine Samuel Rafinesque:1783-1840)さんが1907年に命名しています。ラフィネスクさんは独学で語学、植物学、動物学などを勉強し、米国先住民がアジアより移動してきたことや、ダーウインさんより早く進化論を唱えました。進化論に関しては、後にダーウインさんが彼からアイデアを借用したことを認めています。しかしラフィネスクさんの先駆的な知見は伝統的研究者から反感を買い、権威主義的学会から嫌われました。ルイスとクラークらの植物探検旅行に参加することを2度もジェファーソン大統領に願い出ましたが拒否されています。

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2020年4月 8日 (水)

茂みの中でシロバナヤブケマン  Corydalis incana f. albiflora

昨日摩耶山系のハイキングコースで、薄暗い茂みの中でシロバナヤブケマン (白花藪華鬘:Corydalis incana f. albiflora:ケシ科キケマン属) がひっそりと咲いていました。

 シロバナヤブケマンは、花弁の頭の部分にムラサキケマン(Corydalis incana)の色を残し、距は色が抜けて白くなっています。
以前からこのあたりで見かけていましたが、久しぶりに出会いました。

シロバナヤブケマン について詳しくはこちらをご覧ください。

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2020年3月28日 (土)

エゾエンゴサクより色が濃い Corydalis fumariifolia ssp. fumariifolia

コリダリス・フマリィフォリア(Corydalis fumariifolia ssp. fumariifolia :ケシ科キケマン属)が咲きました。


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ソ連と中国の国境にはさまれた地域、カムチャツカ半島、サハリン、千島列島の海抜600mまでの低地の明るい森林内、林縁に分布し、岩石が露頭するような泥炭地に自生しています。


日本に自生するエゾエンゴサク(Corydalis fumariifolia subsp. azurea )の基本種となっています。
エゾエンゴサクについては、北海道のものと本州のものは違うのではないかと議論されてきましたが、最近北海道に分布するエゾエンゴサクはコリダリス・フマリィフォリアの亜種でコリダリス・フマリィフォリア・アズレア(Corydalis fumariifolia subsp. azurea)であるとされ、本州に分布するものにはオトメエンゴサクという和名とコリダリス・フクハラエ(Corydalis fukuharae)という名が与えられ、距が細長い全く別種とされました。
また1970年代にエゾエンゴサクの異学名とされたコリダリス・アンビグア(Corydalis ambigua)はカムチャッカ半島に分布する種類を指していることが明らかにされました。


春早く、球根から1〜2本の花茎を8〜20cmに上げます。
この種類の同定を困難にしているのが小葉の形態だといわれています。全縁楕円形や全縁線形、くしの歯状に浅裂するものまで、何でもありのようです。小葉は三葉からなるか、三深裂した2回羽状をしています。
総状花序に淡青色から濃青色、濁ったピンク、まれに紫色や白色の花を5〜15輪つけます。
花は横から見ると三角形で、上外弁の距は他のコリダリスに比べてまっすぐで短く、下外弁にも袋状の距をつけます。
萼はありません。苞葉は自生地域により様々の形態をしています。この株は全縁の楕円形で小花梗より長いようです。


日本の植物に関して関わりの大きいドイツ系ロシア人の植物学者カール・マキシモビッチ(Carl Johann Maximowicz:1827-1891)さんが、新しい品種として採取し、1859年に公表しています。


種小名フマリィフォリアは「フマリアの葉の」という意味で、ケシ科フマリア(Fumaria)属の植物のような葉をしていることを指しています。

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2020年3月26日 (木)

髪飾り?のコリダリス  Corydalis vittae

コリダリス・ビッタエ(Corydalis vittae:ケシ科キケマン属)が咲いています。

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コリダリス・ビッタエは東ヨーロッパのジョージア(旧グルジア)の標高2200m級の山脈地帯の石灰岩が露頭している草原などに自生しています。

草丈は10〜15cmで、明るい緑の葉は楕円形状に深裂した2回3出複葉です。苞葉は卵形で全縁です。

コリダリス・マルケンシスとよく似た、白い豊満な花で、上弁に続く距は上向きにカーブしています。花の色はわずかに紫色に色ずくこともあるようです。
花序には6〜16輪が密に着きます。蕾の頃は明るい緑色で、次第に距の方から白く変わっていきます。その時の様子が美しい色模様となります。
前面で上下に開く外花弁は前縁が反り返り、薄い緑(黄)の膨らんだ筋があります。花が成熟して白くなると分からなくなりますが、緑色の時には明らかに飛び出していて、目立ちます。

開花時期は遅く、長く咲き続けます。

コーカサス地域の植生を研究したロシアの植物学者アルフレッド・コラコフスキー(Alfred Kolakovski :1906-1997)さんが1946年に公表しています。

種小名ビエッタとはラテン語で「飾りに頭に巻いた髪ひも、リボン」という意味です。 スジや縞を指しているのでしょう。どことは分かりませんが、外花弁の反り返った前縁にある飛び出した筋を指しているのでしょうか。

 

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2020年3月23日 (月)

一人前になったコリダリス  Corydalis denciflora

コリダリス・デンシフロラ(Corydalis denciflora:ケシ科キケマン属)が咲いています。

コリダリス・デンシフロラはシチリア島の海抜900m以上の山地に自生しています。
人目につくところに分布しているにもかかわらず、これまで他の種類の異学名として扱われてきた歴史を持ちます。
つい最近独立した種類と認められ、やっと一人前になったコリドラスです。 

コリダリス・デンシフロラについて詳しくはこちらをご覧ください。

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2020年3月18日 (水)

球根性コルダリスで初めて莢 Corydalis glucescens

コリダリス・グルケスケンス(Corydalis glucescens:ケシ科キケマン属)が咲いています。

他の球根性コルダリスと違って葉が出た後に花茎が立ってきます。
何本かの花茎が立っています。蕾らしいモノがついていますが、あまりに小さく咲く様子はありません。
今まで育てた球根性コルダリスで初めて莢が1本つきました。この莢の中にタネが稔っているか、どうでしょうね。

コリダリス・グルケスケンスについて詳しくはこちらをご覧ください。

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2019年6月25日 (火)

育てやすいコリダリス  Corydalis wilsonii

コリダリス・ウイルソニィ(Corydalis wilsonii:ケシ科コリダリス属)が咲いています。

コリダリス・ウイルソニィは中国湖北省の海抜3000m級の山地の石灰岩の崖の比較的乾燥した環境に自生しています。
正真正銘の高山植物で、したがって万人向けの植物ではありませんが、種子を手に入れれば容易に1年目に花を見ることができます。
コリダリスは花期が短いものが多いですが、ウイルソニィは5月初めに咲き出して、6月終わりまで、次々花茎を立てて咲いています。
夏越が難しいので1年草だと割り切れば、種子も稔り、実生で継続して育てることができます。

 

詳しくはこちらをご覧ください

 

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 5月上旬、花が咲き出した頃
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こんな莢が稔ります
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2019年5月23日 (木)

チョコレート葉のコリダリス・オフィオカルパ Corydalis ophiocarpa

コリダリス・オフィオカルパ(Corydalis ophiocarpa:ケシ科キケマン属)が咲いています。

コリダリス・オフィオカルパはヒマラヤ東部、チベットから四川省、雲南省までの1000m〜2500mの渓谷や森林、草原に自生する2年草です。
本州、四国の森林や林縁に自生するヤマキケマン(以前の学名はCorydalis japonica あるいは Corydalis makinoana)と同じとされています。

コリダリス・オフィオカルパについて、詳しくはこちらをご覧ください
ヒマラヤ産と日本産の2つに共通しているのは種小名が示す莢の特徴だけです。

ヒマラヤ産と日本産では葉の様子が違っています。今年は冬場のチョコレート色が花の時期まで続いています。
2008年から育てています(本当はこぼれ種で継続しているだけです)が、例年なら灰色がかった緑色です。
花は例年通りですが、今年は莢を含め美しいチョコレート色をしています。
「ブロンズ・ビューティ('BRONZE BEAUTY')」という茶葉の選別園芸種がありますが、どうもそれに変異したのかもしれません。

 

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2019年4月15日 (月)

オレゴンのディケントラ Dicentora formosa ssp. oregona

ディントラ・フォルモサ・オレゴナ(Dicentora formosa ssp. oregona:ケシ科ディケントラ属)が咲き出しました。

ディケントラ・フォルモサ・オレゴナはオレゴン州南部からカリフォルニア州南部のシスキュー山脈の蛇紋岩土壌(鉄を多く含む痩せたアルカリ土壌で、赤い色をしています)地に分布しており、2種の亜種が知られています。

亜種フォルモサ(Dicentra formosa subsp. formosa)は葉の下部だけ白い粉に覆われており、花は紫がかったピンクから白い色をしています。
亜種オレゴナ(Dicentra formosa subsp. oregona)は葉の上面も下面も白い粉を吹き、花の色がクリーム色や薄い黄色をしています。

ディケントラ・フォルモサ・オレゴナについて詳しくはこちらをご覧ください

 

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3月30日 内花弁の赤い付属物が蕾のうちからはっきりわかります。

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3月27日の様子。花序が出てきました。

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3月12日の様子 葉は緑になってきました。

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3月5日 初めて出てきた葉は赤い色をしていました。

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2019年4月 8日 (月)

半ズボンの花 Dicentra cucullaria

ディケントラ・ククラリア(Dicentra cucullaria:ケシ科ディケントラ属)が咲いています。

ディケントラ・ククラリアは北米の北東部に分布し、角が生えたような面白い形の花を咲かせます。

詳しくはこちらをご覧ください

 

 

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