2018年5月 5日 (土)

ブルーコリダリス 
Corydalis cashmeriana

コリダリス・カシミリアナ(カシュメリアナ)(Corydalis cashmeriana:ケシ科コリダリス属)が咲いています。


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コリダリス・カシミリアナは種小名から類推できるようにヒマラヤ、カシミール地方を中心に、ブータン、北インド、ネパールなどの海抜3000m〜4500mの高山地帯に分布しています。
高山の北面の斜面や背の低い植物の茂る岩場の草原や希に岩礫地に自生しています。
現地では5月頃から8月頃まで咲いているようです。

球根性のコリダリスのように丸い球根ではなく、円錐形の貯蔵根を持っています。
したがって球根(塊茎)を持つコリダリスには含まれず、宿根性のコリダリスに分類されます。

草丈は5〜20cmほどで、根茎からは何本も根生葉が出ます。
青緑色の葉は大きく3片に手掌状に裂け、互生してついています。
苞葉は不規則に披針形に裂けています。

草丈より高くならないで、葉と同じ高さで総状花序に少数の、1〜7輪の花をつけます。
花の長さは15〜20mmほどで、透明感のあるブルーのスラッとした花です。

内側の花披の先端の一部はやや濃いブルーをしており、さらに奥の方は白色をしています。
外側の上花披には鶏冠があり、大きく目立つ下花披にはくぼんだ溝があります。
花は枯れる頃になると色があせます。
萼片は2枚あるそうですが、小さくてよく見えません。

果実は1.5cmほどの細い楕円形をしています。

インド生まれの英国人植物学者ロイル(John Forbes Royle:1798–1858)さんによって1838年に公表されています。
1933年に2人のプラントハンターが種子を英国に持ち帰り、園芸化が始まっています。
衝撃的だったのでしょう、すぐに王室園芸協会からCertificate of Meritを受賞しました。
夏の暑さを乗り切るためにはスコットランドでは難しかったようで、スカンジナビア半島で増殖したようです。
しばらくして1938年にはAward of Meritを受賞しています。

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2018年5月 4日 (金)

断崖のコリダリス 
Rupicapnos africana

ルピカプノス・アフリカナ(Rupicapnos africana:ケシ科ルピカプノス属)が咲き出しました。


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距と萼


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小さい苞


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楕円形の果実


ルピカプノス属は以前はフマリア(Fumaria)属に含まれていましたが、再分割されスペイン南部やアフリカ北西部に7種が知られています。

ルピカプノス属は1年草、あるいは寿命の短い多年草で、背丈は高くならず、クッション状に横に広がります。
肉厚の葉は2回あるいは3回羽状に付き、小葉は線形、楕円形、披針形をしています。
花は5〜40輪が短い花柄に散房花序につきます.
花は白からピンク、紫色で、花の先は濃紫色か白色をしています。
石灰岩の裂け目や砂岩の切り立った崖や突き出た壁にへばりついて垂直にクッション状に広がります。

ルピカプノス・アフリカナは根茎様の根を持ち、光沢のある灰青色の線状から楕円形の小葉を持つ肉厚の葉が前年秋から現れます。
この葉を指して一般に「多肉パセリ(fleshy parsley)」と呼ばれているようです。

亜種として次の4種が知られています。
 Rupicapnos africana subsp. decipiens(亜種名の意味:騙す、欺く)
    スペインに多く、白い花を咲かせる。
 Rupicapnos africana subsp. africana(アフリカの)
    ピンクや紫の花をつけ北アフリカに限定される。
 Rupicapnos africana subsp. cerefolia(蝋状の葉の)
    subsp. africanaとよく似ているが線形状の小葉を持つ。
 Rupicapnos africana subsp. gaetula(北アフリカ・アトラス山脈の南斜面に対する古代ローマ呼称の)
    subsp. africanaとよく似ているが果実が丸くて小さい。

春から夏近くにかけて長さ1.2〜1.6cmのピンクがかった灰色の花を多数、散房花序(総状花序の一つで、同一平面上に咲く花序)につけます。
総状花序に花を付けるコリダリス属とは違っています。

厚みのある花弁は4枚で、上下に開く外側の花弁の中から顔を覗かせる内側の花弁は暗紫色に着色し、目立ちます。
外側上花弁に続く距は太く短く、4mmほど、外側下花弁の距はかすかに膨らむ程度です。
小さな苞には切れ込みが入っていなく、目立たない萼は2枚あります。

果実は楕円形をしています。

海抜300〜700mの山地の石灰岩や砂岩の切り立った崖から垂れるようにして咲いているようです。
地中海性気候性の土地に育つので、水はけがよい土壌で、少ない水分でいいようです。

英名は「多肉パセリ(fleshy parsley)」や学名から「絶壁の煙(cliffs smokes)」です。
異学名はフマリア属に入れられていた時の学名、花が散房花序(corymb)につくことからFumaria corymbosaです。

種小名アフリカナは地中海のアフリカ側に分布したことに由来します。

属名はラテン語の「崖(ルピ)」とギリシャ語の「煙(カプノス)」に由来します。
ケシ科のこの属の名が「〜カプノス」とつけられることによります。同じ科の他属に共通するシダのような裂片葉という特徴があるのに対して、ルピカプノス属やダクティリカプノス属、ランプロカプノス属は全縁の複葉を持つので、このように称されたということです。

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2016年5月31日 (火)

血の噴き出す心臓
Lamprocapnos spectabilis

ケマンソウ「バレンタイン」(華鬘草:Lamprocapnos spectabilis 'Valentine':ケシ科ランプロカプノス属)が咲き終わりました。


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外花弁が開く前の様子


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内花弁が開いた時の拡大写真


ケマンソウはシベリア、中国東北部(黒竜江省)、朝鮮半島、日本に分布する宿根草です。
以前はディケントラ属(Dicentra)に含まれていました。フミリア(Fumaria)属やディクリツラ(Diclytra)属に含まれていたことがありますが、今はランプロカプノス属に再分類され、ランプロカプノス属はこの1種類だけで構成されています。

ケマンソウは1840年代にスコットランドの植物家で、プラントハンターのロバート・フォーチュン(Robert Fortune:1812-1880)さんによって英国に紹介されました。フォーチュンさんは中国からインドへチャノキを持ち出した人です。またキンカン属の学名フォーチュネラ(Fortunella)は彼の名に因みます。

草丈は30〜100cmほどになる根茎を持つ宿根草です。
茎は赤い色を帯び、2回3出複葉の葉は、普通は灰緑色ですが、「バレンタイン」は芽出しの時には茶紫色で、しばらくすると濃緑色に変わっていきます。

春から晩春に、アーチ状に湾曲した花茎を伸ばします。
総状花序にハート型をした花を下向きにいくつもつけます。
このハート型の外花弁はピンクから赤色をしており、先の両端が細長く、開花すると大きく反転します。
「バレンタイン」は花の色がチェリーレッドになる選別種です。
内花弁は白い色をしています。

上手く育てると花が10輪以上垂れ下がって咲くので「鯛釣草」とも呼ばれています。
「リラ(古代ギリシャの竪琴)フラワー(lyre flower)」や「浴槽の女性(lady-in-a-bath)」という英名と比較して、日本ではめでたい名がつけられたようです。
もっとも「オランダ男性の砲尾(Dutchman's breeches)」という名もあるようですが、これって卑猥な意味なんでしょうね。

秋に地上部が枯れて休眠に入ります。
種子にはエライオソーム(elaiosome)がついていて、蟻によって遠くまで運ばれるそうです。
湿った冷涼な地域では日なたで育ちますが、乾燥した温暖なところでは日陰の方がいいようです。

このタイプの花を咲かせる種類は「血の噴き出す心臓(Bleeding heart)」という英名があるので、Asian bleeding-heart(アジアの血のしたたる心臓)と呼ばれます。

属名のランプロカプノスはギリシャ語で「輝く(ランプロ)煙(カプノス)」という意味です。
同じカプノスとつけられているダクティリカプノス同様、煙という言葉がつくのは、同じ科の他属に共通するシダのような裂片葉という特徴があるのに対して、ダクティリカプノスやランプロカプノスは全縁の複葉の葉を持つので、こうつけられたということです。

種小名スペクタビリスは「壮観な、華々しい」という意味です。

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2016年5月25日 (水)

西海岸のディケントラ 
Dicentra formosa

ディケントラ・フォルモサ「オーロラ」(Dicentra formosa ‘Aurora’:ケシ科ディケントラ属)が咲きました。


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ディケントラ・フォルモサ「オーロラ」は、ドイツのドイツの庭師で植物育種家のパゲルズ(Ernst Pagels:1913ー2007)さんが、ディケントラ・フォルモサを親としてディケントラ・エクシミア(Dicentra eximia)系との交配によって生まれたといわれています。

灰緑色の葉は全て根出葉で、羽状に細く切れ込んでいます。ハート型のふっくらした白い花咲かせます。
咲き始めは花全体が純白ですが、少し経つとクリーム色になり、外花弁の反転している部分は緑黄色、内花弁の先は紫色になってきます。
何より嬉しいのは「オーロラ」は高温多湿に強いという特徴があります。


ディケントラ・フォルモサは米国バンクーバ島やカナダ、ブリティシュコロンビア州南部からワシントン州、オレゴン州を経て、シェラネバダ西方斜面やカリフォルニア海岸やカスカデ山に至る範囲の平地から亜高山に分布しています。
要するに北米の太平洋沿いの海岸線に沿って分布するので一般には Pacific bleeding heartと呼ばれています。
bleedingとは「血の吹き出た」といった意味です。またbleeding heartは「弱者に同情する人」を指します。


ディケントラ・フォルモサは湿気のある林間や川の土手などに自生し、鱗状の根茎を持つ多年草で、ピンクや赤、白いハート型の花をぶら下がるように咲かせます。

ディケントラ・エクシミアはピンクや紅紫の花をつけ、ペンシルベニア州南西部から南へテネシー州やノースカロライナ州にかけてのアパラチア山脈の海抜100〜1700mの山麓部に自生しています。森林地帯の岩石露頭地の裂け目などで見かけるようです。

またディケントラ・エクシミアは、ディケントラ・フォルモサとは花の形が細長く、明らかに違った形をしています。ディケントラ・フォルモサの外花弁は2〜4mmで短く、少し開く程度ですが、ディケントラ・エクシミアの外花弁は4〜8mmと長く、外側に大きく反り返ります。

両者は北米大陸の東部と西部に分布していますので、自然状態では交配することはないと思われます。
「オーロラ」は花の形から、交配種といえどもディケントラ・フォルモサと同定できます。

和名はハナケマンソウです。
属名はラテン語のディ(dis:2つ)とケントロン(kentron:角のある)の造語で、2つの距を持つという意味です。
ハート型の距を持つ花の特徴を示しています。

種小名フォルモサは「美しい、華美な」という意味です。

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2016年4月14日 (木)

マルカ川のコリダリス 
Corydalis malkensis

コリダリス・マルケンシス(Corydalis malkensis:ケシ科キケマン属)が咲いています。


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コリダリスはこんな莢が稔ります。


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蕾が出てきた頃は葉と区別できない明るい緑色です。


コリダリス・マルケンシスはコーカサス北部マルカ川(Malka River、Balyksu Riverという名でも知られています)やクバン川( Kuban River)の上流の渓谷の冷涼で湿った森の中に自生しています。

コリダリス・マルケンシスは根塊をもった多年草で、根塊から1〜2本の花茎を立てます。
花茎は7〜20cmになり、10輪以上の花を密につけます。
苞葉は卵型で、切れ込みは入っていません。苞葉と同じ長さの小花梗を伸ばします。

蕾は明るい緑色で、次第に白く変わっていき、長さ2cmほどの純白の花を開きます。
コリダリスの中では上下に開く外花弁が特徴的で、特に下側の花弁は大きく目立ちます。
距は上の花弁につき、大きく上部に反り返ります。

葉は掌状に裂けた3出複葉で、明るい緑色をしています。

コリダリス・コウカシカの白花変種(Corydalis caucasica var. alba)と考えられていたこともありますが、現在は誤りとされています。

種小名は自生地のマルカ川に由来し、「マルカ地方の」という意味です。
マルカ川はロシア連邦南西部の北カフカスを東流してカスピ海に注ぐテレク川(北コーカサス地方を流れる全長623kmの川)の北西部を流れる支流で、コーカサス山脈最高峰エルブルス山(Mount Elbrus:最高峰は5,642 m)を源流としています。

王室園芸協会から2000年にコリダリス・ソリダ・インシサ(Corydalis solida subsp. incisa)と共にAGM(Award of Garden Merit)を受賞しています。

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2016年4月 2日 (土)

山のコリダリス・ソリダ 
Corydalis solida subsp. incisa

コリダリス・ソリダ・インシサ(Corydalis solida ssp. incisa:ケシ科キケマン属)が咲きました。


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苞葉が裂けているといってもこの程度です。


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3月29日 花の様子が分かります。


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3月23日 苞葉の間から蕾が出ています。


キケマン属の花の構造は特殊で、花弁は4枚、大きさの違う上下に開く花弁を外花弁と呼び、前につき出してるドーム状で左右に開く花弁を内花弁と呼びます。
外花弁の上方の花弁は大きく後方に伸び距となります。外花弁の下方の花弁にも距があるものもあります。

コリダリス・ソリダは塊根を作るコリドラスで、ヨーロッパ中部から小アジアにかけて分布しています。
落葉樹林内の日陰の湿った土壌地に自生しています。
春に葉と花を出し、夏前に地上部が枯れてしまうエフェメラル(ephemeral:春の妖精)です。

花色には変異がありますが、主に赤紫色のコリダリスで、白花を始め、赤や紫の花色を持ち、園芸種の親として多くの品種が生まれています。
花柄の前にある外花弁の下方花弁の距が大きいのが特徴です。

その変種のインシサは背丈15〜20cmほどで、塊根を持つ多年草で、灰緑色のシダのような葉(三出複葉あるいは羽状複葉)を持っています。

インシサ以外のコリダリス・ソリダは平地のコリダリスですが、インシサは山地に育つソリダです。
草丈が低く、花茎は丈夫です。
苞葉の裂片は細く、狭く裂けており、他のコリダリス・ソリダは1ヶ所が大きく裂けているだけなので、明らかに違っています。
変種名の「インシサ」はラテン語で「鋭く裂けた」という意味ですが、苞葉の裂片が先でさらに裂けるという特徴を指しています。

コリダリスの苞葉は裂けるか、裂けないかといった程度なので、細かく裂けるといっても、他のコリダリス・ソリダと比較してということで、ムラサキケマン(Corydalis incisa)とは比較になりません。
ムラサキケマンには「インシサ」という種小名がついていますが、こちらは多くのコリドラスとの比較ですから、苞葉が細く裂けています。

花は長さ2.5cmほどでキケマン属では大きめです。
白に近い淡い紫色から薄い赤紫色をし、内花弁に濃紅色の模様があります。
この株は日本人好みの優しい薄い赤紫色です。

王室園芸協会から1992年に新人賞であるPC(Certificate of Preliminary Commendation)を受賞、さらにバランスの良い容姿から2000年にAGM(Award of Garden Merit)を受賞しています。

以前は変種ではなく、独立した種類としてコリダリス・デシピエンス(Corydalis decipiens:偽りの、虚偽のという意味)と呼ばれていました。
英名はincised fumewortです。

種小名のソリダは「密な」という意味で、花が密に総状花序状につくことを指しているようです。
なおコリダリス・ソリダにはCorydalis halleri, Corydalis transsylvanicaという異学名があります。

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2015年6月 4日 (木)

蔓のコマクサ 
Dactylicapnos scandens

ダクティリカプノス・スカンデンス(Dactylicapnos scandens:ケシ科ダクティリカプノス属)が咲いています。


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外花弁は完全に開いていません。(2015年6月2日)
花柄の付け根に細い苞葉があります。


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目立たない萼があります。外花弁に挟まれているのが内花弁です。


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枯れる寸前になると花弁の先の方からオレンジ色ー赤茶色に変わってきます。


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茎の先に蕾や葉っぱらしきものが出てきました。(2015年5月25日)



ダクティリカプノス属は、以前はディセントラ(コマクサ)属に含まれていましたが、つるを持つ10種がダクティリカプノス属に再分類されています。
全てがインド北西部からネパールやブータンを経てミャンマー北部、中国中南部、ベトナム北部などのアジアに分布しています。

ダクティリカプノス・スカンデンスは、以前はディセントラ・スカンデンス(Dicentra scandens)と呼ばれていました。
ネパール東部から中国雲南省にかけて、ネパール北部からミャンマー中部、ベトナム北部にかけての海抜750〜3000mの密林の林縁や傾斜した砂礫地、丘陵地などに自生しています。

花は薄黄色からオレンジ色をしたハート型で、下部(外花弁)の先が巻き上がります。
萼は2枚で、花柄の付け根に全縁の目立たない苞葉が1枚あります。
ダクティリカプノス属は蒴(さく)の大きさが分類の基準になり、一番大きいのがスカンデンスです。さらにスカンデンスの蒴は裂開しないという特徴があります。

茎は長さ2〜5mになるということです。細い巻きひげがでて他の植物に絡んでいきます。
葉は全縁で、先が尖る楕円形の3出小葉です。
根茎を持っています。

葉がペラペラなので強風と遅霜には注意が必要です。昨年は風の強い日に鉢が飛ばされ、茎は他の植物に絡んでいたものですから、悲惨な状態になり、花を見ることが出来ませんでした。
高山植物ですが、暑さに対して丈夫です。

属名のダクティリカプノスはギリシャ語で「指(dactylos) 」と「煙(capnos)」という意味です。指というのは基本種であるダクティリカプノス・スカンデンスの莢の形を指し示しています。煙は同じ科の他の属に共通する葉が裂ける特徴を持つのに対して、ダクティリカプノス属はそうではないのでこうつけられたということです。

異学名は  Diclytra scandens, Dactylicapnos multiflora, D. thalictrifolia, Dicentra scandens, Dielytra thalictrifolia です。
種小名スカンデンスは「よじ登る性質のある」という意味で、英名もclimbing dicentraで、学名に準じた名です。

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2015年4月22日 (水)

ピンクのディセントラ 
Dicentra 'Spring Magic'

ディセントラ「スプリング・マジック」(Dicentra 'Spring Magic':ケシ科ディセントラ(コマクサ)属)が咲いています。


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ブルームス・ナーセリー(Blooms of Bressingham)社の現社長のアドリアン・ブルーム(Adrian Bloomさ)んの選別した花です。

ディセントラ属はタイツリソウ(Dicentra spectabilis)の仲間ですが、タイツリソウというとアーチ状に花茎に花をつけます。
しかし「スプリング・マジック」は20〜30cmの直立した葉のつかない細い花茎の先に、総状花序に長さ2cmほどのソフトピンクの左右対称の花をペンダントのようにいくつも咲かせます。

花弁は4枚あり、外側の2枚が下部が大きくふくらんで、先が一旦しぼんで反り返ります。
花弁には花と同じ色の小さな萼が2枚ついています。
花の付け根の方には2本の距があり、属名の由来になっています。
6月頃まで咲き続けるようです。

シダのような葉は青色っぽい緑色で、下の方にまとまって開いています。
ケシ科の植物の多くと同様、水はけのよい肥沃な用土で、半日陰が適しています。

英名はBleeding Heart(傷ついたハート)です。
日本ではアメリカコマクサで流通しています。
属名のディセントラは、ギリシャ語で2つの(dís) 角、蹴爪(kéntron)を意味し、距が2つあることに由来します。  

以下、ディセントラ属についの小五月蠅い蘊蓄です。読み飛ばして下さって結構です。

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Dicentra 'Spring Magic'"

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2015年4月11日 (土)

ちょっとかわいそうなヤマエンゴサク 
Corydalis lineariloba

ヤマエンゴサク(山延胡索:Corydalis lineariloba:ケシ科 キケマン属)が咲き出しました。


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ヤマエンゴサクは北海道以南の山の湿った林内や林縁に自生している球根性のキケマンの仲間です。
背丈は10cmほどで、地下に球形の塊茎を持っています。

ヤマエンゴサクは薄くてもこんな花色ですが、昨年に充分肥培されていなかったのか、花の先以外は純白です。
本当に純白ならば、それはそれで珍しいと思いますが、栄養失調で色が抜けているのならかわいそうな話です。
花は蕾の内にナメクジにかじられたようで、花茎は2本立っていますが1輪しか咲いていません。
花茎から離れた所から葉だけがでています。

ヤマエンゴサクは葉柄の付け根の苞葉が細裂していますが、それもはっきりしません。。
種小名リネアリロバは「直線状の裂片の」という意味で、苞葉が切れ込んでいることに由来します。


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2015年4月10日 (金)

タネから育てたムラサキケマン 
Corydalis incisa

タネから育てたムラサキケマン(紫華鬘:Corydalis incisa:ケシ科キケマン属)が咲きました。


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ムラサキケマンは日本の至る所、 野原や畦道、山道、人家のそばなどの少し湿ったところで見かけますが、韓国、台湾 、中国東部にも分布しています。

ムラサキケマンは2年草で、種子は初夏に熟し、その莢に触れると、莢の皮が勢いよく巻き上がり、その勢いで、種子が弾き飛ばされます。その後気温の上昇と共に株は枯れてしまいます。
播かれた種子が発芽するのは翌年の春で、花を咲かせないまま夏前に地上部は枯れ、地中に塊茎を残します。
その秋に数枚の葉を出して冬を越し、春に花茎を立てて花を咲かせます。
ただし例外もあってこの株は冬を塊茎で冬を越し、他の球根性のコリダリスのように春になって地面からムクムクと出てきて、葉と共に花茎を立ててきました。

紅紫色の花は総状につき、長さ1.2~1.8cmの小型です。
花は押しくら饅頭状態のひとかたまりで咲き始め、色々な方向に向かって咲きそろいます。
タネを2方向にしか飛ばせないので、一定方向を向かないのだろうと勝手に思っています。

苞葉は細かく裂けています。
茎は暗紅色で、葉や苞葉の先などにその色がつきます。
長さ1.5cmほどの狭長楕円形の莢は下向きにつきます。

タネをポットに播いて育てみると、自然の中の花を観察するだけでは分からない発見がいろいろありました。

種小名は「細かく裂けた」という意味で、苞葉の特徴を指しています。

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